生き残るテレビ番組は

へいひの(濱田岳)がビッグサーモンを釣りに行ってたんですよ。

 

何事かといえば、「濱田岳が挑む!憧れのビッグサーモン~カナダ釣り紀行~」という番組のこと。「THE フィッシング」という長年放送されている釣り番組の35周年特別番組として放送されたのだ。まあこれが年明けに放送されたドラマ「釣りバカ日誌」の番宣を兼ねていることは言うまでもないのですが、それにしてもなかなかヌルい番組でした。

 

自分は正直なところ釣りには興味がない。やったことないし。だから「釣り番組」としての真っ当な評価をすることは難しい。ただ「釣り番組として面白い」かは分からないが、「テレビ番組として面白い」かと言われれば「完全にへいひのマニア向け」という評価を下すしかない。詰まるところ「誰が見るんだこの番組」という評価。まあこれを書いている時点で「誰」には「自分」があてはまっているのですが。

 

へいひのは年に1回、なぜかよく分からないがゴリラとふれあったり、ゾウとふれあったりという機会に恵まれる(どちらも特番として放送)。だから今回も「へいひの大自然ふれあいシリーズ」だと思っていたら、思いのほか釣り成分が強くて面喰ってしまった。もう本当に番組の感想としては「へいひのがサーモン釣ってご満悦、誰が楽しい」しかない。

 

まだ「釣りバカ」のSPも見てないので、これ以上この話は広がりようがないのだけど、思わぬところからこの話を展開してみる。

 

「新春テレビ放談2019」を今年も死んだ目で見ていたわけです。同じ日本の地上波のテレビを見ているはずの人たちなのに、なんか違う世界のテレビの話を聞いているようだったのが印象的。あれなぜなんですかね。テレビ好きなんだけど疎外感ありまくりでした。

 

まあ細かいことは気が向いたら書くこととして、今回は「出演者おすすめのテレビ番組」に話を続けたい。

 

出演者の2018面白かった番組として挙げられていたのが「かたせ梨乃が進駐軍の前で踊り狂った時代…とマツコ」や「ハイパーハードボイルドグルメリポート」、「99人の壁」など。いずれの番組も自分は見たのだけど、その推しポイントとして「今のテレビ番組でここまで出来るのは凄い」というもの(99人の壁は該当しない)。確かに「マツコ」のほうは飛田新地の料亭にカメラが入っていたし、「ハイパー」のほうは放送されるものが全てぶっ飛んでいる。確かにこれは「攻めたテレビ」だろう。

 

また、「ワイドナショー」で松本人志は「水曜日のダウンタウン」を「いまスピード違反をしている唯一の番組」として、ルールスレスレ(あるいはアウト)の中で戦っている番組だと表現した。新年になったこともあり、ネットの番組がどんどん台頭していく中で、テレビとネットの在り方から「面白いテレビ番組とは」という話を偶然であるが立て続けに見た気がする。

 

もちろん自分もこれらの番組は面白いと思うし、元気がなく規制で縛られているテレビ番組において戦っている番組だと思う。そこに異論はない。ただ、自分は「最終的に生き残るテレビ番組は、実際こういう番組なのだろうか」とちょっとだけ違和感を覚えたのだ。

 

地上波で面白い番組は、ネットで放送しても面白い。当たり前の話だ。「テレビ放談」で前田裕二(石原さとみの彼氏かどうか審議中)が「今後テレビは視聴者から直接お金がもらえる仕組みを構築していくことになる」と語っていた。となれば、ネットと同じように直接課金するのが一番手っ取り早いわけで、テレビ局が作った番組をネットで課金して収入を得る、というスタイルに変わっていくことは充分に考えられる。だから面白い番組はネットへ全て流れていく、なんてことがあるんじゃないか。もちろん自分はそんなことを望んではいないが、そうなることは有りうるだろう。

 

じゃあそうなった場合、地上波に残る番組は何か。それは「誰が見るんだこんな番組」じゃないのか。今回の「へいひのビッグサーモンを釣る」は、自分のような物好きが不埒な目的でうっかり見てしまうことはあるけど、ネットで一部の釣りマニアが課金して見るまでの番組ではなかろう。となれば、居場所は地上波ど真ん中じゃないか。誰が見るかよく分からん番組が誰に見られているかよく分からないけど地上波にあふれる。それは一見地獄のようでもあるが、もしかしたら物凄く面白い現象かもしれない。地上波で生き残る番組は「面白い番組」ではなく、「最大公約数的でもない、地上波じゃなければ誰が見るかよく分からない番組」なのかもしれない。だから何だと言われても困るんだけど。