能町みね子が怒っている。日テレ「今夜くらべてみました」にて、能町が「オネエ」の中にカテゴライズされていたからだ。
能町は元男性であるが、性同一性障害からの性適合手術によって、現在は戸籍上も女性である。だからオネエであるかそうでないか、という議論以前に「女性」なのだから、オネエであるという議論はそもそも当てはまらない。怒りももっとも、である。
なんでこんなことになっているのか。ひとつは「芸能界のいわゆる“オネエ”というカテゴライズが雑すぎる」ということ。男性でありながら女性の口調ならばオネエなのか、それとも女装をしていればオネエなのか、はたまた男性でありながら男性を好いていてもオネエなのか。一般人には区別がつかない。しかしはっきり言えることは、その業界の人はちゃんと区別がついているわけで、それを区別がついていない人間が「面倒くせえから全てオネエでいいや」としていることが問題だ。半ば強引に「オネエ」で括っている。男性でありながら男性として女性が好きでなければ全てオネエか、つう話だもの。
もちろん括られている本人たちがよければそれで構わない。例えば個人的には佐藤かよが「オネエ」にカテゴライズされることが違和感アリアリなのだけども、佐藤は特に否定することもなくそこらへんのカテゴリにひょこひょこ登場する。「仕事に繋がるからそれでいいや」みたいな感覚なのかもしれない。
だから呼ばれ方と受け取り方は人それぞれであり、本人が気にしていなければそれでいいんだろうけど、それがイヤな人に対してその雑な扱いをするのはやっぱり失礼以外の何物でもないだろうよ。もちろん能町はそれがイヤなんだ。だから怒る。至極当然。
自分が不思議なのは、これだけそっちの業界の人が活躍している芸能界であるにも関わらず、そこらへんの扱いと理解が全然甘いということ。これを制作したスタッフがどこまでの認識かは知る由もないのだけど、あの年表に載っていた人たちを「オネエ」と扱うことに疑問は感じなかったのか。能町がどうこう以前に、どこまでを「オネエ」としていたのかもよく分からない。一番理解がありそうな業界でありながら、実は一番無頓着だったりするのかもしれない。この番組スタッフが、つうよりは業界全体がこういう感覚なのかも。
そんなわけで、この件に関しては99%日テレ側が悪いと思います。明らかな過失だと思います。思うのですが。この問題の本質はそこじゃないですよね。この件が一番厄介なのは、能町のデリケートな背景に対する配慮の無さ、ではなく「能町みね子という人間が面倒くさい」ことでしょう。
つくづく思うのです。「日テレ、やらかしたな」と。それは「能町の性別に関するスタンスをちゃんと調べなかった」こともそうですが、それ以上に「能町にネチネチ言われる口実を作ってしまった」ことが最大のやらかし、失敗です。取り返しがつかない。今後永久に能町は日テレの悪口を言い続けます。永久に。ネチネチと。ええ、ネチネチと。
能町は「連絡がなかった」なんて言ってますけども、この手のバラエティが取り扱う際にいちいち「こんなんで名前出しますよー」なんて連絡はくるものなのか?自分はそちらの業界の人間ではありませんから、そのような慣習があるかどうかも分からない。本当はあるのかもしれないし、自分が思っているように「そんなんいちいち連絡するかよ」ということなのかもしれない。ただ自分には「もう、こっからネチネチ始まってるがな」と思う。
「訂正しろ」と言ったかと思えば「ZIP」以外で自分の名前を日テレで出すのはもうやめろ、と言う。これは面倒くさい。「ZIP(の中で放送しているアニメのドロンジョの声優)やめてやんよ!」と言うならまだしも、「ZIP以外では話題にすんなよ!」は最大級に面倒ですよね。でもこれも日テレが自ら蒔いた種。「下調べ」という面倒を怠ったばっかりに「能町にネチネチされる」という最大級の面倒を被るハメに。まさに因果応報。そして能町はこのネチネチに関して完全に自覚がある。賢いから。わかってやっている。だから怖い。もとい面倒。
許せばいいんじゃないかなあ、と他人は思う。