もずくん

札幌の街中を歩きながら考えていたどうでもいいことをここに書いてみたいと思います。


たむらあつし(ロンドンブーツ1号2号の田村淳)が出した「もずくん」はなぜ不発に終わったのか。


なぜ2002年に出された曲のことを今更蒸し返して考えなければならないのかと思う方もおられるでしょうが(おそらく全員でしょうが)、そんなもの自分だって分からないんだけど思いついたのだから仕方がない。だから書く。


「もずくん」とはロンブー田村淳が「たむらあつし」と名前を平仮名表記にして歌った曲である。その名の通りもずくを題材にしており、思いっきり子供向けの歌詞と「おかあさんといっしょ」のような歌のお兄さん風を装った田村が子供を引き連れて、いかにも幼稚園に通う子供が踊りそうな振り付けでもって発売された。この年は「おさかな天国」がスマッシュヒットを飛ばした年でもあり、要するにあざといくらいまでに2匹目のどじょうを狙ったのだけども、結論としては失敗したと言ってよい。


当時のCD売上を調べようと思ったのだが、どうにも正確な数字が出てこないので断念。ただ2002年のCD売上トップ100に入っていないのは間違いないので、スマッシュヒットというわけでもなかったことは記しておきたい。ちなみに「おさかな天国」は42位に入っている(約40万枚)。


「所詮2匹目のどじょうはいない」というのは至極もっともな話でもあるのだが、それで終わってしまうのでは寂しいので、この曲と対照的に2匹目のどじょうを狙った挙句しかも大ヒットした曲である、とんねるずの「ガラガラヘビがやってくる」を引き合いに出して、「もずくん」と「ガラガラヘビがやってくる」の違いは何だったのかを考えてみようと思う。なぜ考える必要があるのかは分からない。


「ガラガラヘビがやってくる」とは、とんねるずが1992年に出したシングル。90年に発売され大ヒットしたB.B.クイーンズの「おどるポンポコリン」の流れを汲むような子供から大人まで楽しめるような曲であった。発売された年こそ違うが、「ガラガラヘビがやってくる」には「おどるポンポコリン」の2匹目のどじょうを狙った感じが今思えば色濃く見える。当時まだ小学生だった自分にはそんなこと考える余地もなかったけども。


そして当時小学生だった自分はやはり知る由もなかったのだが、「ガラガラヘビ」の歌詞は非常に下品である。表現こそ子供向けにボカされてはいるが、その中身は手当たり次第に女性を食いまくる男。あんな卑猥な歌詞を子供の頃無邪気に歌っていたと思うと、なんだか恥ずかしいようなそうでないような奇妙な感覚ではある。とんねるず(というか、作詞した秋元康)の狙いはまさにそこにあったのだろうけど。


その一方で「もずくん」(作詞はたむらあつし本人)は、結構ストレートに「もずくはいい」ということを歌ったに過ぎない曲。もちろん「おさかな天国」のトレースの手前、商品を褒めるに越したことはないのだけども、簡単にいえば面白みがなかった。本当のトレースに過ぎなかったのである。せっかく1番では精力増強について触れているのに、2番では美容だとか長生きだとか完全に日和ってしまった。


田村淳という人間の器用さは芸能人の中でも群を抜いていると思うが、「もずくん」に関しては秋元康に及ばなかったのかなあと。最近の秋元康、というか現在進行形で存在する秋元康的モノには辟易するけども、「ガラガラヘビがやってくる」の歌詞に関する巧みさってのはやはり褒めるべきことなんだろうなあ。


というわけで結論なのだが、「もずくん」がなぜ不発に終わったのか、それは「歌詞にひねりがなさすぎた」というすげえつまらない着地点である。そして今までの筋道を踏まえて出される改善点は「もずくのよさを延々語るフリをして、単に精力増強に絡んだ下ネタメッセージしか残していない」というものにすれば良かったのではないでしょうか。


もしくは「所詮あざとさが目立った」という一行で済むような理由だと思います。さらに、なぜ今更こんなことを書くのかは冒頭に断ったとおり自分でも分からない。