揉め事における両者の言い分

ベテラン漫才師コンビの「セントルイス」が解散した。もともとプライベートでは険悪な仲だったようで、日頃の鬱憤が爆発したのか、とうとう解散となったようだ。しかしまあ星セントのほうが一時期病気で入院して、最近復帰したばかりだったのだがあえなく解散となってしまった。どうせ解散するなら病気で引退のほうが格好もついただろうに。

最後に「セントルイス」を見たのはNHKの番組「笑いがいちばん」だったと記憶している。あの時もセントルイスは特段仲が険悪には見えなかったが、実は相当に仲が悪かったんだろう。まあ自分の感想なんてのはどうでもいい。

ところでこの二人、解散するにあたっての両者の言い分が違うようだ。どちらも「解散は相手から切り出された」と発言しているらしい。往々にして喧嘩別れなんてのは意見の不一致から来るもんで、揉め事が起きるときには大体こんなもんであるから、セントルイスに限ったことではないんだろう。


今回はセントルイスの話が本題ではない。本題は「真木蔵人暴行疑惑」である。今朝「とくダネ!」を見ていたら、真木が素人に暴行を加えたという疑惑が持ち上がっていた。ただ、暴行そのものが事件になっているというよりは、暴行された素人二人がワイドショーにネタを売った雰囲気である。

しかし、なんだ。暴行されたと主張されたほうの言い分を聞いていると胸クソが悪い。揉め事の原因は携帯電話のカメラによる過度の撮影のようである。最初は真木氏も快く撮影に応じていたものの、あまりにその素人二人組がしつこく撮影していたもんだから、真木氏がキレて、馬乗りになって怒ったらしいのだ。これが素人二人の言い分。

一方、真木氏側はこれに対して、「自分たちが被害者だ」という。素人も「被害届」を出しているが、真木氏側も「被害届」を出しているのだ。徹底抗戦の様相である。真木氏も携帯のカメラによる過度の撮影があったことは認めている。

しかし、それで真木氏があまりに撮影するんで迷惑がっていると、素人が「芸能人だからっていい気になるんじゃねえ」と因縁をつけてきた。そこで周りの取り巻き(クラブから出たところのようで、クラブの黒服などが周囲にいた)がその素人を押さえつけるときに力づくで押さえたために多少の暴力はあったが、真木氏は手を出していないという。両者の主張に関しては光景だけは似ているが、どうもまるきり別物である。

さて、この争い、どっちが正しい事を言っているのだろうか?いや、正しそうなのだろうか?

もちろんどっちが真実かなんてのは、当事者にしかわからない話で、自分にできるのはその両者の言い分や状況証拠から推論を導くだけである。

素人のほうには重大な物証がある。もちろん「過度の撮影があった」原因となっている携帯の写真&動画のことだ。素人の所有していた携帯は動画も取れるものだったようで、ワイドショーにもその動画が放送されていた。そこで確かに「写真に応じる真木蔵人」は映っている。そして「黒服などが取り巻いている場面」も動画に記録されている。

しかし、肝心の暴行の現場の動画が残っていない。

もし素人が真木に暴行される様子が動画に残っていれば完全に物証アリですから言い訳が効かないじゃないですか。それなのに撮影された動画からはそのような場面が少しも記録されていない。本人たちが言うには「暴行を止めに入ったのでカメラを写している場合ではなかった」と。ま、分からないではない。けど、暴行後に車が去っていく場面は残っている。ちょっと都合がいいような気がする。

けど、これだけではあくまでグレーだ。彼らが暴行を受けた証拠はないが、かといって真木側が暴力を振るった可能性もないわけではない。つまりは、水かけ論なのだ。これが法的手続きに則るならば、訴えた側(つまりは暴行を受けた側)が真木側の暴行を立証する必要があるんだが、今はそういう話をしていない。

この水かけ論を終結させる最も有効な主張は何か。

それは「素人が調子に乗って携帯でしつこく撮影したマナーの悪さ」に起因した騒動と捉えることである。

両者とも携帯の撮影に関しマナーの悪い部分があったことは認めている。ということは、その後真木がそのマナーの悪さに腹を立てて暴力を振るったとしても、それは何ら咎められる話ではないように思える。勿論暴力を肯定するわけではないが、まさに自業自得。

素人が明らかに「直接原因」を作っているのは議論の余地がない。言っちゃまあ、なんだ、その暴行があったかないかは別として、結果的に素人がケガしてることに関しては「マナーの悪さからもたらされた自爆」と片付けていいんじゃないのか。
撮影するほうもされるほうも人間。特にされるほうはあくまで「ファンサービスの一環」として行っていることで、そのサービスに関し機嫌を損ねるようなことをした素人のほうが咎められるべきだと自分は普通に思うのである。自分のDQNっぷりを棚に上げて他人のDQNっぷりを批難するという行動様式がまさにDQNである。