コムロギャルソン

小室哲哉が逮捕されたのは火曜日のことでした。


容疑は詐欺。自分の作詞作曲した音楽著作権を10億円で譲渡するという契約で、前金として5億円貰ったにも関わらず小室川は履行せずに(そもそも小室の著作権は既に他人に譲渡されており、小室に所有権はなかった)民事訴訟を起こされ6億円で和解が成立。その和解金の6億円も払わず(「払えず」が正しい。報道によると実際に支払われたのは1%の600万円とのこと)履行時期を過ぎたものだから、相手側が悪質と判断し刑事訴訟を起こした。その立件が詐欺容疑とのこと。


どうやら小室は所有権が既になかったにも関わらず複数の人間に音楽著作権の譲渡を持ちかけており、明らかに詐欺をする意図があったと判断されたようだ。但し実際にお金を支払ったのは今回提訴した人物だけであるし、またこの人物もそもそもは民事裁判にて解決を求めているのだから、小室がしっかり金さえ払えば(あるいはちゃんと払う意思さえ見せていれば)逮捕ということにはならなかったと思われる。つまりは小室の金銭に対するだらしなさが産んだ逮捕といって差し支えないだろう。


この事件が特殊なのは契約対象物が音楽著作物というだけ。所有権が目に見えるものではないし、また大抵の場合著作権は著作者が持っているという理解があるので、小室が著作権を持っていると信じさせるのは容易いし、相手が信用しても仕方ないだろう。裏を返せばその信用を逆手に取った悪質な詐欺ともいえる。まあ金に困っていればそのくらいするのかな、とは思ってしまうが。それより何より、音楽家の生きた証ともいえる著作権を手放すという行為そのものが悲しい。金より大事な音楽家としてのプライドを売り渡しているようなもんだろう。


それはともかく、小室逮捕の一報がなされたとき、確かに驚きはあったけども「そこまで騒ぐほどのことか?」と思ってしまったのもまた確か。というのも小室が金銭面でかなり困っていたのは度々報道されていたわけで(サッカーファンならば大分トリニータの件などはつとに有名ではなかろうか)、急に湧いたような話ではなかった。だから小室が金銭で困って詐欺で逮捕の報道を受けての街頭インタビューで大袈裟に驚いている人たちの態度は(もちろん驚いている人を優先的に取り上げてはいるだろうけど)、これほどまでに小室への関心がなくなっているという事実をかえって浮き彫りにした。小室本人は金がなくなったことも悲しむべきことではあるんだろうけども、世間の関心が一切自分に向いていないことのほうが悲しい気がする。


今回の逮捕報道はワイドショーによる小室のヒットメドレーという様相もあった。そもそも有名人が逮捕に限らず話題にされるとその話題に即したBGMが流れるのはお決まりではあるが、今回は音楽著作権がらみの詐欺だったことも手伝って小室の作った音楽がやたらと流れていた印象がある。


あくまで自分が見た限りでの印象であるが、一番流れていたのは「Get Wild」だ。TM NETWORK時代のヒット曲でもあり、またglobeの新曲として発売が予定されていた(そして中止になった)こともありかなり頻繁に流れていた。しかも逮捕翌日に放送された「ドレミファドン」では何の悪気もなく問題として起用されていたのはさすがにちょっと笑ってしまった。次点は安室奈美恵の「Can You Celebrate?」だろうか。


本来ならばこれで小室に著作権による使用料が入るのだが、残念なことにもう著作権は小室の手にないことは報道により明らかなわけで、いくらここで小室の作った曲をガンガン流したところで小室のもとには一銭も入ってこないことがまた悲しい。*1


小室の3人目の嫁であったKEIKO(ソロ時はkcoらしい)も悲しい。実家の料亭に迷惑がかかるからとのことで離婚となるようだが*2、まあ当然の運びだろう。小室の借金のカタに料亭が他人に渡ってしまってはたまらない。kcoのコメントでは「小室は悪いことはやってない」とかばってはいる。まあ心情的には同情できるんだけども、客観的に見ればどう考えても小室が悪いんでフォローのしようがない。あとマークパンサーは海外にいて連絡が取れないつう報道はどうなってんだと思う。


小室の一連の報道は「小室が詐欺容疑で逮捕」という事実より、その詐欺をするまでに至った小室の金銭面と女性面のだらしなさが哀しい。たとえ捕まるにしてもミュージシャンらしく薬物で捕まるというのならまだ「らしさ」があるけども、金に困った挙句最低レベルのしょうもない詐欺で逮捕というおおよそ似つかわしくない有様は、盛者必衰という平家物語の冒頭文を地でゆく侘しさがある。


そういやこの報道によって元恋人である華原朋美も報道陣に追いかけられていた。当然今喋ることなんてないだろうが、華原が追いかけられたという報道から、かつて華原が「どんな風に小室が口説いてきたか」という話を思い出すとそれはそれで妙な味わい(主に渋み)がある。小室に捨てられ精神が不安定になり、事務所も解雇され今に至る華原に対し、3度の結婚離婚を繰り返しいまや犯罪者となって独居房に閉じ込められているであろう小室。現在あまりに不幸すぎる境遇が二人を再び急接近させても不思議じゃない。


今までの小室の結婚含めた人生の失敗は最終的に華原と結ばれるための紆余曲折の一部だったと考えればどうだ。こうなったらはやいとこ結婚して二人で「昭和枯れすすき」でもカバーして歌えばいいんじゃないかと思う。あ、でもこの曲じゃ小室に著作権の印税は入らんか。でも大切なのは印税じゃなくて愛。巡り巡って運命の人。素敵だね。心にもないけど。

*1:掲示板からのご指摘で、使用料は小室に入るとのこと

*2:追記:一部では既に離婚が成立しているとの報道もあったが、本人が出したコメントでは離婚はしないようだ