圧倒的敗北

ドラマ「M 愛すべき人がいて」の初回を見ました。もう自分があれこれ感想を並べるまでもなく、見た人全員が往年の志村けんばりにお茶を吹いていたと思います。失笑と爆笑の波状攻撃。全盛期のシカゴブルズくらい凄かったです。

 

もうね、このドラマに関わった人全員にインタビューして「どんな気持ちでやっていましたか?」って聞いてほしい。三浦翔平に「家に帰ったら桐谷美玲はどんな顔でこのドラマを見ていたのか」は是非聞いてほしい。

 

初回でネタドラマとしてのピークは過ぎてしまった気がするので、この後は粛々と出演者全員の気持ちを慮りながら観察するという作業に移行することになるのでしょう。来年の大学入試の国語の記述は全てこのドラマから出題すればいいと思う。

 

しかしまあ令和のこのご時世にこんなトンマなドラマが放送されること自体、日本のエンタメ界の大きな敗北を感じます。出演者も視聴者も誰ひとり得をしていないこの状況なのに、なぜか放送されてしまうこのドラマ。平成の「大きな力による横暴なエンタメ」の最たるものが令和の最初に露見してしまった。厳しい。非常に厳しい。出来れば平成のうちに退治しておきたかった。

 

これで素直に「これからはドラマもネットが主導する時代かあ」と割り切ることが出来ればいいけど、このドラマはテレ朝と提携しているAbemaが一枚噛んでいるからまた始末が悪い。Netflixの予算を潤沢につぎ込んだハイクオリティのドラマに対して、日本のテレビ局ならびにネット放送局が満を持して発信するドラマがこれでは。予算も少なそう。コロナと同程度に深刻だと思う。

 

放送されているからには「もうネタドラマとして思いっきり嗤ってやるしかない」という視聴者の姿勢は正しい。しかしこんなドラマが作られてしまうというエンタメ界は笑えるレベルじゃないだろうよ。切ない。おじさんは切ない。本当はドラマの内容がもっと切なくあるべきなんだろうけど、ただ切ない。

 

この後放送された「伯山カレンの反省だ!」で芹那と温泉に入り、頑なに乳首を隠し続けるワガママボディ(体重93.9kg、体脂肪率33.6%)の伯山のほうがよっぽど面白かったよ。