生まれてすみません

リケジョ、だってね。


理化学研究所(いわゆる「理研」)の研究者である小保方晴子さんがSTAP細胞なるものを作製したということで話題になっております。ノーベル賞を受賞した山中教授のiPS細胞よりもすごい奴だそうで、そりゃあ話題にもなる。日本の、というか世界の再生医療が飛躍的に進化するということで、医龍も真っ青です。個人的に「医龍4」のテンションがイマイチ上がらないことに不満を持っているのは今は関係ない。たぶん岸部一徳成分が足りないんだと思う。


マスコミの反応は相変わらずミーハーっぷりを炸裂させており、やれ割烹着だのやれリケジョだの、事の本質とは一切関係ないところで大盛り上がり。まあ自分を含めたニュースを見ている人の98%くらいはSTAP細胞が実際のところどのくらい凄い研究なのかは理解できないし、なんとか理解をしたところでそこから話が広がるかといえばそうでもない。だからマスコミは素直に「よく分かんないけどすごいっすね」と言えばいいものを、無理やり話を広げようとするからどうでもいい部分に話題が及ぶ。テレ朝はお得意の文集を持ち出したようで。本当に犯罪者、スターにかかわらず報道に文集を持ち出そうとする奴はどういう神経なのか疑うので、そいつの文集を晒すべきだと思います。


マスコミがこの手の話題にこんな盛り上がり方しかできないのは、ひとえに「理系不足」「理系へのリスペクト不足」の賜物だと思う。いやマスコミにも理系の人はいるんだろうけど、殆どはテレビ局に入るために合コンやらミスコンやらを繰り返して、研究とは無縁の、いや研究熱心な理系を半分見下した大学生活を送っていたような人たちと完全な偏見で話してますけども、そんな人たちだから理系に対する関心も理解も薄い。だからこそあんな報道しか出来ないんだろう。分からないなら分からないなりに敬意を持てよ、と思うばかりだ。


百歩譲って彼らが彼らの職業意識であんな報道をしているのならまだいい。それより自分はいち個人として「ついに年下でとんでもない偉業をする人物が現れたか……」と、己の小ささにしょんぼりするばかりである。


加齢するに従って「テレビで活躍する人が年下」という現象が発生する。甲子園球児が年下、箱根駅伝のランナーが年下、プロ野球選手が年下、横綱白鵬が年下、と大体の場合はスポーツ選手が年下で加齢を感じる場合が多い。ただ彼らの場合は「スポーツ選手って若いうちから活躍するもんだから」という、半ば言い訳的な感じで乗り越えられる場合が多い。芸能人、俳優なんかも同じ。


しかしそういうレベルで言い訳が効かなくなってくるケースもチラホラ。たとえば一部上場最年少記録を持つリブセンスの村上社長なんかはまだ20代。ああいう人がバリバリ活躍する社会は健全ではあるけど、自分のようなしがないサラリーマンには結構ダメージ大きい。そこにきてほぼ同年代である小保方さんが世界的な研究成果を発表したなんて報道された日には「彼女と自分の過ごした年月になんの違いがあったんだ……」と落胆せざるを得ないですね。いやまあ自分の過ごした時間の無益さをいまさら後悔なんかしないけども、ちと身につまされるものはある。とても小保方さんをおもちゃ扱いする気分になんかならない。ただただ自分の矮小さを思い知らされ、「自分ももうちょっと頑張ろう」と思うだけだ。


呑気にリケジョとか美人すぎるとか割烹着とか言ってる人は、マスコミは、彼女をその程度の扱いにできるほど自分の活動に負い目を持たない「凄い」人たちばかりなんだろう。世の中はそんな「凄い」人たちと「何も気にしないバカ」で出来ている。今日も日本は平和です。