金で権利を買う

微妙に新しいんだか古いんだか分からない話題ですが、EXILEが所属するLDHグループが年末の賞レースの大物である「日本レコード大賞」を受賞する対価として1億円払ったという記事がセンテンススプリングに掲載されました。テレビマスコミ各社は当然のようにスルーしてますけど。こういう話題に切り込めない辺りがテレビの限界を感じてしまいますが、まあ仕方ないからネットで話題にすりゃあいい。


まあ実際に払ったかどうかは分からない。公開された領収書には「年末のプロモーション業務委託書として」と記載されていただけで、それがレコ大とは明記されてはいない。なおかつそれがレコ大のもんなのかは不明だし、そもそもその領収書の出所もよく分からん。しかし今年のセンテンススプリングがすっぱ抜いてきたスクープの信憑性が「今回もそうなんだろう」という気にさせる。そしてレコ大の審査は昔から「どうも怪しい」という言説は常に流されてきたわけで、それを裏付けるような形になったことがまた信憑性を増している。


これが本物かニセモノか、という議論は無駄である。だってそんなこと自分は分からない。だからとりあえず「これは本物」という前提で話を進める。


もしこれが本物だとしたら、LDH側は「金を払うことでレコード大賞を受賞する権利を買った」ということになる。さて、何が問題だろうか。


名のある賞を受賞すれば、その歌手にとっては名誉なことであるし箔が付く。また名前が売れることによってまた売上が増すわけで、いいことずくめと言っても過言じゃない。影響力が大きいからこそ審査は公平に厳正になされるべきだ、という感覚は世の人の感覚と大きくズレたもんではないだろう。だからこそ「買収による受賞は“汚い”」という批判につながる。金満主義であり、また他の歌手のチャンスをつぶすことにもなりかねない。


しかしそれはあくまで「レコ大が世間的に価値があるとされていた」時代の話であり、いまやそこらへんに歩いている人を捕まえて「昨年のレコ大受賞者は三代目 J Soul Brothersでしたが、では一昨年は誰だったでしょう?」と聞いてもたぶん答えられない。正解は同じく「三代目 J Soul Brothers」なんですけど。そのくらいもはや世間はレコ大を「どうでもいいもの」と扱っている。


であれば、買収して受賞してもいいんじゃねえの


というのが、自分の単純な感想である。むしろ自分なんか「根回しだけでなく、ちゃんとお金払って受賞するところがきっちりしてる」くらいのことを思うわけだ。


レコ大を受賞したことで本当に三代目 J Soul Brothersの名前は売れたのか。確かに2年前の受賞によってランニングマンは流行ったかもしれんが、それもコップの中の嵐のような感覚が自分にはある。流行っているのかもしれんが流行っていない。今の流行って全部そんな感じなので、レコ大だからどうこう、って感じでもない。あくまで自分の感覚だけど。一昨年最優秀新人賞を受賞した西内まりやはちっとも曲売れてないよ!


もし仮に昨年買収がされなければ誰が受賞したのか。三代目 J Soul Brothersじゃなくても、同グループの親玉EXILEか、同じく過去の受賞に買収の疑惑があるAKBが関の山。結局「誰でもそんなに印象は変わらない」わけで、他の可能性のあった候補者の可能性の芽を摘んだわけではあるまい。


自分は正直誰がこの件に怒っているのかよく分からない。いつもの「正義の立場から叩きたいやーつ」くらいだろう。誰も被害者がいない。出来レースかもしれないが、出来レースで泣く人がいないならいいじゃないか。中学生の委員会選挙くらい出来レースでも、誰も困らないんだから。お仲間内でお金を融通し合って気持ち悪い関係を築き、そして廃れていけばいい。


百歩譲って「買収という響きが悪い」と言うならば、もう「レコード大賞」に関してネーミングライツの権利を支払うことにすればいいんじゃないのか。「LDHプレゼンツ 日本レコード大賞」であれば、その命名権に1億円払うのは決して高い金額ではないし、このレコ大で三代目 J Soul Brothersが大賞を受賞しても「そりゃそうだろうね(笑)」となって、全てが平和に収まるんじゃないのか。


あとは本当に買収があるかどうか証明するために、高須クリニックの高須院長あたりが3億円をポンと支払うことで、高須クリニックのドバイ編のCMに流れている「Beautiful Smile 〜NO MUSIC, NO LIFE.〜」を歌うSOFFetが受賞出来るかどうか試してほしい。