みのもんたに占拠されるフジテレビ

紅白の歌手が発表された前日に、フジテレビが毎年新年にやる企画「新春かくし芸大会」の制作発表も行われた。

今年の司会進行はみのもんたで、ここ数年続いた「ヤングチーム・アダルトチーム」の対決ではなく、「東軍・西軍」のカテゴリに戻すようだ。昔は新年と言えば「かくし芸」だったような気もするが、ここ10年の間に急速に面白みを減らしていき10年前は4〜5時間ぶち抜きでやっていたはずの当番組もいまや2〜3時間がいいとこになってしまった。

原因はなんと言っても「度を越したつまらなさ」であろう。皆さんもご存知のとおり、正月の番組というのは「つまらない」ものである。毎年正月の午前中はヌル〜〜い番組が数時間も続き、「初詣でも行きやがれこの暇人!」と暗に罵られているのではないか?と勝手に想像してしまうくらいつまらない。しかし、近年のかくし芸はその「正月番組だから許されるつまらなさ」をゆうに超えている。特にやはり「ヤング・アダルト」の枠組みにしてからは酷かったような気がする。もちろん自分もすべて見ているわけではないから何とも言えない部分はあるにしても深田恭子鈴木あみの出し物は酷かった記憶あり。

確か二人でコップに水を入れて音を鳴らすやつで演奏をしたと思うのだが、そのレベルがズバリ小学生の学芸会なみであり、いつも自分の出し物に妙な誇りを持っているマルシアが激怒しそうな内容だったのである。もちろん(適当とはいえ)審査員の評判もあまり良くなく、かなり低い点数が出てしまった。その会場全体に漂う「妙な雰囲気」に居たたまれない出演者。フォローするにも深田恭子涙目。「めでたい」と正月から連呼しているのに、ちっともめでたくない雰囲気満載だったのを覚えている。

そんなもん年始めから見せられても視聴者は困る。やっぱ数字も自然に下がるさ。ただ、根本的に出演芸能人のグレードが年々しょぼくなっているとか、もはやマンネリし過ぎだとかいろいろな意見はあると思う。フジだってそんなこと承知だとは思うのだ。そこでフジテレビはなぜか司会にみのもんたを投入してきた。はっきりいって謎が多い。今年の27時間TVもみのが司会だった。視聴率が良かったのかどうかは知らんが、最近フジはみのに司会を任せる機会が妙に多いような気がする。これはいったいどういうことなのだろうか?

やはりそれは「クイズミリオネア」の成功に端を発しているのだろう。「プロ野球珍プレー好プレー」がみののテレビ進出の足がかりとなったのはあるにせよ、それまでのみのは「おもいっきりテレビ」とか「どうぶつ奇想天外」とか「愛の貧乏脱出大作戦(現:ジカダンパン)」など、フジ以外の局で活躍することが多かった。

しかし、「クイズ$ミリオネア」でみのもんたを抜擢し、それが結果的に「みのもんたの司会だから大ヒット」という要因につながるまでそう時間はかからなかった。ここからいわゆる「みのによるフジ占拠」が始まるのである。

金曜8時には「行列のできる法律相談所」のパクリ番組として宣戦布告をされた「ザ・ジャッジ!」の司会になり、もちろん前述した「27時間テレビ」、そして「ミリオネア」最大のキラーソフトであった「ウィーケストリンク」がフジ自らの手によって早々と葬られ、その後釜の番組として始まった「危機一髪!SOS」の司会に居座っている。「危機一髪」がどの程度数字を取っているかは知らないが、ほかの番組はそこそこの数字をたたき出している。つまり、現在フジとみのは蜜月の関係にあるといえよう(あ、そういやW杯の時もフジはみのに司会頼んでたな)。その勢いに乗じて、またもやみのに「かくし芸」のテコ入れを頼んだのである。これがいったいどう転ぶのであろうか?

とは言ってみたものの、特にどうなるというものでもないというのが正直な感想。紅白歌合戦も確かに司会は気になる。しかし、やっぱり司会がいかにすごくてもやはりメインは歌手のほうであり、歌手に魅力がなければいくら司会が頑張ったところでどうにかなるわけではない。それはかくし芸も同じであるといえよう。

いくらみのが数字を取れる司会者であるからといって、みのが演目をするわけではない。結局数字を稼ぐのは「アイドル」だとか「マチャアキ」なのである。今まで名前を挙げた番組はいづれも「みのありきの司会」が受けている番組だと言っても過言ではない。だがしかし、今回は司会が大きく作用する番組ではないのだからみのに期待するフジはやっぱりどうかな、とも思う。まあ話題性はあるのかもしれないが。

延々とマジメなことを書いてオチがつかねえんじゃねえのか?とお怒りのアナタ、待ちなさい。何もこれだけで話が終わるわけじゃあないのよ。今後みのがこの仕事も見事成功させ、さらにみのもんたのフジ占有率が高くなるとどうなるか想像できますか?

それはズバリみのもんた主演の月9でしょ。

トレンディドラマの対極にいると言っても過言ではないみのが遂に「月9」の主演ですよ!もうとっくにドラマのトレンディ主流は終わってはいますが、さすがにみのが主演とかは誰も想像つかんでしょ。

その盲点を突き亀山編成局長(「踊る大捜査線」や「ロングバケーション」などを手掛けた偉い人)が「みのもんた」を主役に抜擢!…なんてね。まあ誰も実現するとは思ってはいないだろうが、今の「役者」にも「話題」にも欠けるドラマ業界に新風を起こすなら、この手段は結構有効なのではと勝手に妄想してみる。

あと余談なのだが、新年にあの「タモリボキャブラ天国」が復活するそうです。ボキャブラといえば、芸人のネタを見せている時代もあったが、元はといえば視聴者からの「ボキャブラネタ」の投稿作品を募集し、それを映像つきのネタとして紹介するという番組でした。今回はもちろんそちらの形式であります。当時はハガキの募集だけでしたが、時代も変わりフジテレビのHPからも作品が投稿できるようです。興味のある人はフジテレビのHPにでも行ってみてください。新年にかなり楽しみな番組が復帰します。

決して「おとなのボキャ天」だけが楽しみなわけじゃねえって!

そちらを期待していないと言えば嘘になりますけども。