名は体を表していない

連続クイズ ホールドオン!」がイマイチだなあ。期待はしているんだけども。


パイロット版のときにも感想を書いたのだけども、海外フォーマットのよくできたクイズ番組なのだが、その特徴が生かし切れていない感がヒシヒシと伝わる。その「イマイチ」感の最たるものが「まだ20回しかやってないのにチャンピオンが10人」という、「hold on」してないにも程があるチャンピオンの交代にあると思う。


前にも同じことを書いているが、やはりこの番組の最大の特徴は「ほどよいチャンピオン優位」という点にあると思う。予選の段階である程度挑戦者を選ぶことができる(間違えれば50点減点の問題を選択することが出来る)し、なおかつ決勝でも出題ジャンルを相手に指定することが出来る。なもんで、チャンピオンに一定程度の実力があれば居座り続けることが出来る仕様になっているといってもいい。もっと簡単に言えばトランプの大富豪のようなもんだ。絶対勝てるわけではないが、やり方さえ間違わなければ優位を保っていられる。


だからこそ本家フランスでは150日以上も防衛したチャンピオンが存在し、有名人になった(らしい。番組HPより)。こういう視聴者参加型の番組は「自分も気軽に出ることが出来る」という要素も大事だが「実力を持ったチャンピオンが番組の顔となる」ということがけっこう大事な気がする。そこのところをNHKは軽視しているのではないか。


クイズ番組、もっといえばクイズそのものがもともとは「オタクの嗜好品」であるということ。問題の難度やジャンルによっては間口の広くなる嗜好品であるため、あまり意識はされないのだが、「オタク高校生ドヤ顔選手権」こと「高校生クイズ」を見れば、そのことが如実に分かる。だからこそ間口を広げるために「いろんな人に等しく出場の機会がある」ということは大事なのだ。筆記試験に加えてキャラ重視の面接試験で出場者を選定するあたりからもその意識は窺える。


しかし、あまりに「間口の広さ」「視聴者参加型」を意識するあまり、出場者のレベルがお世辞にも高くないのだ。これがはっきり言って問題大アリなのである。クイズ番組を好んで見る自分のような人間は、ひいて言えばクイズ番組を好き好んで毎日見るような人間からすればレベルの低いクイズ番組なんて見たくはないのである。それがこの番組のヌルさというか退屈さを全面に押し出している理由だ。レベルが低い。その一言に尽きる。昨日放送された回でチャンピオンが0点とかいうのはさすがにげんなりする。



別に「難しい問題が出題され、その問題に答えることが出来る」のがレベルの高いクイズ番組ではない。それは「オタク高校生ドヤ顔選手権」が決して良質なクイズ番組ではないのと同様だ。一番分かり易い例が「アタック25」ではないだろうか。決して問題のレベルが高いわけではない。言うなれば「標準」クラスだ。しかしアタック25が良質なクイズ番組として長年放送されている理由は、そのゲーム性と一定水準を保つ出場者のレベルにあるのではないか。


今「ホールドオン」に必要なのは「圧倒的王者」だろう。パイロット版ではガンガン登場していたクイズ猛者をそろそろ登場させてもいい頃ではないのだろうか。少なくとも10日以上勝ち抜くような猛者が登場し、「このチャンピオンを破るのはだれなのか?」という面白さを見せていかないと、この番組の魅力がちっとも伝わらないまま打ち切られてしまうんじゃないかと思ってしまう。


間口の広さは大事だ。どんな視聴者でも参加できるというスタイルも大事ではある。しかしクイズ番組は強者がいて初めて盛り上がる性質があることを忘れてはいけない。レベルの低い争いを毎日見せられてもクイズ好きは納得しない。少なくとも出場者選定の段階でもうちょっと実力のある人を選んではいかがだろう。フォーマットの良さを生かし切れず終わってしまった「ウィーケストリンク」のようなことにはなってほしくないぞ。