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徹子の部屋」にギャル曽根


一時期は出る番組出る番組高視聴率をたたき出していたギャル曽根であるが、最近では番組出演ラッシュも収まった感がある中での「徹子の部屋」出演。時期としてはいささか旬を逃した感じではあるので、いまさらこのマッチメーク(という言葉が「徹子の部屋」に関しては相応しい気がするのはなぜだろう)にそこまで心ときめくものは一般的にはないのかもしれない。


ただしかし自分にはこのマッチメークはなかなか興味深い。なぜなら、黒柳徹子といえば長年ユニセフの親善大使を務めている御人。「徹子の部屋」の番組内でも年に一度ほどはユニセフ親善大使の活動報告をするほどに力を入れている活動でもある。その活動現場では世界で貧困や飢餓に苦しむ人をいやというほど見てきている人物である。そんな徹子が言い方は悪いが自分の生活に必要なエネルギー以上に食べまくる彼女のことをどう紹介するのか。この一点の興味だけでも充分に見る価値があると自分は判断する。


これが並の司会者であれば、自分の主義主張があるにせよ、ゲストとして招いている以上は互いに気まずくなるような発言は避けるべきだという配慮のもとに「何事もなかったかのようにスルー」という極めてまっとうな判断がなされるとは思うのだけど、そこはやはり黒柳徹子。「徹子の部屋」というアナザーディメンションにおいて一切の遠慮をしない人物。ギャル曽根に向かって「あなたは飢餓に苦しんでいる子どものことを考えたことはおありなのかしら」と尋ねたとしてもなんら不思議じゃない。無論、放送事故ではあるけど。


結論からいえば、徹子はそこまで礼儀を弁えない人物ではなかった。さすがにギャル曽根に向かってユニセフだとか飢餓だとかいう言葉は登場しなかった。しかし、あくまで「そこまで」でしかない。やはり徹子は徹子でしかなかったのである。ギャル曽根に向かって悪意としか思えない一言を発したことをここに記録しておく。


OPでの紹介もそこそこに席につく二人。「徹子の部屋」はゲストによって飲み物が変わるのは常識であるが、今回用意された飲み物はギャル曽根が大好きだというピンクレモネード。自分はこのピンクレモネードちゅう飲み物を飲んだことがないので何ともいえないのだが、通常のレモネードにピンクになるような着色(ベリー系の果汁を入れたりするらしいです)をするのが一般的のよう。レモネードなので通常は炭酸が入っているわけですが、ギャル曽根は炭酸を抜いたピンクレモネードが好きなようで、それを今回飲み物として出してもらったようだ。


でまあ、自分の好物ですからピンクレモネードを美味そうにギャル曽根は飲むわけです。そりゃそうだわな。一方で徹子は自分同様にピンクレモネードをどんな飲み物か知らなかったようで、なにやら興味ありという感じで口にするわけですよ。するとどうだ。徹子の口から信じられない一言が飛び出したのです。


「水のほうがいいわね」


収録現場から漏れる乾いた笑い声。そりゃ見物しているほうもスタッフも、徹子にこんな発言をされた日には笑うしかないだろ。そしてテレビの前の自分も大笑いである。まさかの徹子完全否定。仮にもゲストが「美味い」と思っているものを、「水のほうがいい」という明確な否定の一言で片付けたのだ。そりゃ徹子の口には合わなかったのかもしれないし、実際に水のほうがいいのかもしれないが、この発言は明らかに司会者としては常軌を逸している。ユニセフやら飢餓やらの発言をするのと同等、あるいはそれ以上の敵対発言だった気がする。


何より驚くべきことは、この発言が番組のほぼ冒頭で行われたものであるということ。ギャル曽根にしたって自分の美味いと思っている飲み物を完全に否定された上で楽しく大食いの話なんて出来やしないと思うのだが、それでもなんとか番組をこなしていたことには「よくがんばった」と称えてもいいと思う。内容としては今まで散々メディアで紹介されたことの繰り返しだったので特筆すべき点はないが、こんな酷い扱いを受けた状態でのやり取りであることを考えれば十分に特筆すべきことなのかもしれない。


番組の冒頭で、素直な感想だったとはいえこんなトゲのある発言をしたということは、やっぱり徹子は最初から大食いであるギャル曽根に何らかの不快感を持っていたのではないかという勘繰りもしたくなる。特に番宣でもなんでもない出演だったので徹子の意向を無視した出演であったとは思わないんだけども、徹子もイヤならイヤで番組出演を断ればいいわけだし、出演を許可したならそんな大人気ないことするなよ、とは思う。しかし一番有力であるのは、過去に出演した芸人を悉く潰してきたのと同様に、特に徹子に悪気があっての発言ではないという説。


「そんなつもりじゃなかったのに」と無自覚に他人を傷つける人間は世の中に多数存在するけども、その頂点に君臨するのが黒柳徹子。恐ろしい女である。