スイーツはアイドルである

どうもハトヤです。一応社会人的には「サラリーマン」が肩書きなのですが、自分にはもう一つ「田中義剛ウォッチャー」というどうでもいい肩書きがあります。世界で自分だけしか名乗っていないでしょう。たぶん。


自分は田中義剛が好きではありません。なんのひねりもなく言えば嫌いです。ただ、嫌いというのは好きの裏返しであり、自分のような捻くれた性癖になると「田中義剛を観察することで、嫌いな部分を再確認できて超楽しい」なんてことがあるわけです。だから自分はテレビに出てくる(主に花畑牧場関連の)田中義剛を愛でて、唾棄する。年中行事みたいなもんです。かつての義剛は「ソロモン流」「ザ・ノンフィクション」で確認してほしい。


がっちりマンデー!」で花畑牧場を取材してました。「あの店は今」という新企画で登場。先週から知ってはいたんだけども、放送まではどんな取り上げ方をしているかちょっと不安だったのですが、自分の思い描いている以上の放送だったので、ここにしたためておきたいと思います。


まずはVTRの初め。生キャラメルが大ヒットし、社会現象に。そして当時ノリノリすぎて笑いが止まらない義剛のVTRが。もうこの数秒だけで嫌いになれるインパクト。いやあ改めて存在の邪悪さに惚れ惚れする。


現在の花畑牧場を取材しに、スタッフは帯広へ。VTRでは「帯広市」となっていたが、正確には花畑牧場の所在地は中札内村(なかさつないむら)であり、もうここらへんから「がっちりマンデー」スタッフの「本当はさほど興味がない感」が満載。自分にはちょっと不服である。きちんと取材してくれないと、こっちもきちんとイヤな部分を指摘できないじゃないか。ちゃんとやれよ。


牧場を尋ねるとこれみよがしにヒツジに餌をあげているオッサンが。誰がどう見ても義剛。そしてこのしょうもない演出を考えたのも絶対に義剛。わずか数十秒で発揮される義剛イズム。そして来年60歳になることをアピールする義剛。「見えない」という茶の間の声を期待しているのだろうが、見える。大丈夫だ。来年還暦だ安心してほしい。


花畑牧場が10年前と比べて広くなったことをアピールする義剛。これに関しては3年前の「ソロモン流」(今とても大変な船越英一郎がナビゲーターをしていた番組)でも確認済みなのでどうということはない。キャラメル資金で拡張しているのだから、3年前と変わっているわけがない。


そして直営店で相変わらず販売されている生キャラメルをアピール。以前に比べ味が10種に増え、直営店でのみ販売されている「極」という商品を紹介。黒地に金という物凄く下品なデザインが義剛イズムを感じずにはいられない。とっても牧場の素朴なイメージとかけ離れていて最高である。誰も指摘してあげない優しさ。


そして疑惑の映像へ。現在の生キャラメルの販売数に触れるのだが、ナレーションでは「月に30万個」と言っているのだけど、テロップでは「30万箱」となっている。これはVTR冒頭から感心のなさを窺わせたスタッフの手抜きの賜物なのか、それとも意図的に「30万個」と「30万箱」を交錯させたのか。真偽のほどは分からないが、自分は「製造数が30万個」なのだと思った。ひと箱に生キャラメルが8粒くらい入っているので、大雑把に計算して実売数は4万弱なんじゃね?と。まあこれは穿った見方であることは否定しない。けど、敢えて声を大にして言いたい。


義剛はこのくらいのこと、するよ。


義剛は数字にうるさい。経営者として間違っていないのだけど、この後のVTRでもしょっちゅう登場するのだが、やたら数を強調する。以前「年商〇〇億円の社長」と呼ばれるのがイヤだから年商を非公開にした、なんてエピソードを披露していた人物とは思えない。まあこの話はウソなので別に問題ないんだけど。


そしてこのVTR最大のウソ登場。「最近メディアで名前を聞かなくなったのでは?」という質問に対して「敢えてメディアに出ない。メディアに出なくても売れる商品を作ろうという戦略」という答え。取材を受ける数週間前からずっと考えていたんだろうなあ、このセリフ。泣けてくる。泣かないけど。


このセリフの何がウソなのか。「メディアに出なくなったのは戦略ではなくて負け惜しみだろ」と指摘したあなた、ダメ義剛ウォッチャー。正解は「義剛の戦略なんて『その時いいものを安易に堂々とパクろう』しかないに決まってるだろうが!」である。こうもなぜ義剛は分かりやすい嘘をポンポン吐くのか。理由は簡単。「誰も以前の義剛の発言なんか覚えてないし、本人もさほど覚えていない」からだ。しかし自分は覚えている。


義剛ウォッチを続けていると、明らかに「ウソつけよ」と思う部分がたくさん登場する。けど世間は誰も何も言いませんよね。そう、無関心だから。だから義剛も適当にその場(あるいはちょっと前)で思いついた事言ってしまうし、周りも流す。無関心だから。全くもって世間の在り方が正しいが、自分はそういうとこに義剛イズムを感じずにはいられない。


まあもっとも「今の方が経営が安定している」は本当の話だろう。3年前の「ソロモン流」でも同じこと言っていたし、バブルで浮き足立っていたところを踏みとどまったのは少し褒められてもいいのかもしれない。あとメディアから姿を消したのは百歩譲って戦略だったとしても、アンテナショップや直営店がたくさん姿を消したのはただの業績不振ですよね?


それはともかく、毎回毎回名言を残す義剛。今回も出ました。「スイーツってアイドルなんですね」だって。短期間で浮き沈みが激しいと。そして「アイドルだけだと会社として無理だなと」と続ける。義剛の所属するアップフロントモーニング娘。を抱えるアイドル事務所でもあるんだけど、これは不問にされるんだろうか。続いて商品の多様化を掲げる義剛。言い方はカッコイイが、義剛お得意の「節操がない」がここで登場するわけだ。


モッツァレラチーズが3000店舗、1日6000個と、分かり易い数字アピール。そしてチーズ工場で「徹底した手作り」を猛アピール。あれ、自分の記憶が確かならば、このモッツァレラは「ソロモン流」で海外の機械を購入することでロスを少なくしたやつですよね。んまあ、一応手作りってことにしておくか。したらすぐさま機械の映像紹介されてやんの。形成は機械でいいってこと?いや別にいいんだけど。


そして現在一番儲かっているのが業務用の卸しであると紹介。月15トンと、実際問題多いんだか少ないんだか分からない数字で紹介。2年前の「ザ・ノンフィクション」で紹介されていた「ブッラータ」も今でも卸しているようだ。そして卸しにヒットしている要因として「包丁いらずというニーズに応えられているのは機械じゃないから!」と言っている後ろでは機械が頑張って動いていました。義剛後ろ!と全員叫んでいたんじゃなかろうか。ローソンのタルトの話は初耳だった。それこそ「ザ・ノンフィクション」でポップコーンを売り込んでいたのは見たが、タルトにまで食い込んでいたのか。


さすがに30分番組のVTRのひとつだったので、義剛VTRはここでおしまい。もう少し尺があれば「品質に厳しい男義剛」が挟み込まれたはずなのに、非常に惜しい。出来れば「今パクりたいもの」の紹介してほしかった。
(追記:どうやら番組facebookにて「今パクリたい商品」はメグミルクの商品でお馴染みの「さけるチーズ」であることが発覚。てかもうパクり終わった後で、商品化されていた。確かに本編でも義剛がチーズさいていた。あんな超有名商品を堂々とパクるとはさすが義剛、そこにシビレる憧れない!)


毎度締めは同じになってしまうけど、まあ相変わらずブレないですよね。2017年も嫌いにさせてくれた。しかし今回の長さでは完全に消化不良なので、経営が安定しているなら、そろそろ「カンブリア宮殿」さん、特集どうですか?まあ村上龍が首を縦に振らない気がするけど。