日本の裁判では無罪を勝ち取った（その上一事不再理の原則から覆ることはない）ものの、アメリカ州内では無罪は確定していない＆比較的立証が容易な共謀罪による有罪判決が出そうという事情があり、ロサンゼルスに移送されたあとに拘置所内で首を吊って死んだとのこと。ああいう場所で自殺が出来ないように拘置所では長いものを持ち込むことも何かを引っ掛ける場所もないようにしてある、という知識が何の意味もなさないことを知る。人間死のうと思えばどんな手段でも死ねるもんだ。
結局ロス疑惑の真相は闇の中。まあこういう場合は「語らずに死んだことが真実を語っている」という言い方が出来るのかもしれない。無論真相は神のみぞ知るわけで、本当に三浦氏が殺害に関与していたかどうかは分からないけど、少なくともロスでの裁判で有罪判決が出ることを三浦氏は覚悟していたということだろう。
というわけで、本来はこれ以上三浦氏について話すことなんて一ミリもありゃしないんです。にも関わらずマスコミは延々と三浦氏について情報を並べようとする。何がしたいんだろうか。
もちろん三浦氏*1がこのタイミングで自殺することは不可解である。あれだけ抗戦の構えを見せておきながらあっさり自殺するかい、と。しかし一方で三浦氏は金持ってるにも関わらずちょくちょく万引きしちょうような、いわゆる「悪目立ちしたい人」でもあった。だから今回の自殺も「最後の悪目立ち」だったと考えれば、実に分かりやすいのではないだろうか。
とまあ、このくらいの推論は入り込む余地がある。しかし同時にこれらの意見は「推論でしかない」わけで、長々と公共の電波を使って話すことでもないだろう。レベルとしては中学生男子が4人集まって話す「クラスで一番可愛い雅美ちゃん（仮名）の乳首の色は何色か」と同じである。
そのグループの中で一目置かれている「エロフェッサー（エロ＋プロフェッサー）」と呼ばれている橋本君（仮名）が「いいか、俺の集めたデータによると、うなじの形と乳首の色は大きな関係があるらしいんだ。で、雅美ちゃん（仮名）のうなじの形だが、両サイドに細く伸びているのは先日ポニーテールだったときに確認済み。そしてこのうなじの形がなんとＡＶ女優の舞めろでぃ（仮名）と一緒だったことを昨日の夜に発見してしまったのだよ。そう、もうお分かりだろう。舞めろでぃ（仮名）の乳首の色はちょっと黒味がかかったアーモンドのような茶色。諸君、涙して聞くがよい。雅美ちゃん（仮名）の乳首の色はアーモンド色だ！泣くな！俺だって悲しいんだ！あの清純そうな雅美ちゃん（仮名）の乳首の色がアーモンド色だなんて！」と力説。ワイドショーの三浦氏自殺に関するコメントはこの程度に無意味かつバカらしい。一言で言えば「オマエの推論なんぞ知らん」。
しかもだ。三浦氏がロスに移送されるときに被っていた帽子には「PEACE POT MICRODOT」と書かれていたことが話題になっている。それぞれ幻覚剤、大麻、LSDを指す薬物のスラングだそうで、しかもこの３つを続けた場合は「さようなら」のスラングになるという。つまりこの帽子を被っていたことが三浦氏の自殺予告だったのでは、という話になっている。
怖い。
前述のように「悪目立ちたがり」である三浦氏であるから、このスラングの意味を知っていて帽子を被り自殺した可能性はあるとは思う。しかし自分の感覚からすればこんなものは「たまたまじゃねえのか」と言いたくなる。はっきり言えば「マスコミによる深読み」でしかない。深読みってのは一種の「こじつけ」である。自分も往々にして深読みをしがちな人間なので分かるのだが、深読みが気持ちいいのは大抵自分だけであり、他人からすれば「考えすぎ」と一蹴されるようなものだ。自分が深読みという妄想をここで垂れ流しているくらいならいいが、少なくとも妄想や噂レベルの話をニュースで報じるような真似はしちゃいけないだろう。
自分は昔から「死人に口なし」を利用する人間が大嫌いだ。死んだ人間は何も語ることが出来ないのをいいことに、自分の都合のいいように死者の言葉を作り出す人間がいる。そんなもの死んだ本人でないと分からないのに。
今回の三浦氏自殺の一連の報道だって、死んだ理由なんか分かりゃしないのだし、騒げば騒ぐほど三浦氏の思う壺のような感じもするのだから放っておけばいい。しかも勝手に三浦氏の心情を分析してもっともらしいことを言おうとするのは、たとえ相手が悪人だろうが善人だろうが、死者の冒涜のような気がするのは自分だけだろうか。
同時に、真実はどうであれ帽子ひとつであんな深読みをされるのではたまったもんではない。おちおち意味の分からない英語が入ったＴシャツなんか着れない。自殺した後に「私の乳首の色はアーモンド」という意味のスラングだと知ったら、雅美ちゃん（仮名）だって死んでも死にきれないだろう。
