見本市

日テレのスペシャルドラマ「24時間あたためますか」を見てしまった。


コンビニにまつわる4つの話がオムニバス形式で展開される。その役者の殆どが吉本芸人である、というか吉本プレゼンツのスペシャルドラマという捉え方が正しい。それぞれの話の主人公がトシ(タカアンドトシ)、山里亮太南海キャンディーズ)、オリエンタルラジオ河本準一次長課長)。吉本が日テレと組んだドラマといえば、ジョージアのCMのタイアップでも話題になった「明日があるさ」がある。自分は映画も含めて全然見なかったのだけど、おそらくは今回のドラマと似たような感じだったんじゃないかと。雰囲気だけは真剣だけど、出演者が出演者だけにやっぱりコントでしかない、というやつ。


この手のドラマは、「ドラマとして」どうこう話すのはハナっからナンセンスである。もちろんドラマはドラマとしてそれなりの体裁は繕ってはいるけども、かといってドラマの中身でどうこう言うべき代物でもない。それは作っているほうも分かっているとは思う。この手のドラマは視聴者が自分で自分の見所を探せるかどうかのほうが重要だ。


でまあ、漠然とそんなことを考えつつなんとなく2時間見てしまったわけだが、なんとなく山里が印象に残りました。相方のしずちゃんはそれこそドラマで主演を務めた(「笑える恋はしたくない」)こともあるくらい女優としても認知されているが、こと山里に関しては役者どころか山里中心で物事が動いている企画を殆ど見かけない。本来しずちゃんの無軌道は山里があってこそのバランスだったのに、しずちゃんの立ち位置がなぜかあまりに早く芸能界に認知されてしまったため、山里の必然性がなくなってしまったことに悲劇がある。本来もっと褒められるべきは山里である。


そんなことをドラマ制作側が思っていたかどうか知る由もないが、山里に珍しくスポットが当てられたオムニバスの1本はなかなか面白かった。部分部分で「キモい」だとか「挙動不審」だとか山里に対するあてつけのようなセリフが挿入されたものの、いつもと違う髪形の山里は思ったほどキモくもなく、立派に主演をこなしていたように思える。他の3本があまりに芸人のイメージに忠実な話の作り方だったのに対し、山里のものだけは単に「キモい」だけではなくちょっとしたいい話になっていた。山里だってやれば出来るのである。


とまあ、山里の「ちょっといい話」も含めて、これって吉本芸人の「役者見本市」だよなあと最終的には思ったわけで。タカトシにしろオリラジにしろ、今後役者としての起用も見込める彼らを「こんな風にも使えますよ」と、まるでドラマのプロデューサーに売り込んでいたかのよう。そういう意味では、普段とはちょっと違った一面を出すことが出来た山里が今回のドラマで一番得したのかもしれない。あとどうでもいいけど麒麟だけなぜ川島のみの出演だったのかは気になる。


などということを今日の更新にしようかな、といやらしく考えながらチャンネルをザッピングしていたら「ブロードキャスター」に藤本美貴が生出演しているのを発見してしまう。「なんか悪いものを見てしまった」と色んな意味で居たたまれなくなってしまい、ドラマのことなんてすっかり飛んでしまったとさ。あーやだやだ。