「劇的」に酔い痴れる

試験勉強てのは中学の時分から「したくないもの」であって、ろくすっぽ勉強をしてこなかったわけでありますが、それでも必要に迫られるとやらなければならない。けど、そんな自分の逃げ道として用意されてるのが自室のテレビ。気分転換の旗印のもと、その旗の裏には「現実逃避」とはっきり示されていたりする。で、この現実逃避ってやつが妙にテレビを面白くするのだ。不思議なことに普段は絶対に見ないような番組でも妙にそそる。

そんな時に見たのが「劇的改造!ビフォーアフター」である。日曜20時。今まで見たいと思ったこともなかったが、今回現実逃避の一環として拝見させていただきました。流行語大賞ノミネートのせいかもしれないけど。

もちろん内容は知っている。「リフォーム番組」ブームの先駆けとなった番組だ。リフォームする家は必ず何らかの障害を抱えている。別に「単に古くなったから」でも良さそうなもんではあるが。そんな障害を改善するためにいわゆる「匠」(という名の一級建築士)がリフォームに乗り出すのだ。匠の出動の仕方たるや、非常にドラマチックですらある。

で、その匠が家をリフォームするにあたって矢鱈と技巧を凝らして頑張るわけだ。「そんな工夫必要か?」というところをいじってみたり、「ココを倒すと畳が!」みたいな演出まで用意しているくらいにして。「すげえ!」というよりは「すげえな・・・」という表現が正しい。

見ているこちらからすれば「そんな大仰な仕掛けなんぞいらんから普通にリフォームしてくれりゃいいのに」と思うんだけども、リフォームした家の主人なんかはやたら喜んでいるご様子。「本人がいたく感動しているならそれでいいんだな」という部分に無理やり着地させようとしているように思える。オマエラが何と言おうが、依頼者が喜んでいるんだから問題なし!つうこと。

でも、やっぱり「そこは普通の家のほうがいいんじゃねえの?」と思われる部分が多数あり、最初はいいかもしれないが数ヶ月経ったらきっと飽きると思うようなそんな仕掛けいらねえじゃねえか、と。きっと本当は「匠」もそう思ってるはず。でも普通の家じゃ「劇的」にならんわけだね。だからわざと「劇的」を装った「ありがた迷惑」を付加価値として採用しているわけだ。そんでまたその部分を別の業者に頼んで改造してもらったりするなら、それこそ「劇的に無駄」である。

まあでもそんな「無駄」を付されても番組が負担している金額のことを考えるとそれくらいの無駄はお安いもんなんだろうか。個人的には賛成しかねる。
あと、見ていて気づいたのだが番組進行上に「匠の仕上げるものを推理する」というのが挟まる。一種のクイズ形式である。一応歴史クイズ番組の体裁を取っていた「知ってるつもり?」を思い出した次第だが、「知ってるつもり?」同様不要なクイズだ。謎である。