ナイスですね

「踊る!さんま御殿」と「THE M」の二番組に続けて鼠先輩が出てました。


鼠先輩とはパンチパーマにスーツのいでたちの歌手。デビュー曲「六本木〜GIROPPON〜」が話題になり、テレビ出演も多数こなしている。「ぽ」のフレーズが有名な曲なのは知っているんだけど、実はまだフルコーラス通して聞いたことがなかったりする。特に聴く気もないのでさほど気にしてはいない。


さてそんな鼠先輩であるが、元AV監督という異色の経歴を持っているのに、これがテレビでは全くと言っていいほど紹介されない。


「THE M」のほうは全部見ていなかったのでもしかしたら紹介された可能性はあるけども、少なくとも「さんま御殿」のほうでは言ってない。そりゃ家族で見る時間帯にAV監督という話はそぐわないかもしれないけども、それでも鼠先輩という人間を紹介するときにAV監督という要素は避けて通るべきではないと個人的に思うのだが、どうなんだろう。


鼠先輩側はAV監督という過去を隠してはいない。どこぞの週刊誌に元AV監督(しかも鬼畜レイプモノ)をしていたことをすっぱ抜かれ「こんな人間はテレビに出すべきじゃない」という旨書かれていたのを見た記憶がある。しかし数週間後「アサヒ芸能」において「確かにAV監督やってましたし、夢を壊すようで悪いですがレイプなんて全部撮影でしかないですから」というインタビューが掲載されていて笑った。「曲が売れなくなったらまたAV監督に戻ればいいと思っている」とも書いてた。


というわけで鼠先輩としてはAV監督の経歴を別になんとも思ってはいないようである。だからテレビで扱おうとそうでなかろうと平気なのだろう。にも関わらず、テレビでは一切触れてこない。某週刊誌は「鬼畜レイプAV監督なんてテレビに出すな」と書いていたが、自分からすれば「鬼畜レイプAV監督と分かっていてそこに触れないつもりならテレビになんて出すな」と言いたい。


「鼠先輩=元AV監督」というイメージがあるわけではないんだけど、あんなヤクザみたいな風貌した人が元AV監督だなんてのは、あまりにそのまんま過ぎて触れなきゃウソみたいな部分がある。「そのまんま」とは実際のAV監督がそうという意味ではなく、AV業界の裏にはヤクザが一枚噛んでいて、実はヤクザまがいの男がレイプビデオを撮影していそう、という一種の都市伝説をそのまま体現しているという意味での「そのまんま」。これに触れないなんて小倉智昭の隣でカツラを被っているのにだれも突っ込まないくらい不自然。


ま、「鬼畜レイプAV」の「鬼畜レイプ」部分が引っかかっているならば仕方ないんだけども、じゃあ単なるAV監督だったら鼠先輩は「元AV監督」として紹介されていたのか、という疑問は残る。


昨今では「AV女優」という肩書きを持った女性がテレビに出るときは「セクシー女優」なんて言葉に換言される*1。まるで「AV」という言葉がタブーであるかのようだ。「AV」が「セクシー」に変わったところで、その女優がAVに出演してセックスしていることになんら変わりはないわけで、そんな言葉の置き換えになんの意味があるんだろうかと思う。それでも「AV女優」は実際にセックスをしているところを見せる側の立場であるから、まだ「倫理的によろしくない」という気持ちは分からなくもない。


しかし「AV監督」はどうだろう。AVという作品を撮っている監督に過ぎない。監督である人間も「AV」という括りで倫理的によくないのだろうか。じゃあ、同じセックスを題材にした作品「日活ロマンポルノ」の監督だった山本晋也はどうなるんだ。山本晋也が「カントク」でよくて鼠監督、もとい鼠先輩がダメという基準が分からない。


例えばゆずの北川悠人が俳優を志していた時代に、女子高生コンクリ詰殺人の再現風ビデオに出演していたというちょっと後ろ暗い過去であれば存分に隠せばいいと思う。そんなもんは今の北川からすればイメージダウンでしかないし、テレビ側も積極的に取り上げるような題材でもない。しかし鼠先輩のAV監督という前職は、彼を語るうえでこれほど好都合な題材はないように思えるのに使われない。本人も隠してない。この「不自然さ」が非常に気になる。


個人的には「うたばん」あたりで鼠先輩が撮影したAVを見ながらトーク、くらいが一番自然な扱いだと思うのですがいかがでしょう。

*1:やりすぎコージー」の場合はモンロー女優。