なんとなく分かった


世界バリバリバリュー」が昨今のお笑いブームに乗っかるかのようにお笑い芸人特集。まあそんな風に揶揄してみたものの、普段この番組を見ない自分が見てしまっているのでそれ以上文句が言えない。

今流行りの芸人については目新しい情報ってのはさほどなく、むしろ芸人養成学校の裏側みたいなのが面白かった。お笑い芸人を多数擁している「オフィス人力舎」が持っている芸人養成学校JCAの様子が放送されていたのだが、初代フレンチの鉄人石鍋シェフにそっくりな校長と、いかにもという感じの女性講師(だったのかな、あの人は)みたいなのが出てきて怒ってる姿なんかを見ると「ああ、芸人の世界はかくも厳しいもんなのね」とか思ったりもする。

そこで、JCAの卒業を控えた長身の男と見た目パッとしない女性のコンビが急にクローズアップされるわけね。JCAの卒業ライブの出演権をかけたオーディションに向けてネタ合わせをしている姿なんかが映されたりしているわけです。女性のほうはこの学校に通っていることを両親に報告していないらしく、その理由としては「学校ではずっと成績も一番で、お笑いを目指しているなんて親に言ったら勘当されそうだ」とか言ってました。そんな秀才の道を捨ててまでお笑いの道を選ぼうとしているのだから、よっぽど面白いネタでもするのかと思えば、オーディションで見せたネタは編集をしてあるのにちっとも面白くないだろうことが伝わるほどの面白くなさであって、石鍋さんもいかにも講師も呆れ顔で見ていたわけである。

そんでもって、いかにも女性がネタを終えた彼らにこんな言葉を浴びせ掛けた。

「お前らのネタはどこがどう面白いの?」と。

この言葉、芸人殺しの文句であることは言うまでも無い。当然、こんな言葉を浴びせるのはちっとも面白くないからであり、こんな質問をされたらたちどころに黙るるより他無い。たとえ自分が面白いと思った部分を説明したところで、それが面白くないからこんな事を聞かれているのだということを即座に理解できなければならないのである。つまり、この質問は質問であって質問ではない、単なる罵声に過ぎないのだ。もっとも、本当に面白かったとしてもそのことを真剣に相手に説明することほど恥ずかしいことはないのだが、そんな心配は無用か。

でもって、このコンビのぱっとしない女はこのちっとも面白くなかったネタの面白い部分について説明を始めてしまった。説明をはじめた女は前述したように非常にマジメな女性だったようで、罵声であるこの言葉を字面どおりに受け取ってしまったようで(それとも分かっていたがそうするしかなかったのか)「いかにも秀才的な」弁解というか説明をしてしまったのである。

まあ、パニくったのか本当に説明してほしいと勘違いしたのかはわからないが、あのやりとり一つをとってみても彼らがお笑いに向いていないことはなんとなく理解できた。彼らからしてみれば今の自分の記述は本当に失礼なものなのだが、やっぱりそう思える。彼らが一年間JCAでどのような訓練を積んでどのような血の滲むような苦労をしてきたかはわからない。ただ、失礼ながら彼らがお笑いに向いてないということは断片的に自分がテレビで見ただけでなんとなくわかってしまう。ちょっと見ただけでそれほどの印象を与えてしまうというのは、よっぽどセンスがないっつうことではないだろうか。

そういうわけで、彼らがオーディションに落ちて笑いの道を挫折することはそれほど悪い選択ではなかったように思ったりした。今でも彼らはまだお笑いを続けているのだろうか。そうであったら、早いとこもっと自分にあった道を探していたほうがいいなぁ、と他人事ながらに思う火曜の夜でした。


今度は曙が火曜のいいともに。
必要以上に汗かきすぎね。
デブは汗っかきだという認識が世間一般にある以上、
曙も現時点では格闘家ではなくやっぱりデブタレに過ぎない。