あたしゃ認めないよ

田中義剛が「踊る!さんま御殿」にて「ケンミンSHOWで北海道代表として呼ばれない」と嘆く。

 

最初にこのトピックを知ったのはネットの記事で、「ほう、それは確認しなければ」と思いネットで探して当該部分を確認した。確かに言っている。「青森は(高校を卒業するまで)18年間住み、北海道は(それ以降の人生)40数年住んでいるけども、いまだに北海道の代表で呼ばれない」と。

 

「当たり前だ!」と感情的に叫んだ北海道民は数知れないだろう。たぶん。

 

自分は5年前に今は亡き番組「ソロモン流」で取り上げられた義剛をこんな風に説明している。

北海道民にとっての田中義剛とは何か。それは「一応道民なのに道民扱いされない、したくない“逆名誉道民”」に他ならない。地場産業を盛り上げて北海道に多大な貢献をしているにも関わらず、道民から尊敬もされず、親しみも持たれない。それが田中義剛という男。

今改めて読み返してみても、あまりに身も蓋もない紹介であるが、しかしこれ以上他に説明しようがない。書いた自分が言うのもなんだが、酷い紹介だ。ちなみに続きはこんな感じなので、ヒマな方はどうぞ。

nageyarism.hatenablog.com

「ケンミンSHOW」が義剛を北海道代表として呼ばないのは単に「義剛を北海道民として呼ばなくても他にいくらでもいる」からに過ぎないだろうが、それを抜きにしても「義剛を北海道代表とは、あたしゃ認めないよ」という浅香光代ばりの道民は、道外の方が思っている以上に多いと思う。

 

道外の方からすれば「なんでそんなに義剛を道民扱いしないのか」と思うかもしれない。義剛の主張する「北海道に40数年住んでいる」ことを考えれば、それはもう殆ど北海道民ではないか、と。そう思われても不思議じゃない。しかしはっきり言う。そんな考えは義剛に「何の興味も持っていないから、どうでもいい」と同義であり、義剛に何の興味もないから言える戯言に過ぎないのである。

 

道民は少なからず「義剛と一緒にされたくない」と思っている。それは花畑牧場の生キャラメルを代表例とした義剛の商売にゲスい感じを指して「北海道民“は”あんなにゲスくないよね」と思ったり(実際北海道民はそこそこゲスいと思いますけど)、訛り丸出しで牧場経営していて「THE北海道」感を出していることに「北海道がみなあんな感じだと思われたくない」と思っていたり(もちろん訛っている人もいるし道東では酪農は基幹産業なんだけども)と、さまざまな理由から道民の「北海道アレジャナイ」を一身に背負う存在が義剛なのである。つまりは「非道民の誤解を全て体現している」ともいえる。あるいは単にゲスいオッサンだともいえる。嫌われる理由があらゆる角度にある。

 

ただそこには北海道民の「田舎者と思われたくない」というコンプレックスも内包しているのかもしれない。道外の人間から北海道民が義剛のように映っているかと思うと、それはもう嫌悪の対象でしかない。北海道はその広さからたくさんの有名人を輩出している。そもそもアイヌが住んでいた土地に入植してきた北海道民には「歴史上の偉人」がいるわけではない。だからこそ現状のスターが北海道の誇りなのだ。しかしそのスターを差し置いて「そもそも北海道の人間ではない」義剛が北海道代表みたいなツラをされると、これはカチンとくる。間違っても「北海道の人間だ」とは言いたくないのである。嫌いな道民はひとりもいないと言っても過言じゃない大泉洋はえらい違いだ。

 

ただ、義剛が北海道を愛し、北海道に住み続け、北海道に税金を納めていることは紛れもない事実である。出身は青森八戸といえど、そろそろ義剛を道民として受け入れる度量が北海道民にも必要なのでは?

 

………そんなことを考えながら自分は「さんま御殿」を見ていた。すると「オホーツクのホタテは流氷で運ばれたプランクトンを食べて育ちとても大きい」と発言した清水宏保(スピードスケート金メダリスト)に対し、義剛は

 

「ほぼロシアからの密漁だって聞いた」

 

と発言。そりゃね、義剛だって本気でこんなこと思っていない。東北VS北海道という構図のバラエティを盛り上げるための発言であることは百も承知している。しかしこうやって義剛はまた北海道民から嫌われていくんだなあとしみじみ感じた秋の夜。一生ケンミンSHOWに北海道代表で呼ばれることはないでしょう。これを読んでいる道外のみなさんは、北海道でうっかり義剛を北海道民扱いしないように。夜中に襲われますよ。