最高の贅沢


「最高の贅沢」と言われて、何を思い浮かべますか?

例えば、秀吉の「黄金の茶室」なんてのがある。美味しんぼ曰く、金は非常に安定した物質であるから、お茶をくべるときに鉄瓶だとお茶に鉄の成分が微量ながら溶け出すが、金は溶け出すことがない。だから黄金で出来た茶瓶にはそれなりの意味がある。ただ、秀吉の場合は虚栄心だったんだろうとオチはついているけども。

別にそれが究極のお茶を追求した結果であろうと、虚栄心であろうと、それが「最高の贅沢」だと言えることは確かだ。

勿論人によって「最高の贅沢」の基準は違うだろうが、確実にその人にとっての「最高の贅沢」が存在するわけだ。いや、「最高」とは言ったもののそれがオンリーワンである必要はない。最高と称されるものはこの世にいくつも存在するわけで、「贅沢」というジャンルの最高級品がいくつあってもそれは間違いではないと思う。

全然テレビと関係の無い話で始まってしまったが、自分は先ほど「最高の贅沢」を感じてしまったのだ。

19段の跳び箱を飛べる芸人の「毛ダム」とか最高に贅沢だって。

何のこっちゃ、という人のために説明。

5日に放送された「芸能人スポーツマンNO.1決定戦」において、吉本の芸人が二人登場した。ひとりは肉体芸でお馴染みとなりつつある「なかやまきんに君」、もうひとりはペナルティのボケでワッキーこと脇田寧人である。

なかやまきんに君はお笑いとしてでなく、このスポーツマンNO1において優勝経験もある立派な体力芸人であるが、ペナルティ脇田は今回初参戦。ただ、彼は高校生の時サッカーの名門市立船橋でサッカーで国体の優勝経験がある。立派な体力系の芸人だったが、ペナルティとしての知名度がイマイチだったため、今までスポットライトが当たる機会がなかったのだ。しかし、今回この大会に出場を果たすことによって、かなりの好成績を残すこととなった。

なかでもこの大会の名物競技である跳び箱「モンスターボックス」での活躍が目立った。初挑戦ながら19段を飛ぶという偉業を達成。そこにお笑いの時のワッキーの姿はなく、一人のアスリート脇田寧人の輝かしい姿があった。

自分はこの姿を見て、「ワッキーすげえ」と同時に、「うわぁ、ペナルティのネタってすげえ贅沢だ」と思ってしまった。脇田の身体能力を持ってすれば、芸人でなくとも何か他の職種で花開いた可能性だってある。もちろん専門だったサッカーにおいてさえ、だ。それなのにペナルティというコンビは10年もの間なかなかブレイクせずここまでやってきたわけで、それが去年あたりからちょっとづつブレイクの兆しが見えてきた。

爆笑オンエアバトル」の昨年度のチャンピオン大会において、ペナルティは「毛ダム」というとんでもねえヨゴレのキャラクターのネタを披露した。そこにはアスリートの脇田ではなく、毛ダムを演じるヨゴレのワッキーが存在していた。19段の跳び箱を跳んだ人間と同一人物。この落差はなんだ。それと同時に、こんな贅沢なヨゴレ芸はない。

前にもちょっとオンバトの話をした時に触れたと思うが、この時のペナルティのネタは確かに面白かった。必要以上にくどいワッキーの芸は、見るものに何か強烈な印象を残していく。ただ、今回のアスリート脇田はそれと全く正反対だが同等のインパクトを自分に残した。

ペナルティのコントの中で、だいたい一回はワッキーが相方にドロップキックでぶっ飛ばされる。その時の相方(ヒデ)のドロップキックも見事だが(宮迫と同じ迫力がある)、ワッキーのぶっ飛び方も見事なのだ。その見事さがズバ抜けた運動能力の賜物だという事実がもう最高に贅沢である。


めちゃイケの「笑わず嫌い王」にも出たし、今年ペナルティがブレイクするかもしれんよ。