テレビが異空間だと感じるとき

テレビに出演するというのは、自分にとってみれば異空間に思えます。勿論テレビ関係の仕事をしている人にとってみればそこが現実なわけで、知りたくもない裏側の実情なんかも知っているのでしょうが、大半のテレビや芸能界に携わっていない人間にとってみれば知らなくてもいい事実もあるわけで。まあそれは今日のネタに関係がない。
自分の父親も仕事の関係でテレビのインタビューを受けたことがあって、その放送をテレビで見たことがあるが、やっぱり普段見ている父親の印象とは全く違った感じを受けた。それくらいテレビの画面を通じて見るものというのは「異空間」であると思うのである。

そんな、実生活で感じることと、テレビを通して感じることの間に生じる微妙な差異を「異空間」であると感じる所以なのだが、そんな「異空間」っぷりを今日またテレビで感じることがあった。

ホンジャマカ石塚とモリクミ(森久美子)の共演。

日テレで2時間放送された「メレンゲの気持ち」の石塚コーナー特番なのだが、石塚がモリクミとふたりで笑顔で肉を喰らう図。これはまさしく異空間。

もちろん自分には石塚もモリクミも実生活で会ったこともないし、接点もない。ただ、実生活でこの二人に会ったことがなくても、デブ二人が笑顔で肉を食うという事態には遭遇したことがある。そりゃ細部に違いはあれど、大枠で考えれば違いはないように思える。勿論ふたりのキャラクターに拠る部分はあるけども、テレビ的に伝えたいのは「デブが嬉しそうに肉を喰らう」というわかりやすさであるから、その点において違いはない。

自分は実生活においてそのような場面に遭遇したことがある。確か食べ放題のバイキングかなんかだったと思うが、ブーデー二人(しかもカップル)が嬉しそうに肉を喰らう姿を見て、なんだろう、幸せを感じるどころか、若干居たたまれない気持ちになった。自分も「多肉中背」であるから、それほど部類として離れているわけではないが、そんな自分からしてもあの光景はちょっと厳しかった。

しかし、この二人が食べている姿は堂々とゴールデンタイムと称される時間に放送されているわけだ。きっとあのブーデーカップルの肉を喰らう姿を見たら大方の人は「ちょっとなぁ」という感想を抱くはずなのである。その時居合わせた自分の友人も「あれはない」と言っていた。普通に考えれば、今回の石塚&モリクミだって「ちょっとなぁ」の部類に入るはずなのに、それが敬遠されるどころか堂々とゴールデン。ここに違和感があり、異空間である。

日テレがあの光景をゴールデンで放送するということは、テレビを通して見ればそんなに印象が悪くないどころか、むしろ「美味しそうにごはんを食べているデブは番組として成立する」という認識があるわけだ。それはやっぱりタレントだからか?いや、そうじゃないと自分は思うんだ。やっぱりテレビを通したことによる異空間がそこに存在するんだと思うわけで。

お気づきだとは思うが、この異空間は商売になるというのに最初に発見したのは「debuya(現在は「元祖!でぶや」)」である。石塚とパパイヤ鈴木というデブ二人(にミスターマッスル)が大盛りのメシを喰って「まいうー」という姿が視聴率を稼いだことにより、この異空間は認証されたわけだ。

実際に自分がレストランなり居酒屋なりでデブの集合が汗だくで「まいうー」と言いながら大盛りのメシを貪り食う姿を見かけたらどう思うか?それを考えれば、あの光景をテレビで楽しむことが出来るのはやはり「異空間」だということだ。結局動物園のパンダよろしく、「デブが肉を食う」という見世物のレベルでしかない。デブの珍獣扱いだわな。