踊る大ネット線

カップヌードルのCMが1週間で放送中止になったそうで。


概要をいちいち説明するのが面倒くさいので、大雑把にいうと「矢口(新垣隆も?)がCMに出ることに気に食わない人による抗議が多く、結局日清側がCMを取りやめた」という感じ。それも「世間の声とかどうでもいい」という文句を謳っておきながら、である。世間の声に流された結果の放送中止とは、これ情けない。


しかしこの流れ、自分はどうにも「ムムム?」と川平慈英(のマネをする博多華丸)なみに言いたくなるのである。なんかこう、あまりに分かりやすくないか。釣り針垂らされている感じ。


矢口がカップヌードルのCMに出演するという話題は、自分もネットでCM放送前に目撃していた。それに対して批判的な意見が多いのはもちろん「どうせ抗議殺到して放送中止になる」みたいなことまで書かれていた。まあ自分も「抗議は殺到するんだろう」とは思っていたけども、放送中止になるとは考えていなかった。なぜなら、ここまで抗議が殺到することが「容易に想像できる」CMを作っておいて、抗議が殺到することによって「はいそうですか」と放送中止をするくらいなら最初から放送しなければいい。裏を返せば、そうならない策があるか、あるいはそうなっても貫き通す性根が座っていてのCMなんだろうと自分は思っていたのだ。


それがネットの声通り1週間足らずでの放送中止。「当たり前だ」という声とともに湧き上がる「こんなCMですら許容できないのか」という擁護派がゾロゾロと登場する。「ワイドナショー」での松本人志を筆頭に、ゾロゾロと。そりゃそうだろうなと思う。表現者からすればこの処置は「許せない」ですよね。メッセージの是非はともかく、そのメッセージすら封殺するような動きには反応して当たり前。


さて、考えてみてほしい。この流れから来る「次の一手」は何だろうか?自分の考えは「この騒動を踏まえた新たなCMが放送される」である。しかも「収録は既に行われている」と踏んでいる。当たっていたら誰か褒めてほしい。間違っていたら貶していいんで。


変な言い方ですが、自分はプロフェッショナルの仕事と情熱を信じているほうです。もちろん「プロフェッショナル」という名に値しないプロがいることも事実ですが、日清という大企業がオファーをするCMのプロなんてのは、それはもうプロ中のプロでしょう。ネットで騒ぐ下劣な奴ら(自分含むだよ!)の浅はかな考えなんてのは、何十周と思考を巡り巡って辿ったうえで結論を出している。と自分は信じたい。実際は分からんけどね。


そんなプロ中のプロが手掛けたであろう日清の大看板「カップヌードル」のCMにおいて、矢口や新垣隆を起用したことで騒動になることを予見できなかったことがあるだろうか?絶対にない。また、騒動の収拾として「CM放送中止」だなんて安易な方法を選ぶだろうか。もちろんその可能性がゼロではないだろうが、自分の考えでいけば「限りなく低い」と思う。ではなぜこんな方法を選んだのか。


答えは簡単だろう。それは「この騒動がまだCMの一部だから」でしょうよ。陰謀論めいた言い方はあまり好きではないんだけど、それでもこの「あまりに分かりやすい騒動の推移」から、自分は「日清に上手いこと泳がされている」としか思えないんだよなあ。矢口を起用したら世間がザワつくことも、1週間で放送を中止したら擁護する意見が噴出することも、そしてよきタイミングで続編を打ったら、その内容がどっち側に転んでいてもやっぱり話題にはなる。CMの最大の成果は「話題になる」ことだ。矢口を起用したからといってカップヌードルのイメージが下がるか?いいや、んなことはない。依然として売れ続けるのだ。新商品には決してできないこの戦法も、即席めん業界の大横綱でレジェンドであるカップヌードルには多少のことではビクつかないブランド力でもってこの戦法が出来る。そしてその戦法に、「頭の足りない」ネット民やクレーマーはまんまと乗せられる。そんな青写真を描いた「ちょっと賢いプランナー」がプロ側にいるんじゃないのかなあ。


日清は数日後しれっと「騒いでくれて我々に利用されたアナタ、おバカ大学入学おめでとう。ただしオマエラは本当の意味での“バカ”だけどな」とCM流してやったらいいんですよ。ネット炎上は起こす側から利用する側へ。そろそろそういう賢い人間が出てくるそんな時期だろう。