原体験

田村正和が死去していた。77歳。こういうニュースに触れるにつけ「ああ、また昭和は遠くなったな」と思うわけですね。

 

自分にとっての田村正和はやっぱり「古畑任三郎」なわけです。もちろん全シリーズ見ているし、どの話が好きか、なんて話題を振られれば逐一丁寧に話すことは出来る。どれか一本選べと言われれば古畑の面白さが分かりやすく詰まっている1stの「汚れた王将」(坂東八十助)かなあと思うし、見応えがあるのは「今、甦る死」(藤原竜也石坂浩二)だと思うし、やっぱり豪華だなあと思うのは「古畑vsSMAP」だなあと思う。なんにせよ古畑の話はたくさんできる。

 

古畑の原作者である三谷幸喜が手掛けたドラマ「総理と呼ばないで」も古畑同様主演は田村正和だった。後に三谷は「記憶にございません!」という映画を撮るが、これは「総理と呼ばないで」のリメイクだったように思う。映画の主演は中井貴一だったけども、もし田村正和があと10歳若くて健在だったならば、間違いなく田村が演じていただろうと思った。

 

自分の中での大部分はどうしても古畑任三郎なのだけど、もうひとつ挙げるとすれば「さよなら、小津先生」が思い浮かぶ。生徒として森山未來永山瑛太(当時EITA)が出ていた。当時はまだ両者とも無名なのだが、とても印象に残った。だからこそ今もって第一線で活躍している俳優になってるんだなとも思う。前田敦子の元旦那も出ていたのだが、殆ど記憶にない。

 

実際に自分がちゃんと見たドラマであれば上記の二つであるが、田村正和の原体験はこの二つではない。自分が田村正和田村正和として認識したのは、何を隠そう「とんねるずのみなさんのおかげです」における石橋貴明のモノマネである。

 

当時の「みなさんのおかげです」はドラマに限らず、色々なもののパロディをしていた。その中でも田村正和主演のドラマ「パパはニュースキャスター」や「ニューヨーク恋物語」は石橋貴明扮する田村正和でパロディにされている。自分が子供ながらに「田村正和という人がいる」というのを認識したのは、舌っ足らずでボソボソ喋る石橋貴明でしかない。もっと言えば「おかげです」の名場面集では必ずと言っていいほど放送される「それいけマサカズ」の「火事の現場から頭が燃えながら立ち去る田村正和」が、自分の中の田村正和原体験だ。そしてちゃんとあるYouTube。感謝しかない。

www.youtube.com

これ見て育っているんだから、30代と40代の大人はみんなとんねるずが大好きなのです。既に田村正和は火葬されているのだろうが、そのとき火葬場から頭が燃えたままふらっといなくなる田村正和を見た人がいるとかいないとか、そんなことを考えてしまうわけですね。ご冥福をお祈りします。