長須ぎる会議

映画「清須会議」観てきました。以下感想多少ネタバレ含むので今後見る予定の方はお気を付けください。


点数で言うと70点くらいです。三谷映画ではありますが笑いの要素はそれほどではなく、割と丁寧に「清須の評定(会議)で起きたであろう展開」を描いた映画かと思います。歴史が好きな人と大泉洋が好きな人は楽しめるのではないかと思います。逆に人物相関を含む清須会議に関する大雑把な説明が映画内ではほぼゼロなので、歴史の知識がない人はおそらく「??」なまま話が終わってしまうはずです。予備知識を入れておいたほうが絶対に楽しい。そこらへんはアナウンスはしとくべきなんじゃないかと。


話は面白く、特に大泉演じる秀吉が大活躍。のちに天下を取るわけで、もちろん会議でも秀吉の望んだ展開になるわけですから、彼を主人公として物語が進むのがもちろん王道。話としても分かり易いです。しかし三谷幸喜はこの会議で敗れた柴田勝家の人間くさい部分を描くために、やや柴田寄りの目線で物語を回していくわけです。役所広司が大泉より役者として格上だからクレジットが先なわけではなく、三谷は柴田勝家を主人公として意識しているからこそ最初に名前が登場するわけです。


登場人物全員に優しい三谷作品だからこそ、会議で敗れ時代から取り残されるが、同時に彼に対する救いを描きたかった三谷の心情が分からないわけではない。いかにも三谷が好みそうな人物であるし。しかしその思い入れが最終的に「映画が長い」という最大の欠点につながっているのはもったいないと思う。


序盤から中盤にかけては、なんとなく結論は知りつつも「いったい会議はどうなるんだ」という話の推進力はある。しかし会議の結論が当然に「終盤」と思っていた観客からすれば、その後の展開は正直「蛇足」でしかない。会議による世代交代と秀吉と勝家、特に勝家の心情を描きたいのは分かるんだけど、やっぱり冗長なんだよなあ。観客を、少なくとも自分を最後まで引っ張りきれない。この映画が90分、長くても120分で納まっていればもっと評価は上だったかもしれない。


豪華キャストもおそらく足枷。このキャストじゃなければ省いてもいいのにな、という場面もちらほら。「THE 有頂天ホテル」のような感じであればキャストの豪華さは楽しいけど、ちょっと無理があった気がする。詰まる所は三谷幸喜の「登場人物全員に注ぐ愛情」が過多であり、最終的に見てる側は全部を受け止めるにはちょっとキツいんじゃないかということ。


次回作はもうちょっと短くまとめてください。