信じられないけど現実さ

31日から映画「20世紀少年」の第2章が公開されるということで、その前日にDVDおよびブルーレイ発売ということもあってか第1章の特別編集版「もうひとつの第1章」が日テレで放送された。予習してから明日映画館に来い、つうことである。まあ行く気は全くないのだが。


自分の場合は原作既読で映画は見ていないので、「もうひとつの第1章」と言われてもせいぜいカンナ部分が足されているくらいしか分からず、特に何が増えて何が減っているかを気にすることもなく普通に楽しめた。原作既読の方ならみな抱く感想だろうが「漫画がそのまま動いている」という感じ。再現度という意味では百点と言ってもいい。


ただその一方で端折られている部分も結構あり、映画だけを見て今後の第2章以降を理解するのは結構厳しい。自分は当然に原作のストーリー展開を折込済みだからこそ、さほどストーリーに疑問を抱くこともなく見ていられたが、何の予備知識もなく見ていたら最初の15分くらいで「?」となり、それが解消されないまま最後まで行ってしまうのではないかと。


特に物語のバックボーンとして重要な大阪万博の描写が少ないのが気になる。勿論権利関係その他諸々あって多くを登場させることが出来ないのだろうけども、ここの部分をしっかり描かないと作品の雰囲気が違ってくるような気はする。それでも2時間という枠内で物語をある程度進めるには仕方のないことなんだろう。


第1章の最後は、主人公ケンヂが子どもの頃書いた「よげんの書」が「ともだち」の手によって現実のものとなり、地球を壊滅状態に追い込む細菌兵器が東京に登場し、それを止めるために立ち向かうところで終わった。そう、当時のケンヂにとっては本気だったけども、その将来に起こるはずのなかったものが現実となってそこに登場したわけだ。


そんな体験を奇しくも同日自分も味わった。そう、再結成したユニコーンが「ミュージックステーション」で新曲「WAO!」及び「すばらしい日々」を披露したのだ。多少強引な話の進め方であるが、こちらが本題なので許してほしい。


自分にとってユニコーンはドンピシャの世代ではない。しかし姉の影響で小さい頃から聴いていた故、大ファンとまではいかないが同世代の中では聴いていたほうだと思う。なもんで、今年に入ってすぐユニコーン再結成のニュースを聞いたときは普通に驚いた。再結成はされないというのがユニコーンにおける定説となっていたからだ。


物心ついた頃にはユニコーンは既に解散していた。だからモノの映像なので動くユニコーンを見たことがないわけではないけど、リアルタイムで活動しているユニコーンを認識するのはほぼ初と言ってもいい*1。まさかこんな日が来るとは思わなかったというのは偽らざる本音。


というわけで「Mステ」で彼らが歌う姿を見て、「信じられん……」という気持ちとともに新曲を楽しそうに歌い、そして名曲「すばらしい日々」を当時よりもややまったりとした感じで歌う奥田民生を見て「なんかこれは現実の出来事なんだろうか」と思ってしまった。そこにいるのは紛れも無いオーバー40のオッサン達のバンドなのだけども、なんかそこの空間だけ時間がすっぽり抜け落ちて我々の目の前にいるような、そんな不思議な感じ。


思い入れのない人にとってみればただの昔のバンドの再結成なんだけど、やはり自分を含めたある程度年齢が上の人間にとってみれば、「いいもん見た」とも違うこの変な感慨はきっと共通していると思う。

*1:但し奥田民生だけはchar、山崎まさよしと行った「三人の侍」というツアーで数年前に見たことがある