リバイバルブームの果てに

昨今はリバイバルブームのようですね。テレビドラマではリメイクや続編が作られ、音楽業界でもトリビュートアルバムやらカバーやら、やたらと昔の楽曲を歌いたがる。これもひとえに「原点回帰」だなんて殊勝な心持からではなく、単純に「昔売れたものは、今作ってもきっと売れる」というどこか安易な気持ちがそこに見え隠れしていることは否めない。

それはマンガ業界にまで蔓延しているようである。マンガ業界でリバイバルを仕掛けたのは「コミックバンチ」が最初であろう。バンチは主に昔のジャンプで連載していたマンガの続編を掲載することで当時のジャンプの読者層だった30代くらいの読者層を取り込み、昨今では厳しい雑誌の創刊において成功したという稀有な例となっているようだ。

さて、そんな動きを業界そのものが見逃すことはなく、悪影響が出始めている。週刊少年マガジンで「天才料理少年 味の助」という連載が先日始まった。これというのも、以前マガジンで連載されていた人気料理マンガ「ミスター味っ子」を彷彿とさせるのだ。ていうか、そのまま。もう世代が違うからそんなことが起こってもまあおかしくないとはいえ、ちょっと情けない気分になる。

しかし、そんな事態に「ミスター味っ子」の作者、寺沢大介氏も黙ってはいなかった。さて、どんな手段に出たのだろう。それは「ミスター味っ子2」の連載が「イブニング」誌(出版元はマガジンと同じ講談社)で始まったのだ。これには正直、アゴが外れかけた。実際に一回アゴをはずしたことがある自分としてはまんざら冗談でもない。

その第1回の内容といえば、大人になった主人公の味良陽一が旅の途中で出会った少年となんたらかんたら、つうありがちな展開である。しかも干上がった砂漠地方で魚がどうたら、とかいうネタを引っ張っていたのだが、おそらく泥の中で冬眠する魚だろう。レギュラーになる前の「まさかのミステリー」で取り上げられていた。しかもその魚は結構な美味だとか。

というわけでオチがテレビで以前に取り上げられていたというこれまた結構恥ずかしい事態に陥っているのに加え、根本的に「復活するのかよ」というなんだかもうやるせない気持ちは歯止めが利くことなく加速しているような感じである。ドラマもCDもマンガも以前のように売上が伸びず、低迷状態になっていることは言うまでもない。だからと言って何にすがるのかといえば、先人たちが作り出した過去の遺産を食いつぶすような真似を平気でやるのである。

しかも、マンガの場合は自分の財産を自分で食いつぶすわけだ。もう、オリジナリティとか新たな作品に対する意欲とか、そういうものが殺げてしまったのだろうか。それとも、編集者のせいなんだろうか。どっちにせよ、リバイバルブームの果てには、破滅が待っているとしか思えない。なんとかしろよな。

(追記:実は味っ子2の初回のネタは泥の中で冬眠する魚ではありませんでした。ごめんなさい)


今日の長井秀和風ネタ
「もし紅白の目玉として女子十二楽坊が出てきても、奴らは『歌合戦』なのに歌わないから、気をつけろ!」