裏えなり

「とくダネ!」を見て久々に大笑いした。いつもは割とマトモな題材をトップに持ってくる同番組ではあるが、何を思ったかこの日は違っていた。それは「えなりかずき、心境を告白」である。ちゃんと説明すると、先週の女性週刊誌に「えなりかずきソニンにデート断られ喫煙」という記事が載ったのだ。これに関してえなりが心境を告白する、と。なんだそれ。

堂本兄弟」に出演しているえなりであるが(この時点で既に違うとは思うけど今回は不問にしておく)、同番組のゲストにソニンが出演したとき「デートのシミュレーション」をしたのだ。そんでもって、えなりが番組でデートに誘おうとしたらソニンが断ったので、番組終了後ソニンのマネージャーがえなりの楽屋に行ったら、えなりが煙草に火をつける直前で「俺だってこのくらいしなきゃやってられねえよ!」と叫んだそうな。

まあ、この話面白い程に作り話なんだけど、えなりはこの作り話が記事になったことで結構傷ついたらしく、インタビューでこと細かに反論をしていた。なんかその反論っぷりがあまりにマジメでそれが逆に笑いを誘ったので大爆笑したのだが、今回はえなりの必死の弁解を笑おうという趣旨ではない。

考えたいのは、この記事をでっち上げた女性週刊誌の記者がどういうつもりでこの記事を書いたのか?という部分である。別に「ウソの記事をでっちあげてまでうんぬん・・・」とかいう話をしたいのではない。ネタに困ればウソくらい書くんだろう。いや、ネタに困ってなくとも面白ければウソくらいは許容できる。2ちゃんねる管理人ひろゆき氏の言葉に「ウソをウソと見抜けない人が使用するのは難しい」というのがあるが、ウソ記事とマジ記事を見分けるくらいの分別を持って週刊誌などは楽しむべきである。

それはともかく、なぜこのような「裏えなり」とも言えるヒールキャラのえなりを匂わせる偽記事が誕生したのか。確かに「えなりかずき」というタレントはその年齢離れしたオッサンのようなキャラが人気であるが、実際には純朴な青年という背景があることが大事なのだ。だからもちろん煙草だって吸わなければ、インタビュー中で語っていたように酒だってほとんど飲まないのであろう。一切飲まないとは思わないけども。

しかし、人間というのは俗っぽいもんで、そんな堅物でマジメな人間がいるだなんてにわかに信じがたいもんである。もちろんえなりだって酒は飲むし煙草も吸うし、オナニーだってガンガンしている人間であってほしいと思うのが、大衆の悲しき願望なのである。

そんな裏えなりをなんとなく具現化して記事にしてしまったのが今回の騒動である。よく考えてほしい。いや、よく考えるまでもなく「オレだってこのくらいしなきゃやってられねえよ!」なんてセリフは「つくりセリフ」以外に有り得ない。

実際にこんな場面に出くわした、更にこんなセリフを聞いたことがありますか?こんなセリフを本当に吐くやつがいたらそれこそ「渡る世間」ですよ。スガコワールド丸出しじゃないですか。いくらえなりがスガコ芸歴長いからといっても、普段からこんなセリフを吐かれた日にゃあもうピン子が注意すべきである。

それにしてもこの裏えなりなんだけど、自分もどこかで見たような内容だった。いわゆるデジャビュってやつですか。それで考えてみた。自分はこのようなシチュエーションをどこで見たんだろう?う〜ん・・・・・。あっ!わかった!

エロマンガだ。

テレビではマジメキャラでとおっているタレントが、楽屋では煙草をふかし、競馬に熱中し、風俗にも通っていてそれをそのエロマンガの主人公のアナウンサーに見つかって、まああとはご想像のとおりで。で、何を言いたいのかといえば、裏えなりというのはそれだけ妙に一般大衆が抱くイメージを共有しているらしい。このマンガを読んでいるときも「ああ、ありがちだな」と思ってしまった。別にこんな話を読んだこともなかったのに。

それはやはり、えなりのようなタレントが裏ではああいうことをやってるんじゃないかという一般人のいやらしいイメージってのがやはりどこかに介在してるんだろうなぁ、と思ったわけで。悲しくも卑しい一般人の性か。