森繁久弥、死去。96歳。大往生である。
自分にとって森繁久弥とは「日本を代表する俳優」ではなく「死ぬ死ぬ言われながらなかなか死なない人」である。笑点で言うところの歌丸師匠に近い。だから森繁久弥というひとりの俳優が死んだことの悲しみは全くなく、「まだ死んでないのか森繁」という常套句が使えなくなったことに対する悲しみのほうが強い。
しかしまあここ数年は森繁が死ぬ死ぬ言われながら全然死ななかったので、もしかしたらもうとっくの昔に死んでいて、誰しもが生きている「てい」で森繁を扱っているのかな、と思っていたくあいだから、今回森繁死去のニュースを見たときに「ああ、本当に生きてたんだ」と思うと同時に「人はやっぱりいつしか死ぬんだな」というひどく単純なことを思ったとさ。
ともあれ、森繁に合掌。
