「長所」が「短所」

録画しておいた映画「ダ・ヴィンチ・コード」をようやく見終えた。長かった。


映画の放送に先駆けて原作も読んでおこうと思い、放送前に読み始めたのだけど読み終えたのは放送してから数日後。結局映画を見終えたのが先日とえらく時間がかかってしまった。


けど結果的に原作を読んでからでないと映画を見て大正解。なぜなら映画だけを見ても展開が超絶に早過ぎて何やってるんだか分からないこと請け合いだったから。原作を読んだ直後に見てようやく理解出来る映画って何かね、と思う。


これってどう考えても原作既読を前提としている映画だ。そりゃアメリカではバカみたいに売れた本だから映画を見る大多数の人が原作を読んでいるという仮定が成り立つのかもしれないが、そんなことを前提に作られても映画としては困る。何の予備知識もなしにあの映画をちゃんと理解出来た人はいるんだろうか。


原作のよさは絵画や歴史に対する薀蓄を交えながらもああだこうだ言いながら謎を解き進めていく「説明の長さ」がいいわけで、その部分が映画ではばっさり抜け落ちている。セリフだけで映画を構成しても、そりゃ何のことか分からんし展開も早くなる。


結局この原作のいいところは「長さ」だったのに、その「長さ」を出来るだけ割愛しストーリーを進めることに専念してしまった映画は「ただ時間が長いだけ」の短所にしかなってない。ま、原作既読者には「自分が頭の中で描いていたものの映像化」という意味では楽しめるという点では価値はあると思いますが、そうでない人には何の価値もない。同じ長時間費やすなら是非原作を。