はまってしまった

ブザービート
月9には常に「かつてのトレンディドラマの復権」というテーマが課されているように思えるのだけど、今回は今まで以上に意図的に「トレンディドラマ」だった気がする。個人的にもかなりツボで、なんだか一時的に「トレンディドラマ全盛の時代」に戻してくれるような感じがして、ドラマ見ながら何度「ぬぉわーーー」と意味不明な叫び声を出したことか。年甲斐もなく、いや年甲斐があるからこそハマったのかもしれない。


初回の感想として

恋愛ドラマを真剣に楽しめることの出来る10代か、こんなドラマを見ても余裕でかわせる大人の女性は見ればいいと思います

だなんて書いたのですが、一番合わないと思っていた20代男性(非モテ)の自分がハマってしまうのだから、改めて自分の見る目のなさを痛感した。


嬉しい誤算だったのがやっぱり菜月を演じていた相武紗季。これまた初回の感想で

相武紗季本人に悪い女の素養が全くないらしく、演技の空々しさが目立つ

だなんて書いてますが、「悪いオンナを装っているけども、結局はいい女にも悪い女にもなりきれない人」という複雑かつ微妙な女心を表現するに至っているわけであります。ま、結果オーライの部分はあるでしょうけども。しかしこのドラマの(個人的な)盛り上がりとして相武紗季が寄与していたのは事実ですから。最終話で再度直輝に告白してフラれ、悪いオンナのフリをして気丈に別れ、そして泣き崩れるシーンはベタながら相武紗季史上最高の演技だったような気がします。


あとどうでもいい部分で気になったのですが、女性で隠れてタバコ吸っている人は現実世界でも度々見かけますけども、大体の場合他人にバレてないと思っていてもバレてますよね。特に長年付き合っていたのに直輝(山下)が気付かないなんてことはまずないと思うんです。「直輝がかくも女性に鈍感である」という意味での演出だったのかもしれませんけども。


山下の肝心なときにヘタレな感じは「プロポーズ大作戦」と一緒だが、どうも自分のツボのようでまんまとハマってしまった。北川景子は奇をてらわない王道の演出に安定感があった。伊藤英明はいい人過ぎたが、トレンディドラマに必要なのは相武紗季演じた悪女とともに、物分りの良すぎるいい人だってことを脚本はちゃんと心得ていた。


その他出演者の中で気になったのは直輝の姉を演じていたちすん。出番は少なかったものの要所要所で印象に残る演技。世間的にはNHK朝ドラ「風のハルカ」で知名度を上げたようだが、個人的に気になったのは「名探偵の掟」から。美人だし非常にスタイルもよく、今後ドラマで重宝される予感。


ドラマ全体の構成も思った以上にしっかりしてました。最終回では初回と立場を逆転させてバスを追いかけさせてみたり、別れ際に菜月にプライド云々のくだりを言わせてみたり、最初に直輝が莉子(北川景子)を意識したフリースローシーンを意図的に再現してみたりと、張ってあった伏線をきっちり回収するあたりの丁寧さはさすが大森美香と言うべきか。ドラマを毎回きっちり見ている人間からすれば、こういうあたりに好感が持てる。


自分が思った以上にベタ好きであることと、実は結構山下智久が好きなのではないかという疑念が自分の中で拭えないのですが、このドラマにハマったことは紛れもない事実として記憶しておきたいと思います。恥ずかしながらの80点。


あと、次の月9「東京DOGS」っておそらく「あぶない刑事」を意識したんだと思うんだが、自分にはどうしてもこっちにしか思えない。押尾先生……