1年越し

熱血!平成教育学院」にて磯野貴理がいつも以上に空回りしてました。多少空回りするのは芸風ですが、あそこまで空回ってしまうと「あれ?」と思う。


別に磯野貴理にそれほど興味があるわけではないので、ただ漠然とそんなふうに考えていたわけだが、ふと「あ、そういや“磯野貴理”に改名して1年経ったなあ」と思い出した。


昨年の正月に「磯野貴理」に改名してはや1年。チャイルズ時代の「きりこ」を経て、今までは本名かつ芸名の磯野貴理子(正確には結婚してからは正司貴理子だけど)でやっていたわけで何の問題もなかったわけだが、昨年急に「貴理のほうがゴロがいい」という理由で改名にいたる。誰しもが「そうか?」と思ったような気がするが、特段反対する理由(あるいは止める術)もなく「磯野貴理」になった。


芸能人の改名についてはここでも何度も取り上げ、その度に「いらんことするな」と書いてきた。一旦覚えられた名前を改名するのは本人にとっては「心機一転」になるかもしれないが、視聴者はついてこれない。というか芸能人の都合にそんなに付き合ってられないのである。もちろん慣れてしまえばそれまでなのだけど、芸能界において改名した後も慣れてもらうまでテレビにコンスタントに出演し続けるのがいかに難しいか、というのは想像するまでもない。特に改名する芸能人は風向きが悪くなったところで改名をする傾向があるので尚更だ。


そして改名した芸能人は多くの場合、数年後に何事もなかったかのように元の名前に戻す。もはや相原勇が曙と別れたあとに本名の「YASUKO」という名前に改名したことなど誰も覚えていない。昨年末に放送された「イカ天」の復活番組では普通に「相原勇」として出演していた。そりゃそうだろう。「YASUKO」で出演されてもピンとこないし。


酷い例になると、お笑いコンビのライセンスが思い浮かぶ。一度番組の企画で「ザ・ちゃらんぽらん」に改名させられた。吉本の先輩芸人に「ちゃらんぽらん」がいるにも関わらずである。そして半年後には再び「ライセンス」に戻された。罰ゲームゆえの期間限定の名前だと考えることも出来るかもしれないが、こういういたずらな改名は単に混乱を招くだけで誰も得をしない。


改名をしても定着しなければ大抵の場合は元に戻す。自分はこの法則に則って、「磯野貴理」という名前もはやいとこ「磯野貴理子」に戻すもんだと思っていた。未だに紳助なんかは「キリコ」と呼び続けるし(石坂浩二のことを本名から「兵ちゃん」と呼び続ける大橋巨泉とは意味が違う)、自分もこの文章を打ち込むときに何度「キリコ」と打ちそうになったか分からない。本人は「ゴロがいい」と言い張るけども、自分からすれば汚い表現で申し訳ないが全部すっきり出し切らない残尿感のようなもやもやがある。なぜ「キリ」までで止めなければならないのか。「キリコ」まで言わせてくれ、と。


しかし3ヶ月経っても半年経っても元の名前に戻した、というニュースは聞かないし、そのような様子も苦情もない。そして気付けば改名して1年が経ってしまっていた。おそらく年が明けてちゃんと貴理子を見たのはこれが初めてだったと思うが(もちろん収録当時は2007年だけど)、やっぱり改名するという報告はない。今年も「磯野貴理」で行くんだろう。


自分は年明けも「磯野貴理」のままであるキリコ(と敢えて書くが)を見て、ようやく「ああ、この改名ってマジだったんだな」と思い至ったのである。別に改名するのに本気も冗談もないような気はするが、お気軽な改名はお気軽に元に戻してほしいんだけど、1年も引っ張られてはこの後「やっぱり貴理子に戻します」と言われても「じゃあ最初から変えるんじゃねえよ」と言いたくなる。「貴理」が「貴理子」に戻すのが許されるタイムリミットは1年だったように思えるのだが、それをスルーしてしまったということは今後もずっと「貴理」でやっていくということか。


本人はどう思っているのかは知らんが、個人的には改名して1年という月日が流れたという事実は「コロコロ名前を変えませんよ」という決意表明であるように思え、そして「今後自分はあの残尿感を引きずったままずっと「キリ」と書くべきか「キリコ」と書くべきか悩むんだろうなあ」とどうでもいい悩みを抱えたことになった。あー、すっきりしない。