得意分野


このHPを公開してからはや2ヶ月半くらい経ち、毎日更新という無茶をしているわけですが、自分の書く文章に得意分野ってのがあるわけで。自分が自分で得意だと自覚しているのは「うたばん」と「稲垣吾郎」である。うたばんは毎週のように書いているような気がするし、稲垣メンバーについては今年に入ってから既に2回は書いたような気がする。

今日はそんな両者が一気に書ける機会に恵まれました。稲垣メンバーこと「&G(アンジー)」がうたばんに出演したのだ。

自分がうたばんを評価する際にいつも言うのは「歌ではなくバラエティに特化した番組」ということであり、稲垣メンバーを書く際に欠かせないのが「稲垣メンバーと呼ばれるきっかけとなった事件」の話。今回も偶然なのか必然なのか、この2つのポイントをはずす事ない展開となった。

うたばんのMCとして稲垣メンバーの同僚である中居正広が出演しているのはご存知だとは思うのだが、普通の歌手にとっては鬼門である当番組も稲垣メンバーにとってみれば中居の存在があるが故の「準ホーム」であるわけで。たとえ石橋中居が暴走しようとも、稲垣メンバーが大幅に体勢を崩すことのないという確たる何かがある。

稲垣メンバーはそんな準ホームだからこそ「稲垣メンバーの歴史」みたいなヘイ3では絶対に出来ないような企画にOKを出してしまう。勿論ヘイ3でやろうものならDT浜田にあの事件のことを突っ込まれるのは明白であり、稲垣メンバーは機嫌を損ねてしまう可能性がある。だが、うたばんにおいては中居というこれ以上ない緩衝材があってこそこのような危険な企画もOKだとしたのだろう。事実、稲垣メンバーの歴史年表みたいなのが作られていたがあの事件については一切歴史から抹消されていた。

だが、うたばんの「バラエティ特化」をなめてはいけない。

うたばんは一切その事件については触れなかった。しかし、今回稲垣メンバーの歴史を振り返るにあたり、芸能生活を共にしてきた中居から「稲垣はこんな人物である」という暴露話が展開されていく。もちろんその話はあの事件に比べればたわいもない話であり、稲垣メンバーの協調性のなさが中居を怒らせたり困らせたりしたかという一見ほほえましいようなオブラートには包まれていた。ただ、このオブラートの中身が大問題ではなかろうか。

結局稲垣メンバーの放送部分のオチとして「稲垣メンバーはこれほど社会性や協調性に欠けた人間だったが、そんな彼も30になって大人になりました」という締めくくりがなされている。この結論、やはりどことなく当り障りのない結論のようにも思える。しかし、自分はこのうたばんが導き出した結論についてこれって本当は番組中で一切触れられなかったあの事件について暗に揶揄しているのではなかろうかと思う。

あの事件はまさに「社会性のない人間が社会のルールを無視して自分の利益を守るためだけに行った犯罪行為」であるといえる。そんな事件について一切触れることがないがゆえ、その存在を視聴者は間違いなく突っ込みを入れたくなる。だって、稲垣メンバーの歴史においてあの事件が占めるウェイトというのは相当なものであるのに、一切触れてこないのはやっぱり不自然だ。それは当事者も視聴者も気付く話である。ただ、都合によって一切触れることはできない。でも、一切触れないのはやっぱり不自然である。だからこそ、「触れないことによってよりその存在を強調させる」という手段をとったのではないだろうか。

直接に触れてはいないが、番組の雰囲気があの事件について触れたがっている。今回の放送はそれに尽きる。こんな受け取り方をしたのは自分だけかもしれないのだが、自分にはうたばんスタッフの「声なき声」が聞こえたような気がするのだ。「こんなに社会性がないからあんな事件も起こすんだろ」ってね。