功労賞のようなもの

キングオブコント2010
いまさら何を書く、という感じもしますし、散々出尽くされたであろう議論をネット上の評判を一切見ずに書くので、既視感があったらごめんなさい。


優勝はキングオブコメディということで、そんなに異論のある人もいないのではないかな、と。あるとすれば「ピースのほうが面白かったんだけど」という意見だろうか。さすがに「エレキコミックが優勝だろ!」と叫ぶ人はいない。はず。エレキコミックはネタのチョイスが完全に下手だと思うんですが。


最初は異論が多かった「芸人審査制」ですが、点数制に加え、2つのコントの合計得点という制度が、「より違和感のない審査」を演出するのに都合のいい仕組になった。もちろん当初から言われていた「タテの繋がり」という点は大いにあるわけですが、前回今回と最大派閥の吉本ではなく人力舎の芸人が優勝しているため、この批判は有効とは言えなくなってきている。松本が思うところの「芸人性善説」を体現しているのかもしれない。


しかし自分は今、あまりそう思っていない。むしろ芸人による審査だからこそ、大いに「馴れ合い」の側面が強くなってきているのではないだろうか。


敢えて誤解を招くような書き方をしたが、それは「デキレース」だとか「やらせ」という意味ではなく、「その場の瞬発力で面白い芸人が優勝する」というよりは、「出場芸人の色々な要素を加味して、優勝に相応しい芸人が優勝という評価を与えられる」と言ったほうが正しい。2本披露して、その合計点というのも「1発勝負での紛れをなくすため」というよりは「2回やることで点数の調整が利く」と考えられなくもない。


昨年自分は東京03の優勝に関して「芸人が祝福するに値すべきコント」と書きました。今年もその流れは続いている。でも自分は「そういうことがあってもいい」とは思うんだが、それがずっと続くと「それは単純に芸人同士の功労賞みたいなもんだろう」と思ってしまう。「この人面白いしずっと頑張ってるから1千万円あげよう」となるんでは、あまりガチンコの賞レースを謳う必要がなくなってしまう。


そういう目的で与えられる賞の存在は否定しません。なかなか日の目をみない芸人を評価する場所ってのは必要ですから。しかし、それを「その時一番面白いコントをしたやつが優勝」みたいな説明にしてしまうと視聴者との間に若干の齟齬が出る。


番組の、そしてテレビの文脈を読めば、お笑い好きにとってはキングオブコントほど優勝予想が容易い賞レースはない。なぜなら、芸人の気分で今までの力関係を考えれば、自ずと結論は出るからだ。でもテレビを見る人はそんなことを考える人ばかりではなく、単純に「面白い人が優勝」と思って見ているのだ。そういう人たちが抱きかねない違和感が今後増幅しないことを願う。