懲りない人

ブログのコメントにて「先日放送されたフジ『ザ・ノンフィクション』に田中義剛が取り上げられている」というタレコミを頂きました。ありがとうございます。


北海道でも「ザ・ノンフィクション」は不定期に放送されてはいるのですが、いつ放送されるかはまるで未定。この義剛の放送回もいずれ放送されるでしょうが、それは一か月先か半年先か。でもこんなタレコミを頂いたらチェックしないわけにはいかないですよね。今は便利な世の中ですから、ネットを探せば簡単に登場するわけです。というわけで、やや反則気味とは思いますが、ネットにてチェックした「ザ・ノンフィクション 生キャラメルが教えてくれた」を愛でていこうと思います。


1年前に放送された「ソロモン流」同様、「生キャラメルブーム終焉後の花畑牧場はどうなったのか」という導入から始まる。ソロモン流では「物流を自分たちで管理し、そこそこ安定している」とのことだったが、1年で何か変わったのだろうか。


取材スタッフが花畑牧場を訪れると、「規模は縮小しながらも稼働を続ける工場」みたいなネガティブな入り。するとその中には2秒前までは混ぜていなかったであろう牛乳を混ぜる白衣姿の義剛。やはり相変わらずである。こういうミエミエの演出を平気で行えるメンタルの強さをこの春から社会人になる若者は見習ったほうがいい。ウソだが。


インタビュー場面に変わる。ブームの中で行う経営は、次の手を打つための資金を回していくためにいっぱいいっぱいだったと。内情は「つぶれるんじゃないか」と思っていたらしい。昨年の放送では「経営はおかげさまで安定している」ことをアピールしていたが、今回は番組の方針が「再起を賭ける男義剛」のようで、「今経営がいっぱいいっぱいだ」感をアピールしたいようだ。これに関しては「ドキュメント番組をどう作るか」という作り手の意図が介在するので、義剛が全面的に悪いわけではないだろう。但し義剛ウォッチャーの自分からすれば、「ソロモン流」を踏まえたうえでこんなこと言われても「番組に合わせてやってるんじゃないか」としか言いようがなく、「ザ・ノンフィクション」の安っぽさが少し目立つ形に。


義剛が次に打つ手は「チーズ」なのだと。確かに昨年もチーズ作っていた。カチョカヴァロをダメ出しする義剛。そして自分の中で最高に面白かった柔らかいモッツアレラチーズを形成するのに苦労した挙句、海外の機械を使って解決するくだりは記憶にも新しい。今回もあのモッツアレラが海外の機械と共に登場。歓喜。まだ使ってた。


「ハイジのチーズ」としてお馴染みラクレット花畑牧場ラクレットは2011年度に全国1位を受賞したとアピール。そのときの模様が掲載された業界紙を見せ「表彰の場には自分も含め誰もいなかった。なぜなら誰も取れると思っていなかったから」と。珍しく謙虚か、と思ったのも束の間。その後すぐその業界紙の表紙に映っている自分を見せ、「これのトップを飾るというのは本当に農業真剣にやってるっていうおじさんしか出ないんですよ」と、「謙虚に見せかけて実は自慢」という義剛テクニックを披露。取材スタッフもさぞかしイヤな気分だったに違いない。


2015年の義剛が一儲けを目論むチーズは「ブッラータ」。巾着状のチーズの中に生クリームとモッツアレラが入ったもので、完全手作りで賞味期限も短いゆえ日本では流通していない珍しいもの。これを作るのだという。昨年「モッツァレラを制するものは、日本中のチーズを制する」という宣言は何だったのか。これの布石なのか。たぶん違う。なぜなら義剛がイタリア発祥のチーズなのにオーストラリアでたまたま見つけた義剛が、図々しく(これは放送内でもナレーションで言われていた)作り方を教わった(というかビデオに撮影した)ことに端を発するんだもの。


義剛経営術の二本柱は「思いつきで流行りものをやる」「あくまで良いものをパクる」である。この点に関してはキャラメル以降ブレることがない。自分にとって「ああ、義剛だなあ」と思える拠り所であり、このゲスな魅力がなくなったときに自分は義剛ウォッチをやめるのだろう。死ぬまで尽きないとは思うので心配はしていないが。


というわけで早速ブッラータ作りに着手。義剛ドキュメントではお馴染み「品質に厳しい男義剛」がここで登場しつつ、義剛はもうひとつ、今流行りのポップコーンにも乗り出す。自社のチーズを全面に押し出したポップコーンだ。しかし責任者の人が結構なポンコツっぷりを発揮し、花畑牧場を全面に押し出して作るのに海外のチーズパウダーを使った製品を試作品として義剛に提供。そりゃ義剛は怒るわな。久々に義剛がマトモすぎるダメ出しをしていてここは盛大に笑ってしまった。品質に厳しくなくてもそりゃ怒るよ。しかしそんなマトモすぎるダメ出しをしている義剛が、夜に社長室でもダメ出しをしているときに、黄色(チーズ色)の服を着てさりげなくウケを狙っていたことを自分は記しておきたい。こういう所業を見逃してはいけない。


この後花畑牧場チーズパウダーを完成させてから、「俺のフレンチ/イタリアン」に失敗作のブッラータを持っていき撃沈する義剛、ローソンにポップコーンを置いてもらおうとプレゼンをしに行き「ちょい足し営業」と称して、からあげクンにチーズパウダーをまぶして食べるもあっさり却下される義剛と、失敗部分ばかり放映されるが、基本的には義剛は成功して調子に乗るほうが面白いので、個人的には見どころなし。この番組のスタッフは義剛の正しい泳がせ方をわかっていないのだろう。


結果「俺の」の店にブッラータは提供され、ローソンでもポップコーンが並ぶことになる。「次の一歩」を踏み出しているというまとめに入った。「大切なのは懲りないこと」というナレーション。義剛の「花畑(牧場)としては、これが第二章へのスタートです」と締めた。義剛納得のVTR仕上がりだろう。


還暦が見えてきても相変わらずブレない義剛。居酒屋で社員二人に向かって説教を始める義剛を見て、「今年も大丈夫だな」と思わせてくれた。また、年一ペースくらいでよろしくお願いします。