無礼VS小者

11/3に明治学院大の学園祭で鳩山民主党代表が「これからの日本に必要な人物はいかなる人物か」をテーマに講演を行った。1時間程度の講演が終わったあと、質疑応答の時間になったのだが、そこで先日時間枠を変えてリニューアルした「電波少年に毛が生えた」の企画のひとつである「ママさんコーラス隊」が登場し、鳩山氏を「応援する」(実際にはおちょくると言ったほうが正しい)替え歌「鳩山さん家のユキオ君」など2曲を歌い去っていった。

これに対して聴衆の女子学生が「茶番であり承服できない」などと大学側に抗議。そして鳩山代表も後になって「TVの企画だと聞いた」とし、党の方は日本テレビに対して抗議をすることを決めたらしい。

このニュースで注目すべき点は2点である。まずは

電波少年、アポなし復活か?

という点。元来「アポなし取材」を決行して、社会や政治ネタに切り込んでいくという内容だった電波少年が、猿岩石ヒッチハイク以降影を潜めたアポなしを復活させたのか、と思わせるのが今回の企画。昔ほどの過激さはないものの、「アポなし」「社会風刺」というキーワードを元に、昔の電波少年テイストをふんだんに感じる。先週の「竹中平蔵ソング」もなかなかの出来で、今一番面白い企画であろう。今後も替え歌を各地で歌ってくれることを個人的には望むところである。


そしてもう一点はやはり「大学と民主党の寛容力のなさ」である。いや、本来ならばこういうことをアポなしで行うというのは大変に失礼なことであるのは承知している。しかし電波少年の怖いところはなぜか

この事態を受け入れられないほうが「心の狭い奴」と思わせてしまうところである。

それが電波少年の最大の武器なのだ。だからこそこの番組は無謀でありながらここまでの支持を受けたのである。視聴者からすれば「そんなくだらない事見てみたい」という期待を持って見ている訳で、その企画に対して無碍もなく断られると非常に「感じの悪い」人なり企業なりに見えるのだ。

今回の報道も大雑把に言えばこれの範疇であることは言うまでも無い。明治学院大学側はこの日のために熱心な準備をしてきたに違いない。そして鳩山代表という有名な人物も招致し、大成功に終わったかのように見えたこのイベントの最後に冷や水ぶっかけるような行為を電波少年側がやっていることもわかる。しかし、しかしだ。

大学の学園祭ごときのイベントでこのくらいのハプニングを受け入れられない聴衆の女子学生って何だ?

端的に言わせてもらうならこういうことである。確かにマジメなイベントだったのかも知れない。しかし、あくまで「学園祭」である。お祭りである。いくらマジメにやろうとも、そこは「お祭り」。何か思いがけないハプニングやイベントがあったほうが確実に盛り上がる。しかも大学の学園祭でTV番組の企画が乱入したとなれば、大盛り上がりするくらいでないとあまりにも余裕がないイベントなんだな、と勝手に思ってしまう。

大学に入ってからつくづく思ったことだが、こういう講演会を主催するような人間は大抵こういう事態に対応できるような寛容な心を持ち合わせていない。あまりにマジメが過ぎていて、余裕もなにもあったもんじゃない。確かに悪ふざけが過ぎているような気もするが、ギャグはギャグで済ますのも大事ではないのか。

おそらく抗議した女子学生は相当熱心に話を聞いていたんだろうなあ。今回の電波少年を「茶番だ」と抗議をしたんだもんね。

それももっともな意見である。しかし、自分から言わせてもらえば

鳩山なんかに「これからの日本に必要な人物はいかなる人物か」なんて講演をさせてるほうがよっぽどの茶番だと思うが。

なんかねぇ、実際この会場の空気がどうだったのかは分からないけど、これがもし早稲田とか慶応とかだったら抗議してくるやつなんていなかったハズだよ、これは。まあ「鳩山なんて呼ばねえよ、夏」という意見もあるのだが、やっぱりギャグをギャグとして受け止める力があると思うのよ、マトモな大学生なら。いや、明治学院大の学生がマトモじゃないなんてい言うつもりは毛頭なく、要するに「そんなことくらいで目くじら立てるなよ、小さいなぁ」と言いたいのです。

今まで電波少年は確かに迷惑なことをしてきたのでそういうイメージも重なったのかもしれない。しかし今回は別に進行の途中で邪魔をしたわけでもなければ、講演内容にケチをつけたわけでもない(自分がニュース報道で見た限りあの歌詞は皮肉に過ぎないのでセーフだと思う)のに、抗議なんてしたところで何になるんでしょうか?全く分かりません。そして言うまでもなく、

やっぱり民主党っていうのはケツの穴の小さい党だな、と。

いや勿論講演を主催してくれた大学が抗議しているのだから歩調を合わせなければいけないということはあるでしょう。しかし、やっぱりこの程度で抗議をしてしまうんだから「小さいな、こいつら」と思ってしまうわけよ。自分たちに都合のいいことだけ流してくれるなんてことはないんだから、少しでもテレビに映る機会が増えて党員が増えればなあ、くらいの大きい態度のほうがまだ幾分恰好良かった気がする。

結局この事件だって、受け止めるのは視聴者のほうなのだから。そんな下らないことに抗議するなら、国会で他にもっとやるべきことたくさんあるだろうに。

(後日、鳩山の替え歌の「ママさんコーラス」は放送自粛が決定。ニュースで見ておいてよかった。)