目の付け所が肝要か

あさっては選挙です。衆議院議員選挙ですよ。みなさん、投票にいきましょうね。大学の知人がわざわざ「選挙行こうね」メールをご丁寧に送信してくださいまして。いやぁ、ご苦労なこった。メール受信料返してくれないかなぁ。

まあ、投票率が上がらないのは若者のせいだという部分もあるんですけど、世間で展開されてるような「若者よ、選挙に行こう」みたいなキャンペーンで本当に今まで関心のなかった若者が足を運ぶだなんて思えないんだけどなぁ。無駄な金をかけてますね。

そんなことはどうだっていいんです。

掲示板に児童ポルノ規制反対がらみで、その反対に協力してくれた議員(主に社民党)に投票してくれ、みたいなことが書かれていた。児童ポルノ規制法の是非はともかく、この時期にそんな書き込みがあると自分のようなひねくれた人間ならずとも「児童ポルノを利用した選挙活動」のにおいをプンプン感じますわな。

なもんで、今回は選挙と児童ポルノの話を。

・選挙
自民党だろうが民主党だろうが、どっちが政権取ったって同じじゃねえか、と言ってしまうと政治について無関心のように思われるかもしれませんが、事実それほど興味もない。しかし自民党民主党も明確な差がないという点は外れていないとは思う。

そもそも、マニフェストで浮かれてる民主党が、今後の日本を具体的にどのような方向に持っていくかがまったく見えない。それは自民党も同じ。自分が不真面目に選挙の報道を見る限り、民主党は「高速道路の無料化」しか訴えてないように見えるわけで、自民党も「郵政事業民主化(しかも自分の任期が終了したあとに)」しか目に見えた具体策を出してないわけで。

そりゃ、「今の景気が悪いから、自民党が悪い」という短絡的な考え方もできるんですけど、「民主党(orほかの政党)になれば何かが変わる」っていう考え方もよっぽど短絡的だと思うんだけどなあ。特に少年マガジン。あの「クニミツの政」関連の民主党プッシュは何のマネなんですかね。あれこそ情報操作なんじゃないっすか。

自民党だろうが民主党だろうがどちらでもよい。どっちがなってもよく分からない。これが本音だ。ただ、菅直人の息子(源太郎)はどうかと思うくらいで。

児童ポルノとかマンガの規制問題
この問題の肝は「エロをどう真っ向から主張するか」に尽きるような気が以前からするのです。暴力シーンについては、意外とそうでもないような気がして。だって、ボクシングなんてのは「はじめの一歩」を読むまでもなく暴力による戦いですから、マンガがダメならテレビのボクシングも規制しろっつう話ですもの。案外暴力(と思われるシーン)を正当化させるのはチョロいはずです。「バトル・ロワイヤル」なんてのもありますし。あれがOKでマンガがダメなんてデタラメな話はありませんから。R指定なんて子供だましみたいなもんです。ま、個人的意見を述べれば、BRなんてのは子供が見て喜ぶ映画なのに子供を規制してどうするんだ、って思いますけど。大人が見て喜ぶ映画じゃないわ。

ただ、エロスは非常に厄介だ。最近では「テレビによるエロの追放」がほぼ完全に遂行されています。めっきりテレビでエロシーンを見る機会が減った。絶滅危惧です。それに、最近では「18歳以上か、以下か」という住み分けがより顕著になっているせいもあって、エロは「開かれてるのに、閉じられた領域」に押し込められている感じ。

これが不幸の源だろう。あまりに開かれたエロスは「今までは隠された部分」に迫ってきた。つまりは丸出しも辞さないというレベルにまでエロ水準は高まったということだ。しかし、その一方でエロスはエロレベルの拡張とともにエロ対象の拡張までしてしまった。誰でも、すなわち子供でもエロを手にする環境が整ってしまったことが拙かった。これが「あまりにエロすぎだが、子供は当然に手に入らない」という規制が早いうちに行われていれば良かったのだ。あとは性犯罪の増加もあるんだろう。

つまり、児童ポルノに限らず、エロの規制は「来るべくして訪れたもの」という感じがあるからこそ、難儀なのである。そういう背景があるだけに、声高に「エロスの自由を!」と叫べない部分が最大の弱点であるのだ、と。身から出た錆とも言える。だからこそ「自分たちの好きなゲームやマンガが規制される」という「身勝手な理由」と取られかねない言論はあっさりと封殺されてしまうのだ。今の風潮に有効に機能する言説ではない。

自分が思うに、犯罪に繋がらない限り嗜好(性癖)は尊重されるべきだとは思う。何がノーマルで何がアブノーマルかを規定するのは危険だからだ。かといってペド野郎を野放しにしていいという言説ではない。あくまで「嗜好の違い」を一方の物差しによって規制するのはどうかと思うというだけ。

しかし現状では無理。なにしろこの性犯罪の多さ。そのような出版物が犯罪の抑制効果をもたらすという議論が無効になってしまう。ここに有効な反論を打ち出せないのが「児童ポルノ規制」の弱さだろう。特にただのエロではなく、「強制わいせつ」を惹起する児童ポルノであれば尚更。それを取り締まるのは「ごくまっとう」な話だからである。

確かに「しずかちゃんの入浴シーンが削除」は滑稽であるかもしれないが、厳密に言えば「しずかちゃんの入浴シーンが実写でドラマ化」は完全にアウトなのである。だから例え「エロの思惑が介在していなくても」そこに「児童ポルノ」と認定される客体があればアウトなのだ。実はそんなに滑稽な話であるとも言えなくはない。

それでもやはり滑稽だと思うのであれば、そこから反論していくしかなかろう。ただその場合、「どこが滑稽なのか」を厳密に説き伏せる必要がありそうだ。ただ単に「それはおかしいでしょ」じゃ正直話にならない。「ジポネット」でも、どこがどのように滑稽かだなんてのは一言も書かれていない。それじゃダメである。「面白いものをそのような規制から守る」だなんてのは、正直ハナクソみたいな議論でしかない。そんなのは逆にいえば「面白くない作品は規制してもいい」と言ってるのと同義であり、少しも有効な議論ではない。

児童ポルノの何がいけないのか」という問題の根幹は「表現の自由」に尽きるだろう。もちろん、そうでない感情的な部分も含まれるけども。けど、感情論ではどうにもならん問題だということに気づかなければならない。そこんところを「ジポネット」の管理人が一番よくわかってないと思う。もちろん理屈だけでは賛同する人も少ないのは目に見えています。しかし、感情ありきでも理屈でねじ伏せることができなければアウトなのです。

よく言われるような「面白いものに規制がかかる!」のレベルではすでに打つ手なしなんです。もし本気ならば、それに対抗しうる説得力がある言論を早めに考え出すべきでしょうな。もはや、「しずかちゃんの入浴シーン削除」よりも「面白いものを規制するな!」のほうが、現実を見ていない言論だと思うのだが。

誤解の無いようにもう一度明言しておくけど、改悪には反対ですよ。


(追記:ジポネットは2006年現在消滅。児童ポルノ規制も漫画などの二次元媒体にまで範囲は及ばなかった。しかし現在また15歳以下のタレントによる過激な水着など、新たな問題も噴出しているため問題の根は深い)