半年に一度のアレです。オチはありません。
さっきよりもいい人
伊藤英明主演。恋人(藤澤恵麻)に告白しようと計画する主人公は、朝から予定をきっちり立てて行動しようとするも、不親切にするたび時間が朝に戻ることに気付く。なんとか告白にこぎつけるために、自分のことを後回しにしながらいいことを繰り返す。そして告白するが他に婚約者がいることを告げられ、暴力を振るうとまた朝に……数十年後、「前に進むため」に親切を繰り返しつづけた主人公はノーベル平和賞を受賞するが、アシスタントの女性が転びそうになるのを救ったら、司会者の足を踏んでしまい、結局あの日の朝に戻されてしまう。
世にもにはお馴染みの時間ループ系ですが、最後にしっかりオチが効いているコメディとして及第点ではなかろうかと。ノーベル賞受賞のくだりまでなら星新一っぽいです。もっとも「親切にしないこと」と「足を踏んでしまうこと」がイコールなのかどうかは実はよく分からないんだけども、まあ細かいことは気にしない。
これ……見て……
戸田恵梨香主演。図書館で知り合った恋人(向井理)に毎朝弁当を届けるのが日課の主人公。毎日のように繰り返す電話の最中に、いきなり子供が自宅に現れ「これ見て」と言って、ちょっと先の未来が見えるビデオを見せる。恋人が襲われるシーンを見せられ自宅に行くと、知らない女が合鍵で侵入し自宅を荒らす。それに恐怖した主人公は恋人の元へ向かうも、そこで恋人が言ったのは「オマエ誰だ」。実は主人公がストーカーであり、恋人だと思っていた男を追いまわしていたのだった。
うーんどうだろう。これまたお馴染み「実は逆」パターンの典型ですが、謎の子供が出てくるホラーと見せかけて実は逆パターンがやりたかったのか、それとも逆パターンをベースにしたホラーがやりたかったのかイマイチ判然としない。それだけ中途半端ということでもある。しかも逆パターンにしてはあからさま過ぎるのも気になる。ひとつだけ見所があったとするならば、謎の子供の耳があまりにとがっていてこの世のものじゃない感はあった。オープニングは蛇足もいいとこ。
日の出通り商店街いきいきデー
船越英一郎主演。日の出通り商店街に年に一度訪れる「いきいきデー」では、商店街の人が戦う日。初めて参戦する中華料理屋の主人公は、商店街のメンバーを次々に倒していき、最後に出会ったのが「最強」と言われている和尚(本田博太郎)。激戦を制したのは主人公だった。
なんだこれ(笑)。言葉でストーリーを説明してもしょうもない作品。原作中島らもだとはいえ、この無軌道っぷりは素晴らしいです。面白いかどうかは別ですけど。イメージとしては商店街版格闘ゲームであり、実際にゲームで出したらそこそこ売れそうな感じ。和尚の本田博太郎、医者の筒井康隆、酔っ払いの斎藤暁らのオッサンたちはもちろん、電器屋の秋山莉奈も良かったです。バカすぎる。
透き通った一日
北乃きい主演。保健室で目覚めた主人公は、自分の体が透き通っていて死んだことに気付く。透き通った体で学校内を歩き回るうち、自分が誰かに突き落とされたことを思い出し、犯人は親友だった子(於保佐代子)だと判明。主人公に裏切られたゆえ突き落としたと告白した彼女は飛び降りようとするも、主人公が透明のまま手を取り引っ張ることで助かる。それと同時に主人公の体も元に戻り、二人は友情を確認しあう。一方で勢い余って屋上から落ちてしまった教頭(石丸謙二郎)は、気付いたら透明になっていて…
なんていうか「ライフ」なのか「ライアーゲーム」なのかはっきりしろと。「北乃きい」+「いじめ」ではライフだし、「吉瀬美智子」(保健室の先生)+「鈴木浩介」(担任の先生)ではライアーゲームだし。ライアーの主演だった戸田は2本前に出演してるし、では流石にツッコミ待ちとしか思えない。話そのものは赤川次郎原作で、可もなく不可もなくの感動担当作品。最後のは蛇足ではあるが、あまりにさりげなく教頭が落下していたので笑ってしまった。「あ、そこ行く?」つう感じで。
フラッシュバック
堺雅人主演。五感全てを体験できるバーチャル装置により連続殺人事件を味わう主人公。そのうち犯人の記憶が日常生活にまでフラッシュバックするようになり、精神科医に相談する。すると精神科医は「犯人が捕まるのが一番だ」と言い、その直後に犯人は逮捕され、主人公もその記憶から解放。家族との平穏な生活に戻る……というバーチャル装置を見せられた連続殺人犯は、死刑執行前の主人公。「家族さえ知っていれば殺人はしなかった」という言葉を残して、死刑が執行される。
うーん、言葉がない。「世にも」ファンなら誰しもが1年前に放送された「ヴァーチャルメモリー」を想像するだろう。「ヴァーチャルメモリー」自体全然面白くなかったのだが、それをさらに劣化させたような作品を作る意味が分からない。渡辺浩弐の原作もこんなにつまらない話なんだろうか。
今回は全体的に低調だった気がします。突き抜けているという意味では「日の出通り商店街いきいきデー」が一番でしょうが、「さっきよりもいい人」が地味に出来が良かったんじゃないでしょうか。あと北乃きいが半端なく可愛いですね。全く「世にも」とは関係ないですけど。秋に期待します。