終わりのないゴールだからこそ


ヨモギダ少年愚連隊4」が完結する。

結局ヨモギダ青年は父親に向けて曲を発表するという漠然とした結末で終わってしまった。これは仕方のないことだ。なにせ、この企画、2年間追い続けた理由としては「どこを終着点とするか」が最大のキーワードだったような気がするからだ。結果としては、ヨモギダ青年が曲を完成するという部分に落ち着かせた。

大学受験というヨモギダ3があまりに収まりのよいものであったのとは逆に、今回の「決まった終わりの無い」ヨモギダ4のストーリーにおいて、今回の結末は視聴者にどのような感想を残したのだろうか。親子の関係という部分で上手く見せたものの、そこに終わりを持ってきたスタッフの苦悩が窺える。

というのも、スタッフ、実は今回の終わり方、最後まで決めかねていたと思われる。

それは、前回の放送が3/20であり、今回の完結編まで3週間かかった。そして完結編で放送されたヨモギダソングが収録されたとなされた日(テロップに紹介されていた日。これが必ずしも正確であると断言できないが、ここで判断せざるをえない)は 3/30であった。つまり、完結編前の放送がなされた時点で、ヨモギダ青年はまだ歌を苦悩して作り上げていたことになる。

確かに、あの流れで3週間も日数を空けるのは不自然であった。確かに春改変でいろんな特番が挿入されるのは必然なのであるが、それにしても3週は長すぎ。しかし、今回の放送でその不自然がはっきりした。それは、スタッフが結末を決めかねていたのである。というより、決めたくても決めることが出来なかったわけだ。

ヨモギダ少年愚連隊4が始まったのが3月のアタマ(3/6)である。この時点では今回放送がぶち切られた岡女ことモーニング娘。の収録すら行われていない。こういうシリーズを2年もの年月をかけて収録していた以上、全ての用意が揃ってから満を持して放送されていたのかと思いきや、実は自転車操業的にスケジュールを詰めていたのであった。

3/20の放送の時点で、確かに予告では再開シーンまでしか流れていなかった。それもそのはず、そこまでしか収録素材がなかったのだから(岡女はその時点で既に収録済み&放送予定だったので予告としては流れた)。だが、この時点でまだ「結末が決まっていない」とは、さすがにこっちも予想できなかった。

結果的にヨモギダ青年はそれなりの楽曲を製作し、家族の承認を得るような形でとりあえず決着がつくような結末を迎えることができた。しかし、これはめちゃイケスタッフが予想していた結末とは必ずしも一致しないのだろうとも思われる。

きっとスタッフとしては結果的に放送されたヨモギダの姿を望んでいたことは分かる。ただ、如何せんヨモギダの曲の出来によって左右される結末という切羽詰ったところでの時間との戦いであったから、最悪の場合「曲がダメだ」とか「出来なかった」とか、家族が来ないとか、色々「ダメなケース」だって想定されていたのだと思う。

そのストーリー展開においての保険が「岡女」であったり、「武蔵丸」であったり、もしくは雛形であったのではなかろうか。最悪の場合、ナイナイとヨモギダ青年の再会でエンディングを迎えるという結末すら用意していたのでは、とも思わせる。

ヨモギダの曲次第では、どこまで放送し、どこを「結末」とするかが非常に難しい判断であったはずだ。最終的にはヨモギダを信じていたものの、保険だけはかけておいたということなのだろう。それはヨモギダ青年のバイクに仕込まれたとされている10のメッセージも同じだ。本当に仕込まれていたのは放送されていた芸人パートの4つくらいで、あとは放送上の演出&フォローに使うために「10」とされていたのだろう。

裏を返せば、これだけ「保険」を使わずに終わったということは、ヨモギダ青年が最後に見せた姿が、完全に結末足りえるものだったという証左になる。スタッフの心配をよそに「史上最強の素人」は最高の仕事をしたということだ。岡村の曲だって、ある程度本気に作っていたにも関わらずお蔵入りとなったのは、結末において不必要と感じたからであろう。本来なら岡村が歌わないというのは本旨に外れることなのだから。

こんな結末になるとは、予告編の放送が流れた時点では誰一人予測できなかったのである。しかし、完結編の放送はその期待を見事に裏切ることなく素晴らしい番組に仕上がっていた。まさかこのシリーズが始まった時点で結末が出来ていないとは思わなかったが、全て見えていたかのような完成度。脱帽である。


ただ個人的にひとつ気になることがあって、予告編で流れたヨモ子さんとの「結婚宣言」なのだが、あれはどうなったんでしょ。これも保険のうちのひとつだったのかもしれないけど、ちとお蔵入りにするには惜しいエピソードではある。あと、岡女もね。こっちは後日放送するらしいけど。



TOKIOはドリフの真似がしたかったようだが、なんだありゃ。