ドラマ3考

「べっぴんさん」どうもこうもなく終わる

ここでもその「つまらなさをしのぐ方法」として「名倉潤ゲーム」を提案したことがありましたが、当然と言えば当然に、ちっとも面白さの兆しを見せることなく終わってしまった「べっぴんさん」。題材が悪かったわけではないとすれば、これはもうひとえに「なんとかならねえのかあの筋書」と言いたくもなりますわな。


近作でいけば「まれ」ぐらいどうしようもなかったから、それはそれで笑えるからいいじゃないっすか(まあ「まれ」の場合はドラマが終わってからのほうが話題を振りまいた感がありますが)。しかし「まれ」ほどぶっ飛んでいるわけでもなく、かといって「とと姉ちゃん」ほど脚本を着地させる力もなく、ただ最後は「引退した婆さんどもがわちゃわちゃ言ってるだけ」という、そんなもの朝から見せられても…という悲しさ。ネタになるならなる、ならないならちゃんとやる、という朝ドラとしての節度は持ってほしかった。おかげで新しく始まった「ひよっこ」は視聴率が20%を超えないとかでワーワー言われているが、「べっぴんさん」に比べればよっぽど安定していて妙に落ち着くわけで、なんかこう相対評価有村架純の好感度が自分の中でうなぎ上り。芳根京子が悪かったのは演技力じゃなくて運。

Perfume主演ドラマ「パンセ」

Perfumeが3人揃ってドラマに。しかも脚本は木皿泉。どうしようもない朝ドラがある中、今の日本では数少ない「客が呼べる脚本家」である。この組み合わせでドラマを作ったらさあどうなるね、というのはそりゃ気になる。んでまあ、前後編各30分計1時間のドラマを見た感想は「普通のドラマでPerfume3人を見てみたい!」である。


いやドラマ、全然悪くなかった。かといって手放しで「絶賛!」というほどのもんではないけども、Perfumeの持つ雰囲気を崩さずに木皿泉の世界観を上手いこと落とし込んでいる感じ。Perfumeもしくは木皿脚本のファンにはたまらない作品だろう。どちらもそれほど当てはまらない自分には「んまあ、こんなもんでしょう」レベル。


でもこれを見て「Perfume、普通のドラマで普通の役が見てみたい」と思ったのですよ。今回のドラマはあくまで「異質」だとは思うのです。テレ東であり、木皿脚本であり、そして何よりPerfumeであり。ここらへんの「異質」を全て排除して、Perfumeの3人が、あるいは一人ひとりがそれぞれただのドラマにいち役者としてドラマに溶け込んだ場合、ちょっと面白いのかなあとは思った。


こんなことを言ったら怒られるのだろうが、Perfumeは「役者の美人」ではないじゃないですか。いやもちろんアーティストとしてのPerfumeは素晴らしいわけです。しかし「美しいこと」を生業としている女優たちに混じった場合、そこでも突き抜けた存在ではないですよね。しかしその「役者に混じると控えめな存在感」が、逆に今のドラマの中では貴重なのかなあ、と。かしゆかが髪を後ろでまとめてOLの役なんてやったら「あれは誰?」ってなると思う。観たい。単純に自分が。

「火花」の鬱屈感

Netflixで配信された、ピース又吉芥川賞受賞作「火花」のドラマが今NHKで再編集され放送されている。小説はものすごく売れて話題になったが、ドラマは全然話題になってない。おかしい。もっと話題になっていいと思う。


そもそもNetflixで配信されたときに話題になったのか。もう「火花」は世間に広く認知され、ドラマになったところでその小説のストーリーに、展開に誰も驚かないからなのかと考えるが、どちらもピンとこない。自分は原作を読んでいないので、今回ドラマでそのストーリーを初めて知りながら見ているのだが、これが素直に引き込まれる。ドラマを見ている間、常に心の中にモヤがかかったような鬱屈とした気分にさせられる。なのに続きを見ずにはおられない。


これは自分が原作を読んでいないがゆえ、先の展開が気になるという部分も大きいのだろう。この先おそらく売れていくのだろう主人公の徳永と、この先壊れゆくのだろう先輩の神谷がどうなるのか。とても気になる。原作を読んでもいいくらいに気になる。特に波岡一喜の破滅感は抜きんでている。この人早稲田の政経出ているインテリなのに、どう考えても生粋のチンピラだもんなあ。


「カルテット」は録画してあるけど1秒も見てない。とりあえず「火花」見終わったら見ようと思う。