中居正広が芸能界を引退。
昨年末から年始にかけて中居のスキャンダルが報道されてから、あれよあれよという間にこの事態。中居の示談を引き起こすこととなった行為は1年半前の話であり、それを示談で済ませてからややしばらく時間が経っていたので、本人もフジテレビもこんなことになるとは露にも思ってなかったんだろうなとは思う。
報道の真偽を含め、内容は諸所で確認していただきたい。自分は「目にした報道の中身からこんなこと感じてます」を記しておきたい。「なんかひっくるめて全部悪い」みたいなのは本当にしょうもないので、観点を分けて書いてみたい。
中居の当該行為について
週刊誌の報道では本当かウソか分からないことも多く散見されるが、ひとつだけ間違いがないことは「中居が女性と示談を済ませていること」だ。だからもう中居に関しては「(9000万円かどうかは分からないが)示談で済ませなければいけないようなことをした」わけで、その行為が示談をしたからといって全てチャラになるわけではない。示談の中身としては「これ以上当人同士でもめることも口外することもしないし、中居が芸能活動続けても問題ないですよね」ということだったんだろう。それがうっかり中居側が公表した「芸能活動を続けられるようになりました」につながったんだと思う。「お前が決めるなよ」ではなく「示談内容としてそうなったんです」のつもりだったんだろうが、あれが完全に余計な一言だったとはやっぱり思ってしまう。そして「ああ、やっぱりこういうこと以前からやってるからこういう運びになるんだろうな」ってのを見ている人にうっすら感じさせるのには十分だったということ。個人的にはここが大きいような気がしている。初めての対応じゃねえな、と。出てないだけで似たようなケースがあるんだろうな、と。
そして地味に中居の首を絞めたのが「示談しちゃったから自分の口からはこの示談を済ませた件の内容について、何も言えることがないこと」なんだろう。この件に関しては週刊誌に書かれたい放題。でも示談したのは自分。
そして個人的に一番大きいのは「いい歳こいて示談沙汰になるようなことしてんのか」ではありますよね。ダウンタウン松本のように「事実無根なので戦う」というポーズすら取れない。もう示談しちゃってる。事実としては動かしようがない。ここは大きいと思うんです。「事実ではないんだけど示談でお金払いました」ってことにはならないから。だからまあ、その内容についての本当の詳細は不明ではあるけど、「示談していたこと」が全てなんじゃないかなあと思います。
フジテレビの何が悪いのか
中居が行為を及ぼした相手が当時フジテレビの女性社員であったことも疑いがない。まあ少しでも報道を目にした方がそれが誰か、というのはほぼ100%知っていると思うのだが、そこは本人が公表していない以上は書くべきではないだろう。もっとも示談が成立している以上本人は言わない言えないのだろうが。
でまあ、本来なら「中居が女子アナを狙ってやった個人間のこと」となる。例えば女性が中居から持ち掛けられた食事に自ら進んで応じて、その後こういうことになった、というのならこれは個人間の問題である。「企業と仕事の得意先とのトラブル」という側面があるので、こう簡単に割り切れないことは承知しているものの、大雑把に見ればそういう見方になる。
でも中居と女性がそういうことになった前段階として、「フジテレビ側の人間が中居と結託して二人だけになるようなシチュエーションを作り、そこでそのような行為に及んだのではないか」という疑惑が持ち上がったのだ。これはあくまで週刊誌報道であり、事実として確定しているものではない。「性上納」だなんてこの上なく下品な言葉で説明されている。
個人的には「まあ、あったんだろうなあ」と思っている。前述したように「中居側がこの手の示談に慣れている」であろうことが推察でき、その理由は「前例がいくらでもある」からだろう。となれば、このようなシステムがどこかに構築されていてもなんら不思議じゃない、ということ。これらはあくまで自分の「感じたこと」であるから、事実かどうかが分からない。なので、この件が事実だったとするならば、中居が悪いのはもちろんのこと、この当該フジテレビ社員というか中嶋優一も中居ほどではないにせよ、やっぱり責められるべき人間なのだとは思う。ただ、あくまで一番悪いのは中居。ここはやっぱり外しちゃいけない部分だと思う。
で、ここからがフジテレビ本体の話。まず「このようなシステムが出来上がっている(という仮定)にも関わらず、フジテレビがそれを黙認していたのではないか」という疑惑。ここは「なあなあになっていたんだろうな」と思う。それこそジャニーズ問題と同じ。みんな知ってるけど、ほっかむり。大なり小なり差はあれど、みんな経験していること。触れてもいいことない。だからやりたい放題が横行する。そんなところだろう。だからまあ「こんな風になっていることに誰も声を上げない」ことに関しては、自分はあまり責める気になれない。これを責められるのはよっぽど正義感の強い社会経験のない人間なのではないかと思う。
フジテレビとして「女子アナを積極的にタレントにあてがいなさい」という方針ではなかったのだろうが「そういうことになったらそういうこと」とは思っていたんだろう。某有名風俗街の性行為が「自由恋愛」という「てい」であるのと同じである。しかしフジテレビがそれを早々に認めてしまったら酷いことになる、という判断があったんだろうな。ジャニーズ問題を他人事ではなかったにも関わらず散々他人事として報道しておいて、いざ自分事となったらこの有様。そりゃあ報道機関としての資質を疑われていても仕方がない。
ただ、話が社長に上がってきたときに、話を大事にしようとせず処理に動いたのも、会社の論理としては当然の判断なのかなと思う。もちろん被害を受けたほうはたまったものではないのだが、「それで事態が丸く収まるならば、そうしてほしい」と処理するのは理解できない話じゃない。だって今まではそれで済んでいたわけだから。隠密裏に処理できるのであればそれに越したことはなかった。間違いじゃないと思う。しかしそれで済む時代じゃなかった。ここに尽きる。出た以上それなりの対応をするしかなかったのだが、それが完全に後手だった。
「社員を守る」と「事実を隠蔽する」は紙一重であり、フジの一連の動きは全て「事実を隠蔽する」に見えてしまった。仕方ない。最初に社員を犠牲にして会社を守るという判断をしてしまったのだから。決して被害者をないがしろにしているわけではないのだが、自分が社長なら同じことしていたんじゃないかという気はするもの。もちろん自分が同じことしそうだから許す、ということでは全くなく、「自分でもそういう判断になったんじゃなかろうか、という想像をめぐらすこともなく、よくもまあそんなに責められるわな」とはちょっとだけ思うのよ。それだけの話。
ただ、最初の判断はともかく、そこからのフジの判断は「まさにオールドメディア」という対応でしかなかった。内に閉じた記者会見を散々批判してこなかったか?説明責任を果たすということの大切さを述べてこなかったか?まさか「自前で説明するのがこんなに大変だったとは」とか言い出すんじゃなかろうか。
フジテレビに関しては「会社がそういう仕組みを黙認していた」かもしれないことも当然悪いのだけど、個人的には「その後の対応があまりにあまりだった」ことが傷口を広げた原因だと思う。そう考えるとジャニーズはまだ潔かったのかもしれない。まあきっかけはジャニーズにいた人ですけどね。
中居の引退はやりすぎなのか
twitterでもちょいとつぶやきましたが、芸能人の引退は「引退しまーす」と名乗るだけで、ライセンスを返上するとかそういう類のものは一切ない。中居の場合は個人事務所を畳む方針なので、少し意味合いも違ってくるが、基本的には「復帰しまーす」と言えばいつでも復帰できるもの。もちろん本人が復帰宣言をしても仕事がなければただの人。それは引退にも言えることで、引退を宣言しようがしまいが、仕事がなくなればそれは「事実上の引退」であるから、個人的に芸能人の引退宣言はパフォーマンスでしかないと思ってます。それを宣言するも撤回するも自由の世界なので。
だから「週刊誌報道が中居を引退に追い込んだ!」という感情は間違いではないが、冷静に捉えれば「週刊誌報道のネタになるような示談をした中居が、結果的に仕事がなくなり事実上の引退状態になったため、会社の廃業等を含め一つのけじめとして引退を宣言した」というだけの話だと思う。厳しい言い方だけど、「引退させられた」わけじゃないと思うんですよね。真相は知らんよ。もしかしたらもっと強大な力がはたらいた可能性はあるから。でもこの畳み方、幕引きの仕方が自分には「示談をしたときと同じような思考回路」に見えてしまうわけです。だから、中居の引退に関して、自分でも驚くほど感慨がない。「ああ、最後までこういう人だったんだな」と。
誤解してほしくないが、別に中居が嫌いだったわけではない。司会者としてタレントとしてSMAPとして偉大な功績を残してきたのは疑いがないし、なんなら被災地に寄付金まで出して社会貢献までしている。現場での人当たりもよかったんだろうし、中居の「よい面」を見れば、それはたくさん惜しまれる声が出るのは分かる。自分だって様々な番組で楽しませてもらっていた。でも、悪いものは悪いのである。よい面が全てを帳消しにするわけではないのだ。
もし中居が松本と同じように「事実に違いがある。戦う」と言ったならば、自分は応援していたかもしれない。しかし中居は示談している。枝葉に違う部分はあるんだろうが、大枠で違わない。だからやっぱり自分は「ダメだな」と思っちゃう。中居擁護の意見に「示談しているものを、週刊誌の未確定情報でなぜ蒸し返す」というのを見るが、自分は逆だ。「示談しているからこそ、大枠の行為が確定事実として残っているからこそ、もう擁護のしようがない」なのだ。スタートが示談なんだもん。
さいごに
なんやかんや長くなってしまったのだけど、何度も繰り返し書いているが「中居が大金を積んで示談していたことが動かしようのない事実である以上、もうこの件で中居が出来ることは何もないし、自分の中でイメージが回復することもない」のだ。だから中居の引退に関しては「まあ、しゃあないな」である。もちろん悪いイメージのまま芸能活動をするという選択肢があり、それを妨げる理由もないので、そうであるなら別に批判はしない。「スーパースター」と「女子アナ示談おじさん」を同居させて仕事できればの話ではあるが。
また、フジテレビは色々なミスがあったことは言うまでもないのだが、「報道機関でありながら、報道機関としての責任を全く果たさなかった」ことは、性上納システムが完成されていたかもしれないことよりよっぽど問題のように感じた。
なんにせよ、ここ数週間テレビの在り方がつまんないですよね。個人的に感じる一番大きな罪はこれです。
あと、あくまで個人的な意見であり、反論とか感情論とか欲してませんので。