昼間にそぐわない殺伐とした空気


「アタック25」が30周年を記念して史上最強のクイズ王決定戦を今週から3週にわたって放送。

第1週目となる今回は関東ブロック予選。最大の激戦区であると思われた東京は女性が予選を勝ち抜いていたりとなかなか興味深い展開だったのだが、決勝に残ったのはいかにもクイズが得意そうなメン2人だった。

それにしても「史上最強のクイズ王」と銘打っているだけあって、津々浦々(つう問題も出題されてた)からクイズフリークが集っていたようで、予選のレベルの高いこと高いこと。ただ、正解率自体はあまり高いとは言えない。それはアタック25は全て早押し問題で構成されており、「いかに早く答えるか」にウェイトが置かれた結果、先走った回答や問題をよく聞かずに誤答する場合が多かったためだ。

準決勝からはいつものパネル取りになるのだが、やはり予選を勝ち抜いてきた猛者だけあって、パネルの取り方に隙がない。いつもは児玉イヤミ清が「どうして21番に入らないのかな」などと回答者のパネルミスを柔らかになじったりするのだが、今回に限っては一切なし。そりゃそうだ、誰もミスしないんだもん。

そしてやっぱり回答のペースが速い。だからパネルもガンガン埋まっていく。こんなにテンポの速いアタック25はお目にかかったことがなく、自分の普段見ている番組と何か別のものを見ているようでもあった。

そこで、ふと思う。やっぱりアタック25は普段のほうがいいのかな、と。

自分はクイズ好きであるから、今回のようなクイズフリークともクイズマニアともクイズヲタクとも形容できる人々が真剣にクイズに向き合う姿が嫌いではない。かつて15年くらい前にクイズブームが起こったときに、このような殺伐とした空気でひたすらクイズに答える番組が全盛した時代の番組が好きだった自分には、こっちのほうがクイズ番組らしい。

ただ、やっぱり日曜の昼間にやるのは殺伐とした空気ではいかんのかと。今回の予選、自分は日曜の昼間から若干心拍数を上げて、手に汗握ってパネルの動向をドキドキしながら見ていた。こんな見方をしていたのはごくごく少数の人間かもしれないが、少なくともあの放送を見た人間であれば「なんかやたらと空気が張り詰めてやがるな」と思ったに違いない。それほど普段とは違う空気が発生していたのだ。

やっぱり、そんな空気を毎週見るのは辛いわけです。なんで日曜の昼間にこんなに緊張せねばいかんのかと思ってしまうわけですな。勿論30周年記念という名目があって、それに集まってきたクイズマニアがいるからこそ、滅多にお目にかかれない空気になったわけですが、それでも日曜昼間の空気では完全にないわけです。

普段アタック25を見ていても、なかなかこういう事に気付かない。それというのも、アタック25という番組が「普段」であり続ける以上それに気付く必要もなく、気付く機会もないからだ。だから、滅多に無いことが「普段」の中に起こることで、改めて「普段」のよさに気付かされるというか。日曜の昼に、クイズマニア以外の視聴者を取り込むには、ゆるめの空気が必要だったということが今日なんとなく理解できた。


まだ来週、再来週と続きがあるわけですが、この2週はクイズ好きの人間に与えられた至福の時間である。だからこの番組を見ている人が近くにいたら、その人は間違いなく真剣に番組を見ているはずだから決して邪魔しちゃダメですよ。すげえ怒られます。