ヒゲとボウズ

「1本いっとく?」でおなじみのアスパラドリンクのCMに出演していたイラン人のハニホーヘニハー(本名:カリリ・ファ・エブラヒム)が逮捕された。

容疑は不法滞在である。90日の観光ビザで日本に渡ってから約11年ものあいだ不法滞在していたようだ。ハニホーヘニハーという名前でピンとこなくても、あのオカッパ頭にヒゲのマッチョというインパクトのある人物で写真を見たら「ああ、こいつか」とわかる人も多いであろう。結構CMの人気があったような気がするのだが、あえなく御用となった。誰かのタレコミをくらって御用となったらしいが、詳しいことはスポーツ新聞などの記事を読んでもらいたい。

さて、彼を取り上げようと思ったは自分がこのニュースを知人に最初に聞いたときである。

知人:「あのアスパラドリンクに出ている外人逮捕されたんだって」
ハトヤ:「え?マジで。容疑は何?」
知人:「いや、不法滞在とか言ってた」

こんな会話だったのだが、自分は「不法滞在で逮捕」に「惜しいな」と思った。なぜ不法滞在なんだと。どうせならクスリで捕まってくれたほうがよかった。なぜなら

「(クスリ)1本いっとく?」になったほうがネタとして成立すんのに。

と子ども心(あ、もう子どもじゃねえや)に素直にそう思ったからだ。

今回の逮捕がスポンサーである田辺製薬に迷惑をかけたのは言うまでもないが、不法滞在ならまだしもクスリならばこの商品自体の存続にかかわる衝撃だったろう。まあ、11年も不法滞在していたらもはやどこらへんが「不法」なのかもよくわからん気がするのだが、「不法に滞在している事実」は継続してるんじゃしょうがない。今後彼は強制送還か実刑判決を受けるようだが、実刑にしてあげてちゃんとビザを取るほうが賢明のような気がする。今度こそはちゃんと

「日本(にビザ持って)いっとく?」にしてもらいたい。

別にうまくもないので次の話題に移る。


テレビ批評なるものをしている(つもり)の上で扱いづらい番組というのがある。もちろん扱わなければいいだけの話なのだが、どうしても真正面からつっこみを入れたくなる衝動に駆られた時には、難産覚悟でとっかる場合もあるのだ。

これから取り上げるこの番組もその「扱いづらい番組」のひとつである。その番組とは「ガチンコ!」なのだが、もはや「やらせであることが大前提であるという(日本では)新ジャンル?を確立した番組」として名高いこの番組に対し、安易にヤラセであることをどうこう揶揄するのははっきり言ってみっともない行為であることなのは重々承知である。

さらに個人的立場としては僕もヤラセそのものは容認している立場をとっているので(これ前にも書いたような気がするが)そのことを批判するつもりはない。もちろんガチンコの核心部分である「ファイトクラブ」についても触れる必要はない。今日発売のフラッシュで今のファイトクラブの主役?である権大氏の合コン写真が掲載されていたが、そんな写真をよくフラッシュも探してくるもんだ。

さて、そんなことはどうでもよろしい。今回の主役はこの男である。


大和龍門

字面だけで相当な圧迫感があるが、実際の風貌も限りなく威圧感がある。たぶん一回くらいはこのフェイスを見たことがあるのではないでしょうか。

そんな彼が今回「ガチンコトークバトル」と題したコーナーに登場、若者(といってもニセ氣志團とレディースの皆さんばかり。これを『若者』としてしまうのはいささか問題だとは思うが)とトークバトルを繰り広げるというコーナー。裏番組のドラマ「天体観測」とザッピングしながら見ていたので詳しくはわからないのだが、彼の吐く発言はどうも台本があるとは思えない熱い発言が多い。

例えば、今回の出演にあたって

「オレ本当は今日ここに来たくなかったんだよ!」

と発言し、それに対してニセ氣志團の男が「じゃあ来なきゃよかったじゃねえかよ!」。会場「カエレ」コールに包まれる。すると

「うるせー!大人だから仕方なくここに来たんだろうがよ!」

凄い、凄すぎる大和。堂々と「大人(=仕事で金を貰っているから)だからここに来た」と言える男、それが大和龍門全くスタッフや脚本にこびるところがない。今までガチンコの講師陣はどうも「う〜む?」となる人が多かったが、大和は別格だな。これが台本だったらもっと凄いけど、基本的に大和龍門、彼こそ本物の「ガチンコ!」である。

その一方でラーメンの佐野氏は確かに凄い人物なのかもしれないが、ガチンコの役者としてはいまふたつである。今やってるラーメン道3でイタリアンのシェフが作ったパスタをあっさり捨てておいて、自分のを作り食べさせる。そして言った言葉が「おまえの作ったパスタは美味かった」

だったら捨てるな、佐野。

今まで佐野氏が料理を捨てるのは一応「不味いものには価値がない」というスタンスでパフォーマンスとして行われてきたが、今回は美味かったのに捨てた。ポリシーに反している。料理人でありながら、食べ物を粗末にしている。そんな人間から料理の何かを学ぶことはあるのか?

勿論佐野氏もこんな展開を用意したデキの悪い「台本」通りにやっているのだろうから、100%悪いとは言いきれない。しかしそこを料理人のプライドと天秤にかけて「(美味い)食べ物を捨てる」という行為を選んでしまったのはやはりテレビに毒されている気がする。(一応このストーリーにも佐野氏が言わんとして意図はあったのだが、やはり料理を捨てる意味はなかった)

その点、大和は平気で「こんな台本クソみたいなもんだろ!」とか言い出しそうな気がして、妙にドキドキする。ガチンコの見方は人それぞれだろうと思うけど、こういう文章書くとやっぱり「おまえの見方はひねくれている」とか言われそうな気がする。そんな番組、ガチンコ。