ドリーマーチャンス

 

みなさんは「ドリーマーチャンス」を知っているだろうか。知っているだろうかと書いたものの自分が勝手に作った言葉なので誰も知らないはずだが。

 

テレビ番組には「決めテーマソング」が存在するものがあります。例えば「プロフェッショナル」であれば「Progress」、「ザ・ノンフィクション」であれば「サンサーラ」、「家、ついて行ってイイですか?」であれば「Let it Be」など。番組のシメ前の最高に盛り上がるタイミングで番組のテーマソングが挿入される。視聴者の感情を昂ぶらせるとともに、緩やかに「ああ、番組終わりだなあ」と思わせる効果がある。

 

で、番組を見慣れてくると「どのタイミングでテーマソングが挿入されてくるのか」を見計らうようになります。先日放送された「アメトーーク」の「バラエティ大好き芸人」で「Let it Be」の挿入タイミングの話題で盛り上がっていたけども、まさにああいうこと。視聴者としては「ここで来るなあ」と思っているタイミングをすかされ、意外なタイミングで入ってくるテーマソングに「そこかよ!」とツッコミを入れたくなる。挿入する側も視聴者も、そこらへんのせめぎ合いを楽しんでやっています。たぶん。

 

で、最近自分がずっと戦っているのは「ガイアの夜明け」なのですよ。

 

「ガイア伝統の小芝居を頑なにやらない松下奈緒」でお馴染み「ガイアの夜明け」。社会で奮闘する人々を追いかける「経済お仕事番組」だ。自分のようなオッサンしか見ていない。

 

で、この「ガイア」も松下奈緒が案内人になってリニューアルされた4月以降、番組テーマソングも宮本浩次がうたう「夜明けのうた」に変更された。オープニングでは流れないけども、前述の番組のようにクライマックスのタイミングで「夜明けのうた」が流れるのだけど、他の番組に比べ明らかにそのタイミングがヘタなのだ。なので最近自分はこの曲の歌い出しである「夢見る人そう私はドリーマー」にちなんで、そのタイミングを当てること、あるいは挿入されるタイミングそのものを「ドリーマーチャンス」と呼んでいる。

 

今回放送分のドリーマーチャンスは酷いものだった。医療従事者にとって不足しているマスクや人工呼吸器をなんとか供給できるように奔走する人々を序盤中盤と取り上げ、終盤ちょこっとだけ医療従事者の方々に対して無償で温かい食べ物を届けるキッチンカーの話題に。そしてキッチンカーの人がお弁当を渡すタイミングで「夢見る人~」と曲が流れだす。思わず「ここかよ!」と叫んでしまった。

 

もちろんキッチンカーの人が悪いわけじゃない。取り上げるに値する話題であるし、その取り組みは山場として使われても何ら不思議じゃない。しかし番組の最後のほうにちょこっとだけ出てきて、それで山場のテーマソング流されても「ここ?」となる。キッチンカーは中盤に挟み込んでおいて、割と長尺だった人工呼吸器の完成が一段落したタイミングでのドリーマーチャンスのほうが本来じゃないか。

 

ガイアの夜明け」は経済番組であり、「プロフェッショナル」や「ザ・ノンフィクション」のように分かりやすい起承転結が出ない場合がある。もちろん「ガイア」だって起承転結を意識して作ってはいるだろうが、現在進行形で進んでいるものの一部を切り取ってそこが上手く起承転結になっている保証はない。だからこそドリーマーチャンスは時に「強引に結を作ろうとしている」ように見えるときがある。そこが愛らしく、滑稽だ。褒めている。

 

何も今までそんなことやってなかったんだから、無理にそれらの番組に追従するようなことしなければいいのにな、とは思うんだけど、そこがまた雑味かつ妙味になっている気がするのでこれからもどんどんやってほしい。ちなみに「夜明けのうた」であるが、「ドリーマー」の部分が絶妙に歌いづらいので、ドリーマーチャンスを狙う人は是非練習してから挑戦してみるといい。誰もしないだろうけど。

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