日本男児

木枯らし紋次郎
1972年に中村敦夫主演で放送された大人気ドラマのリメイク。江口洋介主演。


同日に映画公開された「GOEMON」の主演も務める江口であるが、同じ時代劇の主演ということでどっちの宣伝をしているんだかよく分からない状態がフジテレビで続いたけども、映画の「GOEMON」は放っておいてドラマの「木枯らし紋次郎」を見たわけです。


中村敦夫版のほうは過去映像で何度か見たことがあるくらいで(なにせ生まれる前のドラマですし)、知っていることといえば長い爪楊枝と「あっしには関わりがねえこって」のセリフ、そして上條恒彦が歌う主題歌「だれかが風の中で」の印象的なイントロと歌い出しくらいなもの。だから今回見るにあたっては中村版と比較できるわけもなく、単純に単発の時代劇としてみたわけです。


んでまあ、これが面白かった。中村版を知っている人からすればどのような評価が下るのかはちょっと分からない。そりゃ旧作のほうが優れている部分も多々あるんだろうし、何より中村敦夫江口洋介の佇まいの違いが生む全体の雰囲気が違うだとか、いくらでも比較して優劣をつけることが可能なのだろうが、それらが一切分からない自分としては、もう単純に「楽しめた」としか言いようがない。単に江口洋介が好きだっていうことかもしれんが。


「あっしには関わりがねえこって」と言いながら思いっきり色んな面倒に関わっているという基本的なツッコミを入れるのも楽しいし、結果的に悪役ではありながら渡世人の悲哀を背景に持ち憎みきれない小判鮫の金蔵(小沢征悦)も紋次郎に負けずにかっこいい。そして若村麻由美のドSな感じ。そして最後に流れた「だれかが風の中で」がかっこよすぎる。ちゃんと上條恒彦オリジナルバージョンだったのもいい。これが織田裕二主演で、織田裕二が歌ったバージョンだったらやっぱり台無しだもんなあ。


時代劇でありながら勧善懲悪というスタイルではない(と書いてしまったものの、時代劇に関する知識があまりないので今の時代劇が勧善懲悪なのかはっきりとしたことは言えない。要するに「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」のイメージでしかない)。しかし日本人の男性の心をつかんで離さない設定が憎い。「関わりがねえこって」なのに、どうしても捨て置けない事態に関わるあたりなど、やはり日本人特有のお節介気質にぴったりくる。少なくとも欧米人の感覚じゃないわな。


自分に少なからずオッサンという自覚はあるんだけど、それでもまだ一応20代なもので、まだまだ時代劇を茶を啜りながら見るほど老け込むには早すぎるとは思っていた。けど、「木枯らし紋次郎」を見たらやっぱり面白いんだから困る。中村版の「木枯らし紋次郎」も時代劇でありながら視聴者の裾野は広かったようだが、それにしてもこういうドラマを素直に「面白い」と思えるのは、自分が老け込んできているとともに、こういうものを面白く感じる「日本人気質DNA」が自分にも流れているんだという証拠なのだろう。


まあ単発に終わるのだろうけど、連ドラ化されたら見ちゃうかもしれない。