緒川たまき

吉本興業が所属芸人11人の謹慎処分を発表。

 

5年前の反社会的勢力(要するに振り込め詐欺グループ)の誕生会に出席し、金銭を授受したことが判明したとのこと。カラテカ入江は早々に解雇を言い渡されていたが、「反社会勢力とは知らなかった」「金銭は授受してない」との説明を受け、出席者である数名のタレントは厳重注意処分となっていた。しかし週刊誌報道の二の矢三の矢を受け、それではごまかしがきかなくなり、今回の処分に至る。

 

んまあ、この件に関しては「そりゃそうだろうね」しか感想がない。身内にあたる松本人志が「金銭の授受がなかったなんてことは考えられない」とまで言い切っていた。芸人、芸能人の常識として「お金が発生していないところであんなに全力で歌や芸を披露するわけがない」ということだろう。それは芸人の矜持と言ってもいい。

 

だから「金銭の授受がなかった」のであれば、謹慎した芸人は逆に「じゃあなんであんなに全力で芸をやっているのか」という説明をしなければいけなかった。その一方で「お金が発生してないのに芸を全力でやらないといけないような雰囲気があった」とするならば、それは薄々、いやがっちりと「反社会的勢力」だということに気づいていた、という考え方も出来る。だから「知らなかったし、お金を受け取ってもいない」は説明として詰んでいる。

 

また、吉本だって「反社会的勢力」だったことを出演者が把握していたかどうかはまだしも、金銭の授受があっただろうことは容易に分かったはずだ。しかしそれを最初に「厳重注意処分」としたことは、これはもう悪手でしかない。言い訳をかました芸人たちも悪手だろうが、それを糺す立場にあったはずの会社が、その言い訳に一旦乗っかった形で、あとから「やっぱり処分します」は、会社としてのマネジメント能力がゼロですよと自ら白状しているようなもんだ。

 

個人的には「反社会的勢力から金銭を受け取ってしまったこと」はイカンことだとは思うが、本当に普段からの繋がりがなかったのであれば、速やかに謝ればそれで済んだ話だと思う。「知らなかったとはいえ(あるいは知っていたことを隠しているとはいえ)、受け取ってしまったことは事実であり、速やかに然るべき対応を取りたい」と発表していれば、大げさな話になることはなかったろうに。少なくとも現時点で当事者以外全員が思っているであろう「ただの嘘つき」というレッテルは免れたであろう。

 

しかし吉本が、早々にカラテカ入江を「切る」ことで他のタレントを下手にかばおうとして事態の収束を図ろうとした結果、もはや反社会的勢力から金銭を授受したことよりも、保身のため完全なるウソをついたことのマイナスイメージが拭えなくなっている。ミスには寛容でありたいが、保身のためのウソはそうそう寛容になれない。どうなんだろう。

 

さああと問題なのは、彼らが関わっている番組がどんな措置を取るかだ。一番の注目はやはり「アメトーーク」。番組の構成上宮迫がいなくてもどうにかなるとはいえ、かといって宮迫抜きで番組を成立させるべきなのか、という問題に直面する。蛍原一人で司会を続けるのか、それとも誰か代役を立てるのか、はたまた番組そのものをどうにかしてしまうのか。たぶんテレ朝はもう既に対策を打っているはずなんだ。何かを「知っていた」からこそ、先週「立ちトーク」を放送したんじゃないかなあ、と何となく思っている。

 

あとは非吉本なので完全にいなかったことになっているザブングルが本当に誰にも話題にされず干されていくのかと思うと、これは悲しい。「向上委員会」でもう魔王は見られないんだろうね。合掌。

 

本当は昨日札幌競馬場で見てきたとんねるず石橋貴明の素晴らしさについて書こうと思っていたんだけど、まあ今日はこれでいいや。