いやあ、Perfumeが売れまくってますねえ。
先日発売されたアルバム「ＧＡＭＥ」がオリコン初登場1位ということで話題になった。テクノポップのアルバムが1位を獲得したのはＹＭＯ以来だという謎の報道もされましたが、それはともかく売れているのは間違いないということです。
一貫してPerfumeに興味がないことを装ってはいましたが、ここまで売れてしまうとテレビで目にする機会も増えますし、さすがにいくつかの出演番組に目を通しているし、アルバムのほうも密かに聞いてたりします。「チョコレイト・ディスコ」あたりはかなりリピートしている。
というわけで歌手やアイドルがブレイクすると必ず「今話題の人」ということでワイドショーなんかが特集を組むわけです。ゴリゴリのファンにとっては取るに足らない内容ではあるんですが、いまいちよく知らない人にとっては十分に分かった気分にさせてくれる貴重なコーナーでもあります。無論自分程度の人間になると、ファンであろうとなかろうとワイドショーで取り上げられる頃には既に知識として追いついているのでさほど役にも立たないんですが。
６日の「とくダネ！」においてもPerfumeの特集。ライブツアーの映像が流れており、そのライブに集まった人へインタビューをしていた。インタビューを受けていたある男性は「元々アイドルにはあまり興味がないんですが、楽曲のクオリティが高いので好きになった」と答えていた。
この「アイドルには興味ないけど楽曲がいいのでファンになった」という言説、ことPerfumeに関しては非常に多い気がします。
そりゃPerfumeが従来のアイドルサウンドと違ってバリバリのテクノポップになっており、なおかつテクノポップとしてのクオリティが非常に高い（らしい、としかテクノに詳しくない自分には言いようが無い）んでしょうが、それにしてもあまりに多くの人がそう言ってるような気がするんです。
でも、こういうことを言ってる人に限って「Perfumeってブサイクだよな」とか言うと怒り出すはずだ。
伊集院のラジオで、このPerfumeファンに関する微妙な感じを的確に指摘しているネタがあった。ちょっと音楽に詳しいやつがPerfumeのテクノポップを絶賛しており、そいつはアイドルとしてのPerfumeが好きなのではなくてテクノポップのアーティストとしてのPerfumeが好きなのだと熱弁をふるう。だからその「アイドルではなく楽曲が好き」という話に乗っかって「Perfumeってよく見たらブサイクだもんな」と発言したら、その友人は烈火の如く怒り始めたので、それを宥めるという一幕を、一言で伊集院に想起させたのだ。
この現象って「動機はともかく、すでにPerfumeにどっぷり」の典型例だと思うんです。そしてPerfumeというグループはこの典型例を生み出しやすい土壌の上にいるグループのような気がするんです。
最初は音楽がいいからハマった。けど、今ではなぜか音楽とは関係ないPerfumeのビジュアル面での微妙さを指摘されると怒るまでに好きになってしまっている。これってものすごく自然なことであり、誰も否定しないような気がするんです。最初からビジュアルで売り込みをしているアイドルを好きになるのとはまた別の感覚だけども、その人の歌が好きだからその歌手自体が好きになる。なにも不健全な話ではない。
だから普通にPerfumeのライブに行く人は「最初は音楽から入りましたが、今ではPerfumeが好きですしアイドルチックなところも好きです」くらい普通に言えばいいのに、なぜか「アイドルは特に興味ないけど」みたいなエクスキューズを入れる。まるで「自分とアイドルヲタクは別物ですよ」と言わんばかりに。でも実は一緒なんじゃないか？と自分は疑ってしまう。
今世間で浸透しつつある「アイドルヲタク像」は秋葉原で踊り狂うキモイ集団に化してますから、それと自分を一緒にされたくねえという防衛本能が働くのは至極当然のような気がしますけど、それでもモー娘。にはまった身である自分としては、「自分は決してアイドル好きじゃないけど」という防衛線を張っている人間ほど「アイドル」という名の深みにはまっていくような気がするんだよなあ。
確かに従来のアイドルとはアプローチが違うような気はしますが、こういうファンが多いという点で彼女らはやっぱり「アーティスト」ではなく「アイドル」に他ならないんだと自分は他人事のように思ってしまう。自分はファンと言うには程遠い単なる「Perfumeリスナー」に過ぎないですが、もしファンであることを自認する方がいれば「アイドルには興味ないけど」みたいな言い方はしないほうが、と遠慮がちに進言したいです。そう言ってる時点で既に「アイドル」にハマっているんだと気付くか気付かないかではその後の身の振り方が大きく違う。
