同い年の悲哀

GWという強制自宅待機週間に突入しまして、リアルタイムでテレビを見る時間がいつもより増えています。そうすると普段は殆ど全部飛ばしてしまうCMを見る機会が少し増えるわけですね。本当はテレビを見る人間としてCMもテレビ番組の一部であるからこそ、ちゃんとCMは見なければとは思うのですが、やっぱり録画ではCMは飛ばす。そんなもんだ。

 

そんな中、最近見ていて切なくなるCMがありましてですね。エバラの焼肉のタレのCMなんですけども。まずはご覧いただきたい。

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新CM では、「黄金の味」シリーズに32 年ぶりの新テイストとなる「黄金の味 さわやか檸檬(レモン)」が発売されたことをユーモラスに伝える内容となっています。 

 

てな具合の説明がYouTubeにも書いてあるわけです。確かに一見そんな感じがしないでもないんだけど、自分はこのCMを見るたび、なんか切ない気分になるわけです。

 

そこそこいい歳のオッサンが「漢字が書けるようになりました」と言わされる悲哀。

 

まず断っておくが、嵐の相場雅紀を馬鹿にしているわけではない。さすがに「檸檬の漢字も書けないのか」とはならない。梶井基次郎に傾倒している人ならともかく、漢字で「檸檬」を書けるのは漢検の勉強をしている人かオジンオズボーン篠宮くらいである。

 

しかしよく考えてほしい。焼肉のタレのレモン味の表記が漢字である必要性のなさ(と書いてしまうけども、おそらくいろんな会議があっての決定だろうから、大きく否定はしないけど)と、そして漢字で書いてあるがゆえに「別に漢字で書けなくても死ぬまで困らない」はずのアイドル相場雅紀が、たとえ檸檬という難しい漢字だったとしてもわざわざ「僕は書けるようになりました」と言わされている状況。哀しくないか。

 

何が哀しいかって、単純にアホっぽいじゃないですか。そりゃ相場雅紀というアイドルがアホキャラとは言わないけども、嵐の中では一番庶民的というか親しみやすい位置にいるわけで、そんな相場がこういうCMやるからこそ良いってのは理屈としては分かる。しかし相場雅紀37歳、自分と同い年である。トップアイドルであるがゆえに見た目も若いし老若男女から愛されている。でも37歳。自分がオッサンであるのと同じように、愛されていてもその正体はオッサン。オッサンが「漢字が書けるようになったよ」と報告してくるCM。これは哀しくないか。少なくとも同い年の自分には哀しいし、超切ない。何の罰ゲームだよと思う。

 

たとえばこのCMをKing & Princeの誰か(誰が相応しいかはよく分かりません)がやったとするならばまた話は違う。まだ皆20代前半。漢字が書けるようになったと報告してもまだ「可愛い」が通用するんじゃないか。理想は10代のアイドルであってほしい。難しい漢字覚えて偉いしかっこいいし可愛いじゃないか。誰も損しない。

 

けど相場雅紀37歳オッサンよ。中学生くらいの子どもがいてもおかしくない年齢。そろそろ枕も臭くなる年齢。日本を代表するアイドルといえども、37歳のオッサンが漢字を覚えたことを報告してくるCM。哀しい以外の感想があるか。これが相場のアドリブであればもう頭を抱えるしかないんだけど、どう考えてもCMプランナーの意図に沿ってやったプロの仕事。だからこそ哀しい。

 

この感情は「同い年のオッサン」であるところの自分だったら、と考えてしまうせいなのだろうか。もちろん自分がCMに出ることなんてないわけだけど、それでも自分が同じ立場だったらと思えば、これはかなり恥ずかしい。これまた同い年である深田恭子がビキニで表紙になっている現在発売中のヤングジャンプを買うくらい恥ずかしい。変なエロ本買うよりよっぽど恥ずかしいですね。もっとも同い年でヤンジャンの表紙飾る深田恭子もどうかしてますけど。いい意味で。

 

それはともかく、「相場雅紀の持っているキャラだから許されているCM」ではあるけど、同時に「37歳のオッサンが漢字が書けるようになったことを報告してくるCM」と捉えた場合、やっぱり冷静ではいられない。ファンは可愛いって思ってるのだとしたら、そろそろ陰毛に白髪が混じってくる年齢だと伝えてあげたい。