21世紀枠

世にも奇妙な物語 21世紀 21年目の特別編」の感想を。なんでこんな微妙なタイトルがついてるのか、と訝しんだのだけれど、震災の影響で放送が延期になっていたので、今更「春の特別編」と銘打つこともできずこんなタイトルになったようで。しかし2011年の今「21世紀」のタイトルもないと思うんだが。


つうわけで、以降、いつもの。

ドッキリチューブ

坂口憲二主演。過激なドッキリ映像をネット配信で流すことで大会社に成長させた社長(坂口)は、1億アクセスを突破させるために部下にもっと刺激のある映像を企画しろと命令する。そこで部下が考え出したのは社長自らがドッキリの対象となること。過剰ともいえる暴力にさらされ、最終的にはビルから突き落とされる社長。その途中で目にしたのは、「ドッキリ大成功」と書かれた看板と、「1億アクセス突破」という文字だった。


発想は実にシンプルでオチも単純なのだが、というところ。社長がビルから落ちるところで話は終わり、社長がどうなったのか結末はボカされているわけだが(たぶん死んでるとは思うんだけど)、あれは死んだことがわかってこその話なんじゃないかと思う。あれで生きてるんであれば結局「社長してやったり」の話であり、特に怖いこともなんもないんだろうけど、死んでしまってこその「奇妙な世界」だよなあ、と。「ドッキリと現実の境界線があいまいになっている」という話じゃないのかなあ。なんか落としどころというか、解釈のされ方が中途半端かなと思わないではない。

分身

大森南朋主演。お見合いで知り合った妻(杏)が開設しているブログに、別人になりすましメールを送る主人公(大森)。メールのやりとりをしているうちに徐々に本音を語り始める妻。いよいよ正体を明かし実際に会うことになったが、会おうとしたら妻には「あなた誰ですか」と言われ、そこに登場したのは主人公が作り上げた架空の人物そのものだった。


今回の「感動」担当と思わせておいて「自分が」パターン。正確にいえば「自分がパターン」でもない。不思議な話、というだけで片付けてしまってもいいのだけど、辻褄が合わないというのも含めて「しっくりこない」印象の話。メールで別人に成りすましているうちに実際にその別人が人格化してしまった、という話ならば「あなた誰」はおかしい。主人公の生活がオール妄想であった、という解釈もできなくはないけど、最後消えてしまうゆえそういう意味でもないらしい。意図的であるにしろないにしろ、なんかこのしっくりこなさが気持ち悪い。

通算

松平健主演。定年を間近に控えた刑事(松平)が「自分は働き続けても誰も祝ってくれない」とボヤいた翌日、通算出勤回数など、ことあるごとに通算記録がお祝いされるようになる。明日退職を控えて逮捕した犯人が通算100人だったはずだが、なぜか100人目のお祝いはされない。理由を聞いてみたら「ひとりは誤認逮捕だったのでまだ99人である」と言われる。主人公には心当たりがあり、その誤認逮捕の犯人に罪をかぶせ現金を盗んでいた。そこで自らを逮捕することで無事100人逮捕を達成するのであった。


今回のアホ担当。アホ担当ではあるんだけど、終盤に無駄にシリアスになる。けどいつの間にか2時間サスペンスの定番であるガケに場面が移っていたり、とあくまでアホ担当であることを忘れていない。マイケル富岡だけでアホ。

缶けり

永作博美主演。30年前に缶けりの最中行方不明になった男の子を見た同級生が次々と死んでいく主人公(永作)。その男の子はいまだに缶けりを続けており、見つかった人間からオニに捕まる形で男の子のいる世界、つまりあの世を連れて行かれるのであった。最後には主人公も見つかって死んでしまう。


ホラー担当。まあ話の通りで特に怖いこともないんだけど、その男の子を演じた子役の顔がなかなか怖くて、今の子役は本当に侮れないなあと。タモリが最後に「もし主人公が突如出現した缶に気づいて蹴っていたらどうなっていたんでしょう。だって、缶けりなんだから」という言葉が結論であり蛇足である。それを主人公以外の登場人物に説明させて死んでいくくらいの工夫は欲しい。

PETS

谷村美月主演。演出脚本は「美女缶」を手掛けた筧昌也。主人公は人間(国仲涼子)に飼われている犬(谷村)。新しく知り合った恋人に捨てられるが、恋人に逃げられた人間がまた自分を探していることを知り、感動の再開を果たし、また元の主人の家に戻ることになる。


筧昌也の割には、すげえふつうの話で一応「感動担当」になるんでしょうか。もしペットがペット目線で現実世界を見ていたら、という話。タイトルからも劇団四季のミュージカル「CATS」を意識してるんでしょう。国仲涼子も可愛いけど、谷村美月の犬姿がすげえ可愛く、そして犬姿の国生さゆりも可愛いというそれだけの話だったりする。


全体を通してみれば「こんなもん」でしょう。特段つまらんこともなかったけど、面白いと思える作品もなかったかなあ、と。次はふつうのタイトルで秋にお目にかかれることを期待しております。