素直に断れなくて

・素直になれなくて
瑛太上野樹里主演のドラマ。twitterで出会った5人の若者のラブストーリー。


瑛太上野樹里というお馴染みの顔合わせに賛否両論もあるんだろうが、個人的にはここに水川あさみも入れて「のだめなのかラストフレンズなのか分からないカオス状態」を構築してほしかったんだけども、さすがにそうはいかないので水川の代わりに関めぐみ、つう感じ。


んでまあドラマの触れ込みとしては「twitterから始まるラブストーリー」つうわけで、いかにも現代チックというか流行に乗っかっただけ、というか、あまりいい印象ではなかった。そういや昔同じフジで「with love」つうメールで始まる恋愛、つうドラマもあったなあとかそういうことばかり思い出す。


そして脚本は北川悦吏子。「ロングバケーション」「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ」など、数々の恋愛ドラマでヒットを飛ばした大御所。彼女が描くtwitterから始まる恋愛はどのようなものか、というのは単純に興味がある。今年で49の北川はtwitterをどんなツールとして描くのか、も含めて。


しかし蓋を開けてみればなんてことはない、完全にtwitterは「出会いのダシ」でしかなかった。もう2話から殆どtwitter関係ないもの。出会ってしまえばtwitterだろうがグループメールだろうが、もう殆ど変わらない印象。いや自分もtwitterの有効活用方法がよく分かっていないので、twitterそのものがその程度のもんでしかないのか、それとも北川がその程度の理解しかしていないのかは判断つきかねるが、自分がドラマを見て感じる印象はそんなところ。


まあよくよく考えてみれば恋愛ドラマである以上は出会わなければ話が進まないし、twitterだけで話を持続させるつうのも土台無理な話。ダシとして使わざるを得ないのは明白ではあるんだが、じゃあ別にtwitterからの出会いを無理に全面に押し出さなくてもよかったのでは、と思う。


なぜなら、ドラマそのものは「結構面白い」からだ。いや自分は完全なる「ロンバケ」世代であるし、割とベタなドラマが嫌いじゃない。ついでに主演の瑛太上野樹里も嫌いじゃない。だからこそ評価にある程度のバイアスはかかっているんだろうが、それにしても誰が見たって「結構面白い」とは思う。


ベタに主演二人の動きを追うのもいいが、それ以外の要素が結構いろんな意味で面白い。ジェジュンは本物の韓国人なのに日本語が達者だが、ジェジュンの妹役の木南晴夏は逆に日本語をカタコトで喋っている感じは、ちょっといい。


最大の視聴ポイントはなんと言っても「渡辺えりによる玉山鉄二に対するパワハラ」だろう。これは笑っちゃいけないんだけど面白くて仕方ない。玉山鉄二っていかにも仕事できる風で実際にはあまり出来なさそうだし、その特性を見抜いてパワハラかます渡辺えりってのがいかにも過ぎて笑える。キスシーンも死にそうになったが、2話の最後のシーンで晒した渡辺えりのセクシーショットは悶絶。間違っても月9じゃ出来ない。この部分だけでも見る価値がある。


そんな感じで、twitter全く関係ないところで実力を発揮している北川さん。結局のところtwitter関係なしに面白いラブストーリー書きたかったんだろうなあ、と思う。けど制作側が「ちょっと北川さん、twitter絡めてドラマ書いちゃってくださいよ。いや金もたくさんもらったんで」みたいな感じで言われたんじゃないだろうか。北川も北川で「たったひとつの恋もコケたしな……」とか思って、安請け合いしてしまったんじゃなかろうかと。素直に断れなかったんでしょう。


というわけで、「素直になれなくて」は渡辺えりパワハラを見るだけでも充分に価値があるドラマ。そのついでに本編が気になった人は見ればいいんじゃないでしょうか。多少いろんな伏線を詰め込みすぎな気はしますが、そのうちの一つであるパワハラさえ最後まで引っ張ってくれれば最後まで見ます。ある意味「渡辺えりの限界に挑戦」なドラマです。