イチカバチカ

・キミハブレイク
中居正広のクイズ!ONE/エイト」という単発のクイズ企画。


最初は8人でクイズに挑み正解に応じて賞金が積み立てられる。そのクイズ終了後に不要だと思うメンバーをひとり無記名投票で落としていく。クイズが進むにつれどんどんメンバーを脱落させ、最後は3人で争い優勝者が今まで積み立てた賞金を獲得できるというルール。


クイズ番組が好きな方であれば、このルールを聞いて即座に思い浮かべるのは「ウィーケストリンク」ではないだろうか。イギリス発祥のクイズ番組で、「ミリオネア」同様に世界各国に広がっている。日本版では「ウィーケストリンク☆一人勝ちの法則」というタイトルで伊東四朗が司会をしていた。


自分はこの番組が非常に好きだった。実はこのサイトのごくごく初期に取り上げたこともある。詳しいルール等はこちらの文章を参考にしてほしい。


クイズの形式としては単純ながら、賞金積み立ての方法と投票によう脱落者の決定という戦略性が面白かった。序盤は単純に賞金の積み立てに不要、つまりは正解者の悪い人物を蹴落とすのがセオリーだが、中盤以降になるとあまりに正解率が良く、最終的に賞金を手にする際に邪魔になると思われる人物を落とすことも大事になってくる。良くも悪くも目立たないでいることが肝要。クイズ番組に出るくらいのクイズ好きは皆答えることに必死なわけで、知っている問題が出ると目立つと分かっていても答えてしまう。そんな心理を巧みに突いている。


しかし日本版のウィーケストリンクは「ミリオネア」ほど定着することもなく終了してしまった。裏番組が強かった(当時「名探偵コナン」「東京フレンドパーク」など)という事情もあるが、一回見ただけではルールの把握が難しかったこと、さらに「ミリオネア」同様、素人が参加する番組はザッピングで見たりした場合に事情の把握が難しい。裏を返せば芸能人だとザッピングでも目を止める力がある。だから番組後期はやはり「ミリオネア」同様に芸能人大会がメインになった。


ウィーケストリンク」最大の肝は「誰を落とすか」であるが、これが一般人同士だと単純にクイズの成績だけが投票の要素となるが、芸能人の場合は「芸能人同士のパワーバランス」という、視聴者にも分かりやすい要素が加わる。ゲームの本来の趣旨からすれば余計な要素だが、あくまで「バラエティ」としてであればこの要素は非常に助かる。


枕が大分長くなってしまったが、今回の「中居正広のクイズ!ONE/エイト」は、「ウィーケストリンク」のルールを拝借し、より日本のバラエティ向けに構成しなおした企画であった。「ウィーケストリンク」が本来持っているクイズ番組としての面白さはだいぶ削がれているが、クイズそのもののアトラクション的要素、芸能人限定の出場者、脱落者決定時の落とし穴などビジュアル的に見せる工夫がなされており、日本向けのバラエティ番組としてはそこそこ及第点の出来ではなかろうかと。


パイロット段階(と勝手に決めてしまうが)で中居に司会をやらせるほどのもんではなかったと思うが、芸能人同士のパワーバランスを把握し、また「成績のいい人を落としてもよい」という分かりやすいかつ恣意的な誘導の説明で石田純一を早々と脱落させるなど、番組・ルールの面白さを知らしめるという手腕は中居(というか中居レベルの司会)あってこそだったかもしれない。


今回の企画は「ウィーケストリンク」という番組の完成度を改めて知らしめるとともに、以前日本版が失敗したことを踏まえてどうすれば生かすことが出来るのかを考えた結果であるように思う。まだまだ改良の余地はあるが(特に最終ラウンドの3人による早押し)、上手く行けば番組としてモノになるんじゃないだろうか。そろそろ中居もクイズ番組の司会が回ってきてもいい頃だ。


個人的な希望を書けば、TBSということで泉ピン子が出場し、さんざん他の出演者に「私を落とすんじゃないよ!」とプレッシャーをかけるものの「後々いると面倒」という理由で満場一致で真っ先に排除される姿が見たい。