イノセント・ゲス大賞

ドラマ「イノセント・ラヴ」を最後まで見ましたが、いやあこれが酷かった。視聴率が上がらなかったのが頷ける酷さであります。


とにかく登場人物に何も感じるところがない。いや別に登場人物の美男美女のように恋愛してみたいの〜〜とか夢見る乙女(16歳荒俣宏似)のような心を持ち合わせているわけではありませんが、それでも何がしか登場人物に引っかかりがなければ、ドラマを見続けるのはキツいわけで。


イノセント・ラヴ」の当初の触れ込みは「『ラストフレンズ』のスタッフが再結集」でしたが、例えばその「ラスフレ」において長澤まさみにDVを食らわせ続ける男錦戸亮(濡れせんべい)に対して「女性に暴力なんて振るうもんじゃねえ」とは思いつつも、その独りよがりな部分と確実に怖すぎるストーキングが自分の心を揺さぶって離さなかったわけです。これは共感とは全く違いますが間違いなくドラマの面白さそのものなのです。


しかし「イノセント・ラヴ」にはそういった人物の妙が殆どない。自分から言わせればどいつもこいつも下衆ばっかだなと思うわけです。あいつら誰も幸せになんかなれやしねえよ、と。


というわけで今回はドラマ最終回を記念して、登場人物をゲスだった順番にどれだけゲスだったかを紹介していこうと思います。最後に紹介する人物が真の「イノセント・ラヴ」大賞です。


・遠野聖花(内田有紀
この人が文句なく「ゲス」大賞であります。大学時代に昴(成宮)に好意をもちつつも、「このパンティ拾った人と付き合ってあげる」とバブルも真っ青のエピソードで殉也(北川)と結婚までこぎつけたかと思えば、結婚式当日に自殺を図り植物状態。それでもずっと介護を続けてきた殉也を、意識が回復した途端にいとも簡単に裏切り昴のもとへ。しかも最終的には殉也の愛に気付いたとかで、わざわざ殉也と佳音(堀北)の結婚式会場まで出向いて投身。殉也を下敷きにして今度は殉也の脳に障害を食らわすという最低な女。こいつがいなければ大抵の人は幸せになっています。


・長崎殉也(北川悠仁
2位はこの人。一応主人公ではありますが、その行動はなかなかゲス。そもそもなぜ聖花を好きになったのかが不明。確かに美人だがそこまでの女か?とはまず思う。そして絶対的に献身を続けた割にはあっさりと手放すし。しかしそんなことはどうでもよく、一番のゲスっぷりはあからさまな好意を寄せている美月(香椎)を完全に無視していること。ちょっとした軟禁までさせられて、服まで脱いで迫る美月に「行かなきゃならないから」とあっさり袖にして家を出て行くこいつもなかなかのゲス。美月の周囲に対する嫌がらせも、こいつがもう少し美月に気を使ってやれば未然に防げたこと。香椎に迫られて何もしないというのはある意味強靭な精神力とも言うが、やはりゲスだ。


・秋山佳音(堀北真希
主人公なんだけどねえ。序盤の殉也に対するストーカーっぷりは堀北ではなく大沢あかねなら間違いなくお縄レベル。ちょっと可愛くて思いが一途ならば住居侵入してもいいとは、世の中のブサイクを発狂させるいう点でゲスですね。あとは昴が同性愛者であるのを知りつつも、殉也が聖花を昴のもとに置いておくのを反対しなかったのは、少なからず自分にチャンスがあるとの打算が働いています。これも一途に愛している結果とは思いますが、それでも地味に打算は働いているんだなという気はしました。


・池田次郎(豊原功輔)
イマドキの週刊誌であそこまで過去をほじくるというゲスなこともないような気はするんですがその行動は間違いなくゲス。ただその代償として耀司(福士)に一撃食らっているのでそこまでゲスでもないか。いやでも迂闊に自分の作った記事をゴミ箱に捨ててあっさりと記事にされるという点ではなかなかにゲスですね。


・秋山耀司(福士誠治
妹に性的虐待をする父親を刺し殺した張本人。にも関わらず実は妹佳音が刺したんじゃないかということを匂わせ、そこに繋がる事柄を自ら潰していった男。結局は自分が犯人であることを隠すためにやっていたんじゃないかと誤解されても仕方なく、簡単に相手を襲撃する点ではなかなかのゲス。佳音に明らかな好意を寄せており、血が繋がっていないならまだしも明らかに度を越した愛情は守るというよりもあらぬ独占欲が見え隠れで危ない匂いがするとなれば、この点もゲスかな。


・瀬川昴(成宮寛貴
自分が同性愛者で殉也が好きなことを隠しつつも、聖花を養い自分の心に蓋をした可愛そうな男ではあります。なもんでかなり登場人物の中ではいい人ではありますが、それでもやはり本心を押し殺していわゆる「ウソ」をつきながらも聖花を養うのはちょいゲスですね。同じことを聖花が殉也に対して続けてきたために結婚式当日聖花は自殺を試みるわけですから。同性愛者ならきちんと聖花にその旨を告げるのがイノセントですわな。


・桜井美月(香椎由宇
このドラマで一途に純粋に殉也を思い続けた女性。にも関わらず殉也が全く相手にしないというゲスっぷりを発揮したために、その矛先が最低のゲス女聖花だったり、いきなり割り込むように現れた佳音に向けられるのは仕方のないこと。この報われない思いを誰かが掬い取ってやらなければ、そりゃ鉄仮面のような顔にもなるさ。殉也に思いをぶつけようとして服を脱ぎ、あっさり袖にされる場面には全米が泣いた



というわけで自分にはこの物語がどう考えても香椎の報われない姿に涙する話にしか思えません。彼女の周囲に対する嫉妬や嫌がらせなんて、他の登場人物のやっているゲスな行動に比べれば全然許容範囲。悪役の位置に据えられている意味が分かりません。


あと内藤剛志の神父の恰好はコントにしか見えませんでした。ドラマの評価としては☆1つ半です。ありがとうございました。